やっと「塔本シスコ展」へ行ってきました。
砧公園の中にある世田谷美術館が会場です。
コロナになってからほとんど美術館にも行けてなかったのですが、今年の秋はいろいろ企画展が目白押しなので、11月はかなりの週末を美術館で過ごす予定です。楽しみ!
塔本シスコさんとは熊本出身のおばあさんで、50歳後半から独学で絵を始め91歳まで描き続けたのだそうです。91歳までってすごいですね。
とにかく世界観に圧倒されました。
ずらっと並べるのでどうぞご鑑賞ください。
特徴的なのは、
- キャンバスのサイズが大きい
- 印象派の影響を受けているように見える(特にルソー)
- 色彩と構図のバランス感覚が飛び抜けている
- とにかく隙間がない!
というあたりでしょうか。
これみて驚愕しちゃいました。この平面で細長い構図!
とっさにボナールの作品を思い出しました。
丁寧に計算されて描かれています。
点描もお上手で、パターンを描くことがおすきな方だったのではないかと思います。
額縁のすきまに古いハギレを使っているのを見逃しません。
こちらは文字を書いて縁取りしています。「夕めしは7時に三人で食べました」と書いてあります。なんの飾り気もない普通の文章が額縁のデザインになっているんだから斬新過ぎ。とにかくバランスがいい!
キャンパスを超えて、作品は身の回りのもの、引き出しやチラシの裏、瓶やしゃもじ、しまいには帯にまで絵を描きました。
自画像。
シスコさんの作品をみて思ったのは、絵というのはもっと自由でいいのだということです。難しいことや本格的なテクニックにこだわっていたら、こういう作品はできなかったのではないかと思います。概念を知る由もなく自分の世界をこんなふうに表現できて、とっても素敵だと思いました。やはり原色の色味は元気が出ます。ただの原色だけだったら単にどギツイ作品になってしまうはずを、全てにおける絶妙なバランス感覚と日常の平和な風景によって、観る者をホッとさせる世界観を作り上げています。感動しました。
シスコさんならきっと私がメキシコで買ってきた雑貨のすばらしさをわかってもらえたのではないかとも思いました。
この日もいいお天気。
(このあと重たい図録を抱えながら15km歩いて倒れそうになりました)
塔本シスコ展
2021年9月4日〜11月7日まで
https://www.setagayaartmuseum.or.jp
この展覧会は東京の後、熊本現代美術館、岐阜県美術館、滋賀県立美術館と全国へ巡回するそうです。
待ちぼうけの柴犬、足が短か過ぎて笑った。