いよいよメインのビーチへ向かう。
ホテルを出て幹線道路まで歩いて行く途中で、ある一台の車が止まって「町まで行くなら乗せて行こうか?」と声をかけられました。
今日はカプタシュビーチに行くので逆方向なんです、というと、「じゃあ幹線道路のとこまで乗せてってあげる」と言って車のドアを空けてくれたのは40代後半くらいの女性。
「あそこまで歩くのも結構あるのよね」と言ってサングラスの向こうで微笑む。
危険センサーは作動しなかったので、ありがたく甘えることにします。
プジョーの小型車にも似たクーラーがほどよく効いてる車に乗っているその婦人はイギリス人。
カルカンに住んでもう10年。
ここでずっと外国人相手の不動産ビジネスを営んでいるそう。
今日は暑くてやってらんないわね、と言ってました。
こないだまではすっごい涼しかったのに急に暑くなったとのこと。
やはり地中海の夏は5月末。
狙い通り。
そんなおしゃべりはつかの間。
もう着いてしまったのでお礼を言って別れます。
今日もいい天気。
ここでバスを待つ。
今日は道路の脇で1人で立っているのも昨日ほど気にならない。
朝のせいかもしれません。
ホテルの人は「多分間もなくバスが通るから」と言っていたのだけど、ここに時刻表なんて存在するのだろうかと思っていたらほんとにやってきました。地元の人の勘ってすごい。
手を挙げてバスを止める。
中はほとんど満席だったけどかろうじて乗れました。
バスに揺られること5分程度。
ようやく着いた。
というか、ついに来てしまった。
カプタシュビーチ。
思い返せば今年の2月。
トルコのリゾートを徹底的に調べていたときに偶然みつけたこの小さな浜辺。
いいなあ、行ってみたいなあ。
そう思った。
でも遠いし不便そう。
だから似たような場所を必死に探しまくった。
だけど数日後にふとひらめいた。
「行ってみたいじゃなくて、行っちゃえばいいんだ」と。
なんでそんなことに気付かなかったんだろう。
どうして初めに諦めちゃったんだろうか。
後になってからすごくシンプルにそう思いました。
にぎやかな海の家もなければトイレもない。
リゾートホテルもないしおみやげ屋も更衣室もない。
断崖絶壁の海岸線の途中に、ふと眼下に現れる手つかずの大自然。
カッパドキアに続いて心が震えた二度目のトルコ絶景バージョンパート2。
(パムッカレはそれほど・・・)
右下クリックしたらフルサイズでみれます
最近つくづく思うのですが、自然の美しさにかなうものってないのかもしれないですね。
人工的なものはどうやったって人工的であるにしか過ぎないのかもしれない(パリを除く)。
これはやっぱり近々ハワイに行くべきなのだろうか・・・。
階段おります。
早くビーサンになりたい。
きれいーーーーーーーー
この崖からダイブしたい
(注:ダイブはやったことがありません)
どこに座ろうかなあ~
ここにする。
さっきまでいたカップルが使っていたパラソルのそばの岩に座る。
外国人が読書しにビーチに来てる。
そのパラソルを立てるトルコのオバチャン。
事前調査によるとこのビーチで唯一の商売、パラソル屋は20ユーロ程度らしい。
更にはなんと熱々のチャイを作って売ってました。
灼熱の浜辺でやかんが沸騰している光景を見たのはこれが初めてです。
さすがの日本人もびっくりの熱湯飲料文化。
せめて海辺では冷たい飲み物を売ってほしいものです。
さっきバスを降りた道路はあっちの崖の下。
その岩壁沿いに階段があってそこから下りてきたかたちです。
ここでしばらくボーッと過ごしました。
本を読むにはもったいない景色。
海は飽きない。
ずっといても退屈しない。
暑いの平気。
美白も気にならない。
できれば今日も日が暮れるまでずっとここで海の音を聞いたり昼寝したりしていたい。
でも悲しいことに時間がありません。
お昼過ぎには出て空港に向かわないと飛行機に間に合わない。
なんといってもカルカンから最寄りの空港までは4時間かかるのですから。
その時思いました。
もともとこのビーチに来たくてカルカンにやってきたのに、なんでここを最後の楽しみに取っておいてしまったんだろう。ホテルだって思うほどゆっくり過ごすこともできないまま立ち去ろうとしている。「何もしないで過ごす休日」をしたくてハードな旅程を乗り越えてまでわざわざ来たというのに、一番のメインを後回しにしてしまったおかげで、時間切れで満喫できないまま終わろうとしている。
つまり、私はまだまだそういう休日の過ごし方が下手なのだということがよく分かりました。
欲張りだからなんだと思います。
大反省。
こんなキレイな海なのに、見に来るだけみたいになってしまうなんてありえない。
ほら、ダイブしてる。
(やっぱり私にもできそうな気がしてきた)
だけど、考えてみるとカプタシュビーチを後回しにしたおかげでパタラビーチにも行けたし、どっちかというとこの日の方が海日和だったから、結果的にはよかったのかもしれない。
「物事は成るべくして進んでいる」のかもしれない。
(永遠の自問自答なので気にしないで下さい)
さようなら、カプタシュビーチ。
水彩画みたいな美しいグラデーションの海。
リゾートの過ごし方の反省と発想の転換、永遠の自問自答。
パラソルのオバチャンをみて実は少し切なくなる気持ちとか。
(いくらお金を払っているとはいえあんな召使いのようには使えない)
多分もう行くことはないと思います。
そう考えると寂寥の思いに胸が詰まります。
そしてこの先将来も、きっとこの日のことを何度も何度も思い出すのだと思います。
(カプタシュビーチのそばで海の家でもやろうかな)