世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

恋人たちの予感

この前TUTAYAの前で全部どれでも1000円のたたき売りをやっていたので懐かしの名作を4本買いました。
その一本目はこれ。改めて観なおしたのは実に10年ぶりかも。



イメージ 1





恋人たちの予感(1989年 アメリカ)
監督:ロブ・ライナー
主演:ビリークリスタル、メグ・ライアン



私はこれのビデオを持ってるんですが、当時繰り返し何十回も観た映画です。

まー、今となればあの若い自分にこの映画の意味が理解できていたかと言われるとかなり微妙。ジャズという音楽すら理解していない年頃でしたし、男女の恋愛はありえるかなんていうキャッチフレーズについてもそんなの当たり前でしょ、と何も知らないくせにクールに思っていたのでなおさらです。当時はこの映画の前評判がとにかく良く絶賛中の絶賛で、レンタルショップであの秋のNYを歩く二人の姿のポスターを目にしないことがなかったので、理解できるまでとことん観たんです。
見直してみて一言まず言わせてもらうと、なんてオシャレな映画なんだってことです。
そう、確かにこれはとてもオシャレな映画なのです。


(あらすじ)
サリー(メグ・ライアン)とハリー(ビリー・クリスタル)の出会いは最悪。違う価値観、人生観、真逆の性格同士で真っ向から対立。その後数年後、偶然の再会をするもやはり決別。そして更に数年後、再び再開しようやく友人同士になるも、恋人にはけしてならない。「恋愛感情を抜き」にした男女の居心地の良さと二人の関係を描いたロブ・ライナー監督ならではのハートウォーミングな大人の映画です。



1.キャストについて
まず当時リバー・フェニックスの大ファンだった私がビリー・クリスタルの良さを理解することなんて出来なかった。なんで?どこがいいの?ってずーっと思っていたのでこの映画を大好きだと豪語することも出来ずじまいだった。

イメージ 2



メグ・ライアンはこのあとどんどん売れっ子女優になっていきますが、今この映画を改めて観るとこれが一番完璧なんじゃないかと思う。本当にチャーミングで美しくて。


イメージ 3




2.作品と監督について
ロブ・ライナー監督自体もこの頃が熟している時代だったかも。この映画の前に言わずとしれた「スタンド・バイ・ミー」を監督し、この後は「ミザリー」を撮ってます。その後もどんどん快進撃を続けています。現役で頑張ってますね、最近では「最高の人生の見つけ方」(だっけ?似たようなタイトルが多いからよく覚えてない)を監督しました。


私は数年前からウディ・アレンに陶酔し、(全然レビュー追いついてないけど)たくさんの彼の作品を観てるのですが、この映画、作り方が若干似ています。原題は「When Harry Met Sally」でBGMはハービー・ハンコックJr.が歌い、オールジャズが流れています。都会に住むシングル30代の男女の日常的なおしゃべりがそういう音楽やNYの美しい風景をバックにリズミカルに流れていく。これらは実にウディ・アレン的手法。ストーリーの合間に入る夫婦のインタビューなどもそう。私はロブ・ライナー監督の作品はちょこちょこ観てますが、後にも先にもこういったタイプの映画を作ってない。だからアレンを意識したようなNYの大人のオシャレな映画を作りたかったのかなぁと思ってみたりしました。


イメージ 4



3.男女の友情についてというキャッチコピー
この映画が封切りになった際、「男女の友情は成り立つか」というコピーが世間一体に流れ、多分これを目にした人が全員「前からそれは疑問に思っていた」と感じて手に撮り、おそらく観終わった後に「なんじゃこりゃ」現象に陥ったことと思います。なぜならもともとそういう定義づけをするために作られた作品ではないからしかるべくして答えなんてないからです。あー、言っちゃった。多分このコピーは日本の配給会社が目立つようにつけた戦略ですよ。確かに男女の友情云々ってのは一つのテーマであることは確かです。

しかしメインは一組の男女の長い物語なんです。人はそれぞれいろんな価値観があって、歳を重ねていろんな間違いや失敗などの人生経験を経て、またいかようにも変化していく。移ろう季節みたいにじっくり静かにゆっくりと。そんな映画なんですよね。


4.メグ・ライアンの「フリ」
そしてもう一つ、この映画をひきつけた大きな要因はメグ・ライアンのベットタイムでの「フリ」のパフォーマンスです。
あぁ~これは飲みの席での会話にしたいところですが、男女の間での大きな違いは、男性は女性を常に満足させていると思っているのに対し、女性は少なくともそう思ってないっていう話。映画の中でその話題になった際、それを証拠にメグがベットタイムでの絶頂のフリをするシーンがあるんです。レストランで。世の男性はどう思われたことでしょうね(笑)。


イメージ 5




私はこの映画のラストが一番好きだな。
晦日の夜、ハリー(ビリー)はサリー(メグ)が必要だとふとした時に気付くんです。それでカウントダウンパーティーまで乗り込んで愛を告白するんですが、そのセリフが結構染みるんですね。そしてバックで「蛍の光」が流れるんですね。オリジナルの歌詞はこういった感じです。

忘れがたき古き友よ 思い出すことがなくとも
忘れがたき古き友よ どれだけ時間が経とうとも
遠き昔のために 友人よ
遠き昔のために
友情の杯を酌み交わそう
遠き昔のために


それにしてもこの時代の映画のタイトルのつけ方はひどいものですね。
今もあんまり変わってないけど、でもどうにかしてほしいものです。