ルーブル美術館はその空間の使い方にも圧倒される。
ニケは一人ぽっちだけど寂しくはなさそうだし、
地下のチケットカウンターの中央にある逆さピラミッドは、雨の日の待ち合わせ場所にも使えるかもしれない。
世界のルーブルだけど、とても寂しそうな表情をしていたりもする。
現像されて戻ってきた写真をみて僕らはこう思う。
「いや、ここには何かもっと別なものがあったはずなんだ、これだけじゃないんだ」
「いや、ここには何かもっと別なものがあったはずなんだ、これだけじゃないんだ」
でも僕らがそのとき目にして、そのときに心をかきたてられたものは、もう戻ってはこない。
写真はそこにあったそのままのものを写しとっているはずなのに、
そこからは何か大事なものが決定的に失われている。
写真はそこにあったそのままのものを写しとっているはずなのに、
そこからは何か大事なものが決定的に失われている。
でもそれもまた悪くはない。
僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、
過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。
過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。
僕らの中に残っているいくつかの風景、いくつかの鮮烈な風景、でもそれらの風景の使いみちを僕らはしらない
~「使いみちのない風景」より