フリーダ・カーロというメキシコの女性画家がいます。破天荒でショッキングな画風の中に、メキシコならではの色彩をふんだんに取り入れた独特の世界観を画一した人です。
フリーダ・カーロは子供の頃から病弱だった上に、交通事故で体に手すりの棒が貫通するという大事故を経験しました。それによって体の機能をことごとく崩壊してしまい、奇跡的に一命を取り留めたものの障害を痛みや苦しみと背中合わせで生きて行くことになります。そんな苦痛から彼女を救ったのが芸術であり夫となるディエゴ・リベラなのでした。
と書くと、なんだか彼女は強くたくましいメキシコ女流画家という風に聞こえるかもしれないですが、映画や本を読んだり作品そのものを観るとやはり精神的に不安定な活動家の印象の方が強いです。時代は1930-40年代はまさに世界中が不安定だったように、メキシコにも色々な思想が吹き荒れその吹きだまりの一つであったのではないでしょうか。
一方で絵画の世界で女性が名を轟かせることは大変ハードルが高いことなので、彼女の社会的地位は非常に稀有なものと言っても過言ではないでしょう。
そんなフリーダ・カーロですが、お母さんの生まれはなんとオアハカです。
(オアハカまた行きたい)
その影響でフリーダは生涯にわたりオアハカの民族衣装を日常のワードローブとし続けました。
メキシコって本当に大きい国で、州によって様々な文明文化が根付いてきた歴史のある国です。多種多様な生き方をしてきた人たちがそれぞれの文化習慣を継承して現代に至っています。
さて、前置きが長くなりましたが、早速フリーダ・カーロの家に行ってみましょうか。
これが見えてきたときはちょっと感動しました。
メキシコ旅行は長年の夢で、その時は必ずここに訪れようと思ってきたからです。
ところが行ってみると、とにかく入場まで長蛇の列。
回転が早いとタカをくくっていましたが全然列が前に進まない。暑いし喉は渇くし、何よりも時間のロスが痛いのでチケット事前予約をお勧めします。チケットを持っていない完全フリーの入場者だけがこうやって行列に並ばされます。
やっと入場!チケット窓口があるエントランスはこのようにハリボテがぶら下がり楽しみ感がぐっと上がります。
(エントランスが狭くてうまく写真が撮れない)
中庭。
中庭が広い。家より広い。
原画を観て知ったのですが、意外とキャンバスそのものが小さかったんですね。
これは定番の作品。
苦しい人生だったんだと思います。幼い頃の事故で生涯をコルセットをつけて生活したのです。彼女にとって死は身近なもので、生は受け止めきれないほどの試練だったのでしょう。
確かここはキッチンだったような。
客室?かな。ディエゴの部屋かも。
(ディエゴん家にはそういえばキッチン見当たらなかったなあ)
アトリエ。
本棚もずらり。窓が大きい家はなんかいいですね。
画材。
車椅子が置いてあります。
中庭を望む。
フリーダの寝室。これはちょっと、、、怖い。
寝室には女子にはたまらないコレクションがずらり。
こういうの見るとかわいらしさもあった女性だったんだなと思ったりもします。
(まるでアンティークショップに来たみたいです)
RENKA BOHUSの意味がわからない。人の名前かな。
外観。
あれ、もう終わり?!っていうくらい家が小さいです!
その代わりすごい立派な庭園というか公園みたいな庭が。
あちらに別棟があるみたいなので行ってみるとフリーダの衣装館となっていました。
マネキンが真っ白なのでちょっとイマイチですが、実際は褐色の肌のフリーダにとても似合ったのだろうと思います。
これはフリーダ本人が実際身につけていたコルセットです。上半身は完全にこういうもので固定しないとダメだったんですね。寝る時は外すだろうから辛かったかもしれないですね。
痛々しくてかわいそう(涙)。
そういうハンデを払拭するかのごとく実はオシャレの達人だったんですね!
これなんかもすごい!
(レースや刺繍は当時も高価だったと思います)
美術館を一通り歩いた頃には雨雲が立ち込めて空が暗くなってきました。
世界中の人たちの知るところとなったフリーダ・カーロの生家は「青の家」とも呼ばれています。
木は太陽の日差しだけでなく雨風からも家を守ります。新緑の時期になるとむせかえるような葉っぱの香りを漂わせ酸素を吐き出し、鳥を呼びます。自然と共存するライフスタイルの重要性を理解せず、人間の勝手な理由で木を切る人の気持ちがどうやっても私には理解できません。
楽しい都会の喧騒も飽きた頃にここへ帰りたくなる気持ちもわかります。
そんな静かなコヨアカン地区訪問は、観光の際ぜひやることリストに加えてほしい。
Museo Frida Kahlo
火曜日〜日曜日 10:00-17:45 (曜日により時間変則のため事前にHP必ず確認)
入場料:220ペソ(約980円)※事前にネット予約する方が断然いい
撮影料:30ペソ(約150円)
※2018年情報
https://www.museofridakahlo.org.mx/en/the-blue-house/
ここは日本語だと「博物館」と訳されていまして、なんでだろうと思ったら美術作品がほとんどなくて生家を公開しているのがメインだからなんだと最近やっとわかりました。
ちなみに、フリーダファンであれば必然的にこのルートになるであろうディエゴ・リベラとフリーダ・カーロの家(サンアンヘル地区)からのアクセスは以下の通り。
<サンアンヘルからコヨアカンまでの行き方>
Uber使っていくのが一番賢い手段。だけど携帯が使えない環境の場合は呼べない。となると公共機関を使うならバスしかない。ということでアクセス方法載せておきます。ディエゴの家のスタッフに教えてもらいました。
1) ディエゴの家から東(地図右方向)にある大通り(4号線)まで歩く
2) 交差点の角にあるスーパーマーケット(地図上⭐️Sumesa)を探す
3) その前にあるバス停からMercado de Coyoacan行きのバスに乗る
4) Mercado de Coyoacanで降りる
5) Google Mapを見ながらMuseo Frida Kahloまでたどり着く(約5分くらいだったかな)
※チケットは車内で運転手から買いました。値段は多分一律だと思うので適当な小額紙幣で運転手さんに払ってください。
以上です。自力ではさすがに無理なので、地元住民の力を借りましょう!
ハードルが高い移動方法ですが真横一直線コースなのでめちゃくちゃ近くて安くて便利でした。大きな木立の並ぶ並木道の大通りを走るので、この界隈の美しさも堪能できます。下車する時のキーワードは「メルカド デ コヨアカン」です。アナウンスや表示はないので周りの人に着いたら教えてくれと伝えておいてください。私の場合は隣に座っていたおばさまが「私もメルカドに行くところだから着いたら一緒に降りましょう」と言ってくれました。ムーチョスグラシャス。
スーパーで水を買うついでにバスのチケットをどこで買ったらいいのかレジの人に聞いたとき、買い物客も含めた3人がかりで私のつたないスペイン語を一生懸命聞いてくれた人たち、バス停で20秒ごとにくるバスのどれに乗ったらいいか教えてくれた人や、バスのおばさま。
基本的にはみんな控えめで謙虚。おせっかいなところがない。それでいてこちらから近寄っていくと途端にフレンドリーになるあの気質がとても気に入りました。外国人観光客に対してちょっと警戒心があるんですねやっぱり。でも根底は優しくてあたたかい。そんな印象です。危険なメキシコのイメージがどんどん解かれていきます。
そんな大冒険な一日はまだ続く。