世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ある絵画での、とある会話/オルセー美術館展にて

ある絵画の前に、一組の親子がいた。
お母さんは30後半で、娘さんは5,6歳といったところか。

その絵をみて娘さんがお母さんにこう言った。

「これ、誰?」

お母さん「ミレーだよ。」
娘さん「・・・これ、何て言う人?」
お母さん「ミレーっていう画家だよ。」
娘さん「・・・お母さん、これ、誰?」
お母さん「ミレー。という名前の人だよ。」



「キレイだね。」

この瞬間、私に電気が走りました。


次の絵の前で。

お母さん「これはね、モネって言うんだよ。」
娘さん「・・・・・・・。」(この間、じーっとみてる。)

そして彼女はこう言った。
「あっちの方が好き。」

お母さん「あぁ、あれはシスレーって言うんだよ。モネもシスレーも仲良しさんだったから雲の絵が似ているんだね。」

あぁ!!!
私はこの少女を徹底追跡したくなる衝動を抑えるのがどれだけ難しかったか!!!
なんてなんて、素敵な少女なのでしょう。。。
思わずヌッと割り込んで「素敵なお嬢さんですね。」と言いたくなったけど、変質者だと思われたら嫌なのでやめておきました。

何かを美しいと感じる部分は人それぞれです。
私は何とも感じないものでも、誰かが「美しい」と思えばそれでいいと思うし、逆に私が「いい」と思うものに対して必ず同調は求めません(同調してくれたらそれはすごく嬉しいことだけど)。
要は、「美しいと思う感覚」をもてることが何より素晴らしいことだと思うからです。

写真でも絵でもそうだけど、「きれい」だと思うポイントを人は直感的に持っていてそれはごく自然な事だと思う。だから色彩が鮮やかであればあるほど、物が形に近ければ近いほど、一般的にそれを「美しい」と思うのだと思う。間違ってはいない。

でもぼやけたもの、かすんだもの、不明瞭なもの。混沌としているものなど。
その中に「美」を見出す心をこんな幼いうちから感覚としてもっているこの少女をはがいじめにしたくなる私の気持ちたるや。
私がお母さんだったら人目をはばからずハグしてチューですよ(笑)←本人は嫌だろうな。

オルセー展、良かったです。「どうせ客引き用の絵しか来てないんだろうな。」と、ちょっぴり疑心暗鬼だったのですが、どれもこれも見事。
よく、「この絵のモデルのポーズはどうみてもありえない。」とか不自然さを強調する批評などがありますが、はっきり言ってそんなのどーでもいい紙切れみたいなものです。第一、そこで評価される画家は少なくとも画家であることを生業としていたので死ぬほどデッサンなんてやりこなしてます。不自然である事なんて百も承知なはずです。

私が好きな絵がチラホラと訪れていました。これ以外にもいっぱいあるけど厳選して。

> セザンヌ「ギュスターヴ・ジェフロワ」
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> ゴッホ 「アルルのダンスホール
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> ドニ 「天国」
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> ベルナール「日傘を持つブルターニュの女たち」
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> モネ「アンジャントゥイユの船着場」
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今回釘付けになったのはこれ。
> フェルナン・クノップフ 「マリー・モンノン」
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で、あの娘さんのお気に入りだったのがこれ。
> ミレー 「グレヴィルの教会」
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> シスレー「洪水と小舟」
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写真も花瓶も彫刻も良かったんですよねー・・・。(ため息)

閉館間際30分前に人の流れに逆らって、最初の閲覧室へ戻るとガラガラ。
そして同じように絵画を愛す人たちが、みんな「沈黙」でそれをじっと観ています。

あー、至福の時間。