(あらすじ)
ハリウッドで売れっ子の脚本家ギルは、婚約者イネズと彼女の両親とともにパリに遊びに来ていた。パリの魔力に魅了され、小説を書くためにパリへの引越しを決意するギルだったが、イネズは無関心。2人の心は離ればなれになり……。キャストはギルにオーウェン・ウィルソン、イネズにレイチェル・マクアダムスのほか、マリオン・コティヤール、仏大統領夫人としても知られるイタリア出身の歌手カーラ・ブルーニら豪華スターが顔をそろえる。第84回アカデミー賞では、アレン自身3度目となる脚本賞を受賞した。※映画.comから抜粋
この作品は、アレンのファンタジー色あふれるほのぼのとした大人の映画の良作でした。
この人の独特の哲学、ホッとするような人と人のふれあいをユーモラスに、シニカルに描くその世界観は昔っから全然変わってない。アカデミー賞なんか取らなくたって十分評価に値するのだけど。
物語では、主人公がパリの夜のマジックにかかり、過去の1920年代にタイプトリップしてしまいます。
(妻のゼルダのイメージが全然ちがうけど)
アーネスト・ヘミングウェイに小説の極意をレクチャーしてもらったり
ダリの饒舌なトークを聴いてみたり
挙げ句の果てにはピカソの愛人と恋に落ちたりします。
キャシー・ベイツはガートルート・スタインという、当時パリで活動していた美術コレクターの役で登場。
ホンモノとそっくり?
そんなおとぎ話みたいな出来事が、深夜の12時を過ぎるとパリの街角のどこかでひっそりと起こる。
そして同時に、アメリカ人のフィアンセとは価値観の溝がどんどん深まって行く。
どうしても彼女の物欲主義な考え方と表面的なうすっぺらい交友関係にはついていけなくなってくる。
カミーユ・クローデルはロダンの愛人で、作品にも大きな影響を与えた、という話をしている風景。
(それにしても彫刻だけじゃなく、ロダン美術館ってほんとにきれい)
モネ、ジヴェルニーの庭も映画の舞台として登場します。
(緑の橋は、モネが日本画に憧れてつくらせた太鼓橋)
セーヌ川河畔の古本屋(ブキニスト)。
歩いて眺めているだけで楽しい。
お金なんかかけなくたって、パリはいるだけで楽しい。
これの初代を買ったのもこのへんでした。ああ、悲しい思い出、アゲン。
アレンは以前、「マンハッタン」という、ニューヨークを舞台にした映画を撮ってます。
あれも本当にいい映画だった。
歳を重ねるうちに、すっかり物質化したアメリカ社会がイヤになっちゃったのかな。
アメリカ人をさりげなく皮肉り、対照的にパリへの愛情を至る所に感じます。
このショットはいかにもアレンだわ。
ラストシーンは雨のパリ。
アレンは、雨の降るパリが好きなんでしょうね。
いい。
まとまりがなくなってきたのでそろそろこのへんで。
次回作の舞台は、ローマだそうです。