世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

安野光雅さんについて

安野光雅さんがお亡くなりになりました。

 

安野光雅さんの作品をじっくり観に行きたいと思って、ちょうど去年のGOTOの時に安野光雅美術館を調べていたところでしたので、突然の訃報にショックを受けています。享年94歳とのことでしたので、天寿をまっとうするとはこの事ですね。素晴らしい作品を多く残してたくさんの人たちにいろいろな夢を与え見知らぬことを教えてくれました。

 

 

去年の秋にこの本を読みました。衰えを知らない天才の絵本作家の天才だと改めて感動しました。

 

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あとがきで安野さんがおっしゃっているのが、もともとこれは一三章からなる原作の物語をそれぞれ英語版で一冊ずつ出版する予定だったのが急遽変更になり、日本語版で一冊の本にまとめたものだそう。だから「一冊の本としては絵が多すぎます。もうこんなに絵のある本は描かないと思います」とのこと。ファンとしてはふんだんに安野光雅ワールドを堪能できてありがたいところではあるのですが。

 

この本の素晴らしいところは、150年ほど前のアメリカにしかない生活の知恵や開拓時代の用具がたくさん登場するので、文章だけでは分かり得ない難解なところをを再現する安野さんの緻密なイラストを要所要所で見ることができることです。とても丁寧に調べ上げたのが良くわかる見事な作品でした。アメリカの四季を通して当時のライフスタイルを懐かしい名作「大草原の小さな家」の原作とともに安野さんが復活させた偉業は注目されるに値するところだと思っています。

 

 

 

これは安野さんの生い立ちの本。めちゃくちゃ大事に取ってあります。

 

 

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と言いつつ実は内容をもう忘れてしまっているのでまた読み直してみますが、こういう自伝を残してくれるといつになってもご本人の身の上話を知る事ができるので、ありがたいものだなあと思います。

 

人が人の人生を記録に残すという仕事は、その向こうに死を意識してのことなのだろうか。それとも、単純にそれが年をとるという事なのだろうか。私が旅のいろいろな思い出をブログに残しているのは、それぞれが楽しかった思い出だからです。村上春樹さんがよく言うように自分の記憶ほど頼りないものはないから、風化してしまう前に心の記憶を残しておきたいと思ったのがこのブログの主旨です。

 

 

 

 

 

これは偶然見つけた記念切手。っていうか、一枚使っている!!!

これを使ったということは相当スペシャルな状況だったはずだけど、全然思い出せない。

 

 

 

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そして昨日たまたまこの本を買いました。

 

 

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河合氏の考える人間関係というのに興味があったのですけど、表紙が安野さんなので喜び二倍。ぱっと見るだけでのんびりとした5月の牧歌的な気持ちに浸れる良い風景画に心が落ち着くようです。で、家に帰ってきたら訃報を知りました。偶然と言うよりは、ファンだけにつながる不思議なテレパシーみたいなものではないかと勝手に想像しています。

 

 

 

 

 

これは子供時代にとにかく夢をお腹いっぱい与えてくれた「旅の絵本」。福音館書店という神様みたいな出版社のおかげで、子供の頃はたくさんの海外絵本に巡り会い、私が海外に興味を持ち始めた潜在的な理由になっているのルーツの一つと言って間違いないでしょう。その数ある海外絵本作家に引けを取らず、そこにあるものを緻密に忠実に教えてくれる安野光雅さんとは絵本作家だけにはとどまらない、リアリズムをとことんまで追求する探究心溢れる研究者でもあったのだと確信しています。

 

 

 

beabea-journey.hatenablog.com

 

 

安西水丸さん、和田誠さんに続き安野光雅さんもあの世に逝ってしまいました。

時代が少しずつ推移していることを感じずに入られません。

自分が尊敬している人たちがこの世を去るというのは、寂しいのもあるしなんかつまらなくなるような気もしてきます生きている事が。

 

 

安野さんが逝去された日は2020年12月24日とのこと。これまで何度も描いてこられた幸せ溢れるクリスマスの情景のように、安らかで穏やかに永眠されますよう心よりご冥福をお祈り申し上げます。