私の記憶だと、確か以前は内覧すらできなかったはずです。
なので、幻の邸宅だったのです。
しかも2009年に改築が終わったばかりだとのこと。
私がここを訪れたのは2010年ですから、ほやほやの頃だったようで嬉しかったです。
右手は財団オフィス、奥がロシュ邸。
ロシュ邸の裏手にあるパリの古いアパート。
なんだかローマにいる頃に住んでいた、カビ臭くて暗くて寒いアパートを思い出す。
私が訪れた時は、平日にも関わらずどこかの学校の男女が見学に来ていて入り口はごった返していました。てっきり順番だと思って待っていたら、フリーのビジターはすぐに入れたみたいでそれに気付いたのは到着してから10分後。また入り口が分かりづらかったんで。。。ちっちゃい字でちっちゃいプレートに「御用の方はベルを鳴らして下さい」って書いてありました。ブーと鳴らすと奥から若い男性が扉を開けてくれて予約している団体の方かと聞かれましたが違うと答えるとすんなり中に通してくれました。
じゃ、中はいります。
吹き抜けになっていて開放感あるエントランス。
ここで事務所の人に5ユーロ払ったあと、靴にすっぽりビニール袋をかぶせるように指示受けました。
土足厳禁のようです。
歩くたびにカサカサ音がします。
すでに迷路の予感。
ロシュ邸。
なんといっても見どころはこのギャラリー。
採光をふんだんに取り入れて開放感のある高い天井を作る。そしてこの丸みのあるアプローチといい、自由なスペースが約束されています。
昔はこんなふうに無数の絵画が展示されていた。
(↓写真下)右側に取り付けられているブリキのような長方形のものは、ライトです。
実際についているのを見た事はありませんが、美術館の照明と同様で、あかりを壁に反射させてそのぼんやり感が部屋全体を照らすような仕組みになっているようです。
彼にとって窓はフレーム。
景色そのものを絵画のようにとらえるその感覚は本当に斬新。
四季や天気、自然の移り変わりも日々感じることができる。
美しいですね。パリの景観はほんとに。
ここは図書室。
図書室といっても、廊下なんですよフツーの。
吹き抜け部分の廊下の一部を図書室にして、天井をくりぬいて自然光を入れてその下にソファ置いて読書するスペースを設けています。今はこのようにソファしか置いてないので分かりにくいです。
建物は大きく二つに分かれていて、渡り廊下をはさんで向こう側は食堂や寝室、バスルームになっています。
思わず写真を撮らずにはいられないこの緻密性というか正確性というか。
食堂。
食堂側からのぞく渡り廊下の向こう、リビング方面。
洗面所。
渡り廊下から見るギャラリーのある棟。
ここは全面採光。
お天気の良い日はすばらしいサンルームの役割を果たすのでしょうね。
サヴォワ邸も小部屋はどれもこんな感じでした。
窓は真四角でヒーターが並行に置かれ、向こうは緑の景色が見える。
それが別の部屋から直線上にまっすぐに見ることができる。
(トイレ、写真撮るとき恥ずかしかったなあ)→かなりしゃがみこんでます
光と影のコントラスト。
ヨーロッパでは一般的な空間。
日本はどこもかしこも部屋の四隅までしっかり照明が照らしてくれていますが。
いつか家を持ったら、リビングの壁は薄いオレンジにするのが夢です。
二面だけ。
コルビジェ自身も絵を描く人だったので、インテリアのカラーバリエーションはそこからインスピレーションを得ているそうです。
コルビジェは1990年初期に活躍した建築家。
フランスは宮廷文化がどっしり構えていた歴史があるので、こういったモダン建築の派生は非常にめずらしかったというか、建築の突然変異だったのじゃないかしら。
コルビジェ文献集。
欲しいけど全部フランス語。読めない。
ここは日本の住宅展示場じゃないので、寒そうだとか実用的じゃないとかそういうこと思っちゃダメ。
何があれば人はメンタル的に癒されるのか、心地良く生活するためにはどういった動きのメカニズムが必要なのか、などといった建築哲学の結集ですのでよろしくどうぞ。
(なんて偉そうに言ってるけど、別に私もイロハを知ってるわけじゃないですがね)
こういうものを、ちょっとでも興味があれば足を伸ばしたりするのが好きです。
欲張りなんで。