世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

モンマルトル界隈

モンマルトルに着いてまず目指したのは、2010年パリのバゲットコンクールで優勝したパン屋さん。

ここで朝食用のバゲットとランチを買うのが目的。



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店内はひっきりなしにお客さんが入ってくる。
パンだけじゃなくケーキやスイーツもショーケースにずらり!
お呼ばれした時にこういうの持ってったら喜ばれるだろうな、と想像してしまわずにはいられないような、見た目もかわいくておいしそうなスイーツがたくさんあった。


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クッキーとかもたくさんあったので、おみやげにいくつか買ったら結構な荷物になってしまった。





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この上の写真のオレンジ色の本はパリマップ。
すべてのストリートや広場の名前が載ってるもので、これさえあれば絶対に迷子にならない。
今回の旅は、自分が行きたいところをあらかじめメモしておき、このマップ本を持って移動した。
ガイドブックは持たない。



モンマルトル界隈は歩いているだけで、思わず立ち止まってしまいたくなるようなお店が多い。


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すっかりアメリカナイズされた日本の大型店舗のウィンドウと違って、ヨーロッパは見せ方が違う。

お店のウィンドウは、お客さんが「お店に入ってみたい」動機を決定づけるための重要な要素。

だから店主の個性が満載。




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パリが美しいと思う瞬間は、街のさりげないところにもある。




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小さな通りにはアンティークショップやギャラリーがひっそりと立ち並んでいる。



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通りのつきあたりにある階段を上ると広場にでた。



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振り返るとこんな風景。



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広場のすぐ入り口にあるカフェ兼レストランはセンスのある建て構えでとても目立っていた。




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その広場沿いに建つホテルはとても古いんだけど趣があって詩的な雰囲気がただよう。



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いい広場だ。





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秋はそこらじゅうにちりばめられている。


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サクレクール寺院はパリでもかなり小高い丘の上に建っているから、モンマルトル界隈は坂道が多い。


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ヨーロッパのお店はよく休む。特に月曜日は要注意。



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坂道をどんどん登る。




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ウィンドウも旅情を引き立たせるような雰囲気のあるものが多くなってくる。



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ついにサクレクール寺院手前の並木道階段のところについた。

地上とサクレクール寺院を結ぶロープウェイもあるが、帰りは階段でゆっくり下りていくのもいい。




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ここは本当に大好きなパリの風景の一つで、この並木と階段と照明、坂道に沿って並ぶパリの重厚なアパルトマンがとにかく絵になって、坂道に沿った風景が好きな自分としてはツボにはまるスポット。
ついついシャッターを押したくなる衝動に駆られてしまうのだけど、この風景をうまく撮るのはすごく難しい。毎回うまくいかない。ポストカードを買った方がよっぽど満足できる。



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階段を上ると、10歳くらいの子供たちがペンと髪をもって近寄ってきて署名活動に協力してほしいとジェスチャーされた。その紙をチラッと見ると、「口のきけない人々の救済」と書いてあり、すでに20人ほどの署名と寄付金の額が書いてあった。

だけど、その署名を集めている少女や大人は、あきらかにジプシーだった。
全員が口のきけないフリをしていたがそんなはずがない。
ちょうどロマ難民問題でフランス政府が大掛かりな処置をした直後だったので、この人たちはまだ国に帰れない人たちなのだろうかと不思議に思った。どうやらパリ中のロマ(ジプシー)人がみんな強制送還されているわけではなさそうだ。




なんともいえないおとぎ話のような建て構えといい、丸くてコロンとしたうろこ屋根といい、
何度見ても何度訪れてもいつも変わらず、それでいて新鮮だ。




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着いた頃にはとうとう小雨が降り出した。

雨に濡れ始めたベンチを軽く拭いてから傘をさし、さっきのパン屋さんで買ってきたサンドイッチと水を取り出してランチタイムを取る。隣りのベンチにはアメリカ人らしき若い男性も一人で本を読んでいる。小雨が降り出して少し困っている様子だったけど、別にそれほど気にしている感じでもない。近くにたむろしていたあやしげなモロッコ人が一人彼のところにやってきて英語で話しかけてきたけど、彼は徹底的にそれを無視していた。ゲイだと思われたくなかったのかもしれない。



すると、さきほどのロマの少女がまた私のところにやってきた。
自分は声が出せないから口に出してお願いはできないの、と署名をねだる。
私は冷たく首を振る。
申し訳ないけど、それはウソだと分かっているからだ。
もし署名をしようものなら次は寄付をねだってくるに決まってる。
そしてお財布なんか出そうものならいつそれをねらわれるか分からない。

何度もしつこくねだられたけど、黙って首を横に振ると「もう!」という態度を取って怒ってどこかへ行ってしまった。だけど数分後にまたやってきて、今度は私の隣りのベンチに座っていた外国人の青年のところへお願いに行った。すると彼は署名には見向きもせずに、黙ってかばんの中から自分の持っていたパンを取り出して彼女に差し出した。そのロマの少女は微笑んでそれを受け取り、すぐそばにいる仲間の少女のところへ走り去った。それまで口のきけないフリをしていたはずの少女たちはそのパンを手にした時、ほんの小さな声で会話をしたのを私はしっかり聞いた。思った通りだ。口がきけないのはただの芝居なのだ。




だけど、その青年のやったことは私よりもずっとすがすがしいなと思った。








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ベンチに座って黙ってサンドイッチを食べながら、この景色を眺めていた。

いろんなことを考えたり思い出したりした。

でも今となっては何を考えて思っていたかなんてほとんど思い出せないから、

どうせ考えていたことなんて大したことじゃない。




そのうち小雨はすぐに止んだ。