世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

パリとプロヴァンス セザンヌ展

金曜日は会社を休んで(ずる休み)、国立新美術館セザンヌ展を観に行ってきました。

本当は昼頃に出かけてゆっくり時間をかけて美術館を観て、六本木のどっかでお茶でもして優雅に過ごす予定だったんですけど、怒濤の15時間ぶっちぎり睡眠をしてしまい、あわてて家を出たのは昼の2時過ぎ。最近よく寝るんですよ。10代じゃあるまいし、こんなに眠れるなんてありえないんですけど、この数年間の睡眠不足を一気に補わんばかりに寝ています。


静物画といえば、私の一番のお気に入りはセザンヌ
ワクワクして出かけたのですが、今回の展覧会はとてもお勉強になりました。

まず構成が分かりやすい。
年代別ではなくテーマ別にわかれているので、彼の実験的な描き方がどのように変わっていったのかが段階的によく分かる。1870年代初期の絵画は「これがセザンヌ?!」と目を疑いそうになるくらいありえない絵の数々。スペイン絵画やイタリア絵画の影響を受けたのがよ~く分かります。ぶっとびました。


1880年代に、セザンヌはパリとプロヴァンスを行ったり来たりしているようです。
我々がみる作品のほとんどはその頃に描かれたものです。


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セザンヌの特徴は、やはりなんといっても「構図の取り方」のバランスが見事なことがポイント。



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奥行き感といい、色調の変化のつけかた、筆の使い方の全てのバランスが天才的。
この未完の作品なんかは特にセザンヌがどんなふうに描いていったかが段階的に分かってとっても興味深い。観ていて思ったんだけど、多分この人は色調に関してはあまり足し算をしない画家だったんじゃないかと思います。この下絵を見る限り、感覚と天性で水彩みたいにサッサと描いているようにみえます。本当のところは分かりませんが。


モネもそうだったけど、後期1900年代になると、「細かいことは気にしない」おおざっぱなスタイルに変わっていきます。色調も特徴的なグリーンスタイルから、赤みを基調とした色に変化していきます。もちろん、時代も変わっていったので描くスタイルも変化していったのでしょうが、当時で言う「新人類」が台頭してきて、オジさま達はひっそりとアトリエで絵を描き続けていたのでしょう。




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図録と一緒に、セザンヌに関する本を一冊買いました。
懐かしいエクス・アン・プロヴァンスの街の様子や、大好きな作品が掲載されていたり、リンゴにまつわるレシピなどもありなかなか面白い本です。ズッキーニのグラタン、なんかは料理センスのない私にでもすぐにでも作れそう(な気がする)。



あと、南仏にちなんだジャムを買いました。



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右から

マンゴーとバニラ
ミラベルとオレンジ
白桃とバニラ





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たっぷり寝たあとあまり食べずに数時間が経過し、お腹が空いて仕方がなかったので、観賞後は地下にある食堂でキャベツと小エビのリガトーニというのを食べました。600円でしたよ。安くてビックリ。味も普通。




国立新美術館のロビーは個人的にお気に入りのスペースです。


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外に出る頃にはすっかり夜の帳がおりていました。


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そこからみる六本木ヒルズ


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というわけでその後、六本木ヒルズまで行って思わぬ散財をしてしました。
やれやれ。


セザンヌ展は、「セザンヌの実験的な様子を段階的に目の当たりにすることができる」非常に面白い展覧会でした。そして、昔訪れたあのアトリエを何度も何度も思い出しては懐かしさに酔いしれました。




セザンヌに関する、だいぶ前の記事:「時間の狭間 エクス・アン・プロヴァンス」>