世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

マンチェスター・バイ・ザ・シー



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これ、観に行きました。



久しぶりに余韻にジーンと浸り、観終わった後にも泣けてくるような映画でした。









(あらすじ)
病気だった兄が急逝し久しぶりに故郷に帰ってきた弟。兄の葬儀をするまでの間、遺された甥と一緒の同居が始まる。その小さな町で起こった辛い経験を背負ってきた弟と、世代も性格も生き方も違う若い甥との人生の話。




観てる間はわりとうんざりすることもありました。無口かと思えば何かにつけて暴力的な弟や、心配りができない典型的なティーンネイジャーに全く共感できない。
二人とも自分勝手でイライラしてきます。


だけど、次第に弟の過去が暴かれていき、救いようのない悲しみに蓋をして生きてきたのだなあと知っていくたびに何度か涙が出ました。



映画館の壁に貼ってあったどこかの評論家のコメントに、苦しみや辛さを乗り越えていく時間は人それぞれ違うのだということと、そもそもそれは乗り越えなくてはならないものなのだろうか、とありました。
全く同感です。
自分だけの問題ならいくらでも折り合いをつけられるけど、他人を巻き込んだ場合はそれをどう乗り越えるのか私にも分かりません。



故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーという町は、弟にとってもはや故郷ではなく、ただ彼を苦しめる場所でしかないのですね。優しさとか赦しですらも彼をますます傷つけてしまうのです。なぜなら彼はけして許されない罪として生きているからなのです(そう思っても仕方のないような出来事でした)。





本当にかわいそうだった。
小さなきっかけが彼の人間性まで変えてしまった。
ほんの一瞬で。


唯一拠り所だったお兄さんが残した甥っ子が、いつか彼の小さな希望となっていくのかもしれない、というエンディングでした。




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無理やり答えを求めようとしない、心の傷にそっと寄り添うような。

そんな映画でした。

すばらしかった。