世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

トルコの蜂蜜

こないだ読み終えた本がちょっとショッキングな内容だった為、
お口直しに米原万里さんのエッセイを読みました。



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若い頃にたまたま手にした米原さんのエッセイがおもしろくておもしろくて、あれから随分経ってたまたま数ヶ月前に本屋さんで目にしたこの文庫本と続編を買って次に読む候補の本の中に入れていました。この人の話はつくづく深みがあって嫌味や自己欺瞞は一切なく感じがいい。今読んでもいろいろ新鮮でした。文庫の解説を書いた池澤夏樹さんは、エッセイは作家の自慢話だと書いてあったけど私はそうは思わない。中にはそういう人もいると思うけど(言ってる張本人含め)、米原さんに関しては全くそう思わない。





本の中で「トルコ蜜飴の班図」という話がありました。
米原さんが幼少時代プラハのロシア(ソビエト)学校に通っていた頃にロシア人のクラスメイトがくれたハルヴァというお菓子が美味しくて忘れられないといった内容で、しかしどんなに手を尽くしても2度とハルヴァには巡り会えなかったそうなのですが、実はトルコには英語でTURKISH DELIGHTと呼ばれるお菓子があり、語源が変わって言い方は変われどあの時食べたハルヴァに限りなく近い、という話でした。


そのトルコの「蜜飴」、TURKISH DELIGHTとはつまり、ロクムのことです。







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(今まで食べたどのロクムよりも一番美味しかったカルカンのロクム)




ロクムは大方ナッツがふんだんに入ったお餅のような食感の中東のお菓子で、作り方や技法はお店によって大きく異なります。



トルコはとにかく蜂蜜がおいしい。
ちょっとびっくりするくらい日本や他の国のものとは味が違う。
だからトルコ蜜飴とはよく言い得た訳だなと思いました。なぜならロクムの美味しさは実は蜂蜜そのものがキーなのではないかと思っているからです。





これ、フェティエにあった蜂蜜屋さん。


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(手前の缶売りすごいですね)



ご存知のように蜂蜜は木の種類によって味や色が変わるのですが、トルコで一般的なものはちょっと赤みがかった色のものでした。なんの木だったかはさすがに知らないけど、とにかく美味しくて毎日朝食のヨーグルトと一緒に食べました。めったに蜂蜜を買って食べない私にしてはめずらしく自分用に買って帰ってきたほど。




そして先日フラッと立ち寄った都内の蜂蜜屋さん。そういえばトルコの蜂蜜あるかなと思って聞いてみると、さすがに取り扱いはないとのこと。だけどショーケースをみるとギリシャの蜂蜜なら置いてある。隣同士の国だから味も似てるかもと思い試食させてもらったら、まあなんと味がそっくり!店員さんにそれを伝えると、「お客様お目が高いですね、ギリシャの蜂蜜は世界一おいしいと言われているんですよ」とのこと。値段をみると圧倒的に高い。なるほど、だからロクムがおいしいわけですね。





ということは米原さんが幼い頃に食べたハルヴァも中東方面の蜂蜜を使っていたのかもしれないな、などと想像しながら楽しく本を読むことができ、実際本当にいいお口直しになりました。





フェティエの蜂蜜、買ってくればよかったなあ。。。と今なら思いますが、あの日は暑かったしこんな重いの持ってイスタンブールまで行くことを考えるとゾッとしたので買えませんでした。グランバザールの近くの食材屋さんで小瓶の蜂蜜を買って済ませましたがそれもとんでもない美味しさに感動してしまうくらいだったので、フェティエの蜂蜜屋さんのはもっとおいしかったかもしれません。




長くなりましたが、「トルコの蜜飴」からの連想話でした。