世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

危険な情事

さて、先日の『恋人たちの予感』に引き続き、1,000円叩き売りで買ったDVD2枚目はこれです。




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危険な情事(Fatal Attraction) 1987年アメリ
監督:エイドリアン・ライン
主演:マイケル・ダグラス、グレン・グロース、アン・アーチャー

(あらすじ)
亭主の浮気相手に執拗にストーキングされる話。


当時ストーカーって言葉、なかったですねそういえば。
私、この映画を最初に観た時本当に震え上がりました。ストーカーが怖いんじゃないんですよ。
この女の人がむちゃくちゃ怖いんです。





個人的に思うのは、キャスティングが最高でした。

とてもセクシーで優しくて気立てのよい完璧な妻と、食べちゃいたくなるくらいかわいい愛娘に愛犬ラブラドール・レトリバー。誰がどうみても「いや~そんな完璧な家庭捨ててまでグレン・グロースにはいかないでしょ」って思わせるようなキャスティングだったんです。



まずは浮気をした夫役を演じたアメリカの津川雅彦ことマイケル・ダグラス。
なんかエロティックサスペンスとくればこの人!ってイメージが強かったけど、私は以前レビューした『ウォール街』を観た時からとても好感をもっていたので抵抗はありません。ジャック・ニコルソンが悪役のはまり役であったように、上級な現代サスペンスをさせたらこの人の右に出る人はいないでしょう。当時はそういう個性派俳優さんってたくさんいたんですよね。


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次は狂気の浮気相手を熱演したグレン・グロース。 
この人の名前はこの映画を観てからしっかりと刻まれました。本当は素朴な女優さんなんですが、当時はあまりにもこの映画の悪女ぶりが印象的でしたのでしばらくそのイメージがぬぐいきれず。


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そして妻役のアン・アーチャー。

美しかったなぁ。初めて観た時にすごいセクシーで美しい人だったというのを鮮明に覚えています。
この映画の中でも完璧な妻を演じています。


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浮気した男は浮気相手の女になかば脅迫されちゃうんです。
目の前でリストカットされるわ、車は破壊させられるわ、会社にしつこく電話をかけてくるわ、他人のふりをして奥さんに会いに来るわ、イタ電はかけてくるわ、挙句の果てには妊娠まで・・・。更に嫌がらせはエスカレートし、子供を誘拐するわ、かわいがってたウサギを鍋でゆでちゃうわ、はっきりいってターミネーター2に出てくる敵の人よりもしぶとくて怖ろしいです。八方塞になっちゃうんです。


■もうひとつのエンディング

上映作品の本編では、浮気相手が実家に押しかけてきてナイフを持って暴れて大騒ぎ。


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ところがこの怖ろしいラストは後から撮影されたもので、最初は別のエンディングが用意されていました。



浮気相手の女は、オペラ「蝶々婦人」を聴きながら(悲運をオペラになぞらえてます)バスルームで自分の首を刃渡り30cmくらいの包丁で切って自害するものでした(これも十分に怖ろしい)。ところが当時試写会を行ってみせたところ、かなりの非難をかったそうなんです。アメリカってそういう人権だとかにうるさそうでしょ。「独身女性をバカにしている」とか「全てのシングルの女性に対する偏見だ」とかとにかくすごかったらしく、やむなくラストを書き直して撮りなおしたんですって。
ただ、グレン・グロースだけは必死に反対したそうです。彼女自身の見せ場がなくなるのもそうだし、役柄の心理を考慮すると自害するのが自然(っていうと言いかた悪いけど)だったと考えたそう。

いずれにしても良くできた脚本とエンディングでした。素晴らしい。

この映画を同僚に勧めたところ、近所のレンタルやには置いてなかったというから信じられない。


いやはや、生身の人間がここまで怖いと思わせるのはシャイニングとこれかな。