世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

秋のパリ

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私がこれまでにパリの秋を経験したのは一度だけ。
3ケ月かけて歩き回ったヨーロッパ横断の旅を終えて出発点のパリに戻ってきたのは10月の半ばで、ダウンジャケットなしでは外を歩けないほどの寒さだった。夕方はすぐにまっくらになってしまい、夜明けも遅い。シャワーはぬるくて体は全く暖まらず、ユースホステルの毛布は湿気を吸いまくって重くて不潔だった。
だけど、外を散歩しながら通り過ぎるバスチーユのカフェの中は人で賑わっていて、テーブルの上においてあるランプがゆらゆらと人の顔を照らし出して、その様子は外の空気とは正反対にとても暖かかった。
 
それが私の、パリの秋のイメージである。
 
 
パリは秋がいいと言う人がいる。
 
私はそれがよくわからなかった。
 
パリは絶対に夏だと思っていたからだ。
あの抜けるような青空といつまでもやってこない夜、それが魅力。
ノートルダムのベージュだって、夏だから映えるのだ。
セーヌ川の水面だって、夏だからこそ光るのだ。
 
 
だけど、それは覆された。
 
 
どんよりとした重たい空気は、古めかしいパリの街並みに意外なほどうまく溶け込むことを知った。
セーヌ川は夏の日差しだけじゃなく、朝の陽射しでも十分に光り輝くことを知り、
木々が赤く色づく姿は今までに見たことがないような彩りを添える。
観光客もめっきり減ったモンマルトルの裏道を埋める落ち葉を踏みながら歩く街並みは何ともロマンティックだ。
 
とはいえ、私が訪れた時は、近年まれにみる異常気象というか、とにかく良いお天気が続いた。
8日間過ごした中で曇ったり雨だった日はたったの2,3日で、あとはずっと秋晴れ・・・というよりも汗ばむくらいの陽気だったので私はとても恵まれていたのだと思う。テレビのお天気キャスターもはしゃぎながら「みなさん良い週末をお過ごし下さい」と伝えていた。ヨーロッパに暮らす人にとってお天気はとても重要なことなのだが、ほんの束の間の旅人である私にとってもそれは同様である。
 
 
だから、どんよりとした秋の気配と、かすかに残る夏の名残を、
この旅で過ごすことができたのはとても光栄なことだった。
 
 
ところが、私がパリを離れた翌日からは温度が下がって急に冷え込み、今では最低気温が10度以下というからすっかり初冬に様変わりしてしまったようだ。更にRER線、メトロ、バスの大規模なストライキが始まり、一週間くらいはずっと本数が減らされていたというから、私はそれにあたらずに本当にラッキーだった。
 
 
 
 
 
今回の旅は本当にツイてることが多かった。
 
こんなにツイていていいものかと思うくらい。
 
 
 
 
というわけで、次回からはそんなツイてた秋のパリの旅をお届けします。
 
お楽しみに
 
 
 
P.S 今回モスクワ経由で行ったんですが、まぁシベリア付近もお天気がよくて雲ひとつない空がずーっと続いていました。街並みはすっかり黄色く紅葉して、ギラギラの西日を受けてとてもキレイな黄金色に染まっていて、家の煙突からは煙が出ている家もありました。絵本みたいな風景だった。
次はまたモスクワに行こうかなぁ(笑)。