メキシコを旅したのは2018年の5月で、今これを書いているのは2021年の2月。
ずいぶんと時間が空いてしまったのは色々事情があってプライベートが慌ただしかったからなのだけど、2年半の歳月が経ったとは思えないほど記憶はまだ鮮明で楽しかった出来事をこうやってブログで振り返りながら思い出す一方で、その間にコロナウィルスによって世界中が一斉に落ち込んでしまった。ニューヨークでは飲食業や販売業などで働く多くの人が失業していると言うし、パリでも空き店舗が増え街が空洞化してきているとも聞く。ロンドンはこのタイミングでEU離脱してしまったし、選挙で真っ二つに別れたアメリカはどんどん弱体化してきているようにも見えるし、一体みんなどうやってこの先の人生を考えあぐねいているのだろうと思うと、緊急事態宣言中に銀座のクラブに行った議員辞職の話で盛り上がっている日本はつくづく平和ボケもいいところだとしみじみ思う。ワクチンが成功すればいい。でも、コロナによっていかに私たちが消費社会に翻弄されてきたかを知った今、お金に関する価値観はもしかするともっとシビアになっていくのではないかと思う。そうなればますます貧富の差は二極化していき、多少生きにくい世の中に突入していくのではないだろうか。特に欧米諸国は深刻になっていきそうな気がする。
そんなことを考えている時にふと、メキシコは元気でやっているのだろうかと思う。ホテル業は残念ながら厳しい状況ではあると思うけど、市場が立ち、屋台が立ち(立ってるのかな)、それらは観光ビジネスを目的としたものではないありふれた日常にすぎないので、いつも通りメキシコはメキシコらしくやっているのではないだろうか。
そうあってほしい。
またメキシコに行こうと思ってはいるけれど、それはちょっと先になるかもしれない。
私が訪ねた頃とコロナの後では事情がだいぶ異なっているような気がするから。
あの時偶然と必然が重なり、然るべきタイミングにメキシコに行けてよかったと思う。
散歩していたら広場に通じる道に出た。
まだ平日の午前中なのでどこかひっそりしている。
こうやって写真を撮って満足しているだけじゃなく、次からは気に入ったカフェに入って休憩しながら旅をしよう。最近よくそう思うようになった。
どれもこれも素敵だなと思うところを片っ端に制覇していくわけにもいかないけど、いいなと思ったなら実際に訪れてみることもしたい。「時間の使い方」を次はしっかり意識しながら歩こうと自分に誓う。
ちょうど午前の光が建物や葉っぱを照らす時間帯だったのでとてもきれいだった。
グアナファトはやはり一泊二日は最低でも必要。
日帰りだったらこんなきれいなところ、知らずに終わるところだった。
世界には星の数ほどの人々がいるように、全く知らない空間がいろんなところに存在していて、私はその存在をもっともっと知りたいといつも思っている。
その好奇心はいくつまで持続するんだろうか。
美しいものや心を揺さぶられるような時間や風景に出会うために歩き回っているのかも。
だから欲が深くなっていつも信じられないほど歩いてしまうのかもしれない。
(本当に信じられないくらい歩いていると思う)
じゃあそろそろ行ってみようか、ディエゴ・リベラの生家へ。
かなり適当に歩き回っているのだけど、迷子になっても楽しい街グアナファト。
そういえばガイドブックに日本人が経営するジェラート屋さんがこの辺りにあるとかないとかで、なんとなく探しながら歩いてみたけど、その情報すら真実なのかどうかわからないまま写真とにかくノンストップで撮りまくる。
坂道は大好物の写真スポット。
歩くのはキツイけど、傾斜と遠近感のコントラストが立体感を作り出す。
ディエゴ・リベラの生家へ到着。
あんなに写真撮りまくってたわりには外観の写真がないのでいきなり内部から。
エントランスはおしゃれな雰囲気。
実はそれほどディエゴのファンでもないんだけど、たまたまグアナファトにきたらディエゴ・リベラの生家があった。って感じ。
メキシコシティでもグアナファトでもディエゴのベットルーム見ちゃって(これで3部屋目)なんか親近感湧いてくる。
確かフリーダ・カーロの伝記によると、ディエゴは太ったガマカエルみたいな人(注:フリーダがそう言ってました)とのことだったので大柄な人をイメージしていたけれど、そのわりにはベッドが小ぶりなので実はそれほど背は高くなかったのかもしれない。
ディエゴの生家はグアナファトの中心地、メインの裏通りにあって、家は典型的なスペイン風、パティオの吹き抜けが天井まで貫いている。
このスタイル、キューバもそうだった。
これの目的はなんなんだろう。風通し?採光?単なるデザイン?いずれにせよスペインの影響。ヨーロッパはこういう建物多い。パリのボンマルシェやギャラリーラファイエットだってそうだし、グラン・パレだってそう。荘厳でかっこいいので、パリに訪れた際はぜひお立ち寄りください。いつ行けるかわからないけど。
個人的にはボンマルシェが一番気に入っている。あそこの吹き抜け、毎回ディスプレイが変わるんだけどどれもこれも奇抜だしエスカレーターのデザインもかっこいい、一階のメンズセーター売り場とか見るといいセーターを売っていて用もないのについ見入ってしまう。
ディエゴちゃんもきっと気にいるだろうな、パリ。
生家といっても内部はがらんどうで、過去のデッサンやスケッチがちらほら展示されている。
1. グアナファトの耕作風景
2. 噴火による避難民の大移動
3. ユニセフの到着
4. リーダーの登場と町の統治
5. リーダーの説教とそれを聞くグアナファトの人々
(以上、勝手な想像でした)
上に飾ってあるのはディエゴの代表作のレプリカ。
突如現るハリボテ人形につい笑ってしまう(今もまた笑ってしまった)。
ちょっと政治的な雰囲気のするスケッチ。
ディエゴも共産主義だったし当時のメキシコはたくさん活動家が溢れていた時代だった。こういう芸術家(画家、作家など)は代弁者の役割を率先して担っていたみたい。それって言論の自由がメキシコはある程度許されていたからなんだろうか。
最上階はミニシアターになっていたけれど、お客は私ともう一人外国人女子観光客だけだったので上映はなし。そもそも上映しようなんていう雰囲気は微塵もなく。
フリーダが愛を込めて太ったガマガエルと呼んだディエゴ・リベラはメキシコを牽引する偉大なアーティスト。その雰囲気がこの美術館からは全く読み取れず宝の持ち腐れ感半端なかったけど、入場料がたったの25ペソ(130円)と思えば文句のつけようもなし。
この上映室からの眺めがいいね。
グアファナトの旧市街に住める人は羨ましい。多分どの家からもある程度似たような風景を見ることができるはず。どこもかしこももれなくカラフルな家なんだから。
このカラフルな街並みも歩いていてたまに「ちょっとやりすぎでは」と思ったのも事実。でもここは住むものの宿命で好むと好まざるに関わらず、色を塗るルールなのだろうし、それでペンキ屋も生計を営むことができて、グアナファトも観光地として維持し続けることができるのだろう。
おじいちゃんディエゴ、生家の前で撮った写真。
多分美術館としてオープンした時にしぶしぶ撮らされたんじゃないかな。
そんな顔してるように見えるし、そういう顔なのかもしれない。
Diego Rivera Museum and Home Guanajuato
入場料25ペソ(130円くらい)
月曜休み