ローマは住めば住むほどいろんなことが起こるカオスな町。
私は幸運にもいろんな欧州の国を歩き、ほんの少しアジアとアメリカに訪れ、いろんな都市をみることができたけど、ローマみたいな都市は他にないといっても過言ではない。
ローマ市内を車で移動すると必ずぶち当たる光景。
それは誰にも避けられない、『窓拭きの男』。
赤信号で止まるとサーッとやってきて信号が青になるまでせっせとフロントガラスを拭いてくれる。
もちろんタダではないので、窓を開けて彼らに(当時でいう)1,000リラ(※70円くらい)をチップで渡す。
ある日、知り合いのおばちゃんと一緒に車に乗っていると、いつものように彼らがやってきてせっせと窓を拭き始めた。おばちゃんは「別に必要ないわよ~」とクラクションをブーブー鳴らすのだが、彼らも全く臆することなく平然と窓を拭き続け、堂々と手のひらを差し伸べてきた。おばちゃんは「頼んでもないのにチップなんて冗談じゃないわよ!!」とわめきちらして車を出発させようとしたら、すかさず彼らにこう叫ばれた。
クソッタレー!
やれやれ、マンマミーアな出来事である。
私は最初この光景にとても驚いたものだったが、慣れると別にどうとも思わなくなる。
むしろ、窓は出来るだけ汚しておいて、車にはワイパー洗浄液など搭載せず、彼らに出会えたらラッキー、そんなふうに「共存」していくことを次第に覚える。
むしろ、窓は出来るだけ汚しておいて、車にはワイパー洗浄液など搭載せず、彼らに出会えたらラッキー、そんなふうに「共存」していくことを次第に覚える。
我々の日常のほんの些細なできごとを、我々は大げさに考え過ぎていることがあるのかもしれない。
だって窓拭きにあげる1,000リラで目くじら立てることよりも、もっと他にも大切なことがあるのだから。
バイト先のボスが通勤用にといって彼の中古のパンダ チンクェチェント(panda 500)を貸してくれると言ってくれたことがある。だけどイタリアの車ってすぐ壊れるしエンストするし、私はマニュアル車を運転できるけど一度も見たことのない複雑怪奇なギアが搭載されていたのですぐにお断りした。
第一ケチなユダヤ人の所有物を傷つけたらややこしくなるに決まってる。
そんなトラブルは初めから願い下げ。
というわけで、ローマで彼らに出くわした時は、無駄な抵抗をやめて素直にチップを上げてください。
一応彼らも洗浄液使って二度拭きしてくれますから結構窓はキレイになります。
チャオ。