コーヒースタンドで休憩していたら、窓の向こうにおじいさんを見た。
おじいさんの腰はおよそ90度に曲がっていて、宮益坂のゆるやかな歩道をよちよち歩いていた。
歩幅は一歩5cmもない。
手には大きなバックを持ち、もともと何色だったかも分からなくなってしまったようなグレー色の汚れた上下の服を着ていた。
歩幅は一歩5cmもない。
手には大きなバックを持ち、もともと何色だったかも分からなくなってしまったようなグレー色の汚れた上下の服を着ていた。
ホームレスだった。
おじいさんはそうやってチクチクチクチク歩いてたのだけど、
私がコーヒーに一瞬目がいってる間に彼は何かを踏んづけたらしく
再びおじいさんに目を戻した時は靴についたその汚れをみて何やらブツブツ言っていた。
そして方向をちょっと変えて花壇の方へチクチクチクチク歩いた。
私がコーヒーに一瞬目がいってる間に彼は何かを踏んづけたらしく
再びおじいさんに目を戻した時は靴についたその汚れをみて何やらブツブツ言っていた。
そして方向をちょっと変えて花壇の方へチクチクチクチク歩いた。
おそらく気になるのだろう。
すごいプライドだと思った。
そしてそのまわりを、ある人は素通りで、ある人は避けるように、通り過ぎていく。
彼自身ももはや、気にかけてもらおうなんて気持ちは毛頭ないのかもしれない。
そこで誰かがもだえくるしんでいたとしてもおそらく人はそのまま通り過ぎていくのかもしれない。
彼自身ももはや、気にかけてもらおうなんて気持ちは毛頭ないのかもしれない。
そこで誰かがもだえくるしんでいたとしてもおそらく人はそのまま通り過ぎていくのかもしれない。
その日は肌寒かったから、おじいさんにあったかいものでも食べてもらいたいと思った。
けれど私がそこで500円玉を渡したところで、彼は一体喜ぶのだろうか。
おそらく喜ぶはずがないんじゃないかな。
だからやめた。
けれど私がそこで500円玉を渡したところで、彼は一体喜ぶのだろうか。
おそらく喜ぶはずがないんじゃないかな。
だからやめた。
その話のさわりを、後日人に話したら
「そんなこと考えた事もない」と言われた。
「そんなこと考えた事もない」と言われた。
彼は花壇での休憩もそこそこに、また歩幅5cmで歩いていった。
どこに向かっていくのか、何に向かっていくのか分からないけど、
迷いもせず、ただ強い何かの意思に導かれて歩いているみたいな気がしたのだ。
どこに向かっていくのか、何に向かっていくのか分からないけど、
迷いもせず、ただ強い何かの意思に導かれて歩いているみたいな気がしたのだ。
おじいさんが見えなくなるまで遠くへ去っていくのを見送ってから
私は席を立ち、外に出た。
私は席を立ち、外に出た。
以上、コーヒースタンドでの10分間の話。