ローマに滞在して三日目。
お友達夫婦とシニョーラのいる家を出て、予定通りアパート型ホテルへ移動。
シニョーラが車で送ってくれる。
運転慣れしているローマ人なのに、最近は滅多に中心地にいかないし、ローマは工事だらけで一方通行が多いから大変だとずっと横でブチブチ言っている。後ろの車もせっかちだから、通りを探しながらウロウロする我々の車に容赦なくクラクションを鳴らすから、シニョーラもイライラしちゃって「わかってるわよ!!」と車の中から後ろの車にジェスチャーつきでどなりつける。いかにもイタリア人な風景。
車はそんなふうにして、懐かしいバチカン市国の外壁をぐるりとまわり、懐かしいアーチをくぐって走るから、すっかり胸が焦がれて景色に見入ってしまった。
ローマは何度も何度も離れては戻ったり、とても所縁のある街である。
だけどどうしてだろう、思い出すのは最初に恋いこがれてたどりついたあの頃の自分ばかりで、再びローマに来てこんなふうにウットリしたのは後にも先にもないような気がする。泥棒は多いし汚いし不便だしだらしないし正確じゃないし遅れてるし後進国だし良いところなんてほとんどないのに、やっぱりホッとするのが悔しいところ。なんかまるでダメな男の人につかまった女の人みたい・・・。
アパートのある建物に着いて、おばちゃんが隙間ともいえない隙間に路駐をするものの、後ろの車がジワジワとプレッシャーを与えてくるので(それでもクラクション鳴らさないのはシニョーラ(おばちゃん)だから、というのもある。車を運転している時は容赦ないけど、目の当たりにしちゃうと一応女性や目上には優しいのである)荷物をサッサとおろして、バーチ(ほっぺにキスする挨拶)してじゃあまた木曜日にね、どうもありがとうございます、と言っておばちゃんは再び車に乗り、ブイーンとスピードをあげて立ち去るのであった。
アパートのある建物の玄関。
バチカン周辺はお気に入りのエリア。
テルミニみたいに治安悪くないし、地下鉄もバスもあるし、近くには馴染みのストリートもある。
少し早く着いちゃったので大家さんがくるまで外のベンチで待つ。
暇だったので写真を撮ってみた。
タバッキがある。
ここで地下鉄やバスの切符が買えます。
便利。
こんなダッサイおみやげを一体誰が作っちゃうんだろうか。
そうこうしていると大家さん登場。
現れたのはとても若いカップルだったのでびっくり。
お部屋は建物の最上階。
懐かしいエレベーターに乗る。
イタリアのエレベーターは自動扉ではないので手動で開けます。
そしてきちんと閉めておかないと他の人がいくら呼んでも動かなくなるので気をつけましょう。
なかなかいい建物です。
アパートはこの通路の一番奥にあります。
これがアパートの玄関です。
建物の内側はパティオになっているので日が当たって気持ちがいいです。
今回のお部屋は大きなベットに広いお部屋、しかも暖かくてすごい快適。
キッチンは共同ですが、滞在中ほとんど誰とも顔を合わせることがなかった。
だからほとんど独占状態。
一応ホテルだからか、使った食器は洗わないでシンクの下にあるプラスチックケースに入れておいておけば、毎日お掃除に来る若いカップルのどちらかが洗ってくれる、とのこと。
なんか申し訳ないです。
朝食はセルフなので、ここにあるありとあらゆるものを自由に使って食べてよし。
パン、ケーキ、ビスケット、クラッカー、コーヒー、紅茶、冷蔵庫には牛乳、ジュース、ヨーグルトがこれでもかというほど入っていた。
もちろん、朝食以外でも飲みたい時に、食べたい時に好きに勝手にやっていいシステム。大家さんは常駐してません、朝だけシーツ交換とかお掃除にやってきます。
そしてとにかく清潔。
塵ひとつ落ちてない。
食器もかわいかった、そういえば。
バスルームなんかも完璧でした。
ローマでこんな熱いお湯がふんだんに出るシャワーにお目にかかったことがないとべた褒めしておきました。
なんかこう、感じの良いホテルで。
最近旅行に行くとおおかたアパート型ホテルを選んでしまう。
やっぱりこの気軽さとか自由な感じが自分に合ってると思う。
もともとバックパッカー上がりなので、基本ド根性が消えない。自分で何かやることがあまり苦じゃないというか。思えば、ギリシャのアテネではねずみの走り回るユースに泊まり、スゥエーデンのストックホルムでは男女ミックス16人の屋根裏部屋で眠り、湿気を吸って重くなった汚くおぞましい毛布をよけて寒さに凍えて寝たのは忘れもしないパリのバスチーユにあった格安ユースだった。
そんな経験を経て今日に至ってるので、少しだけランクアップできたことに大人になった喜びをかみしめるのであった・・・(っていっても、ここ一泊10,000円くらいでしたけど)。
泥棒にもあわなかったし。
大満足。
Old Kitchen B&B