バンコクにあるジム・トンプソンの家というミュージアムがすごくツボでした。
まず道中の風景。大渋滞の雑踏から少し離れると穏やかな風景と閑静なコンドミニアムが立ち並ぶ。
つきあたりにその家はありました。
ここはアメリカ人のジム・トンプソンという元工作員?(情報将校)だったのですが、タイに来てタイシルクに魅せられて以来シルク産業をバンコクに知らしめたという由緒ある方なんだそうです。ここはその工場とかではなく、あくまでも彼の個人邸宅です。インテリアに興味のある方はぜひ行かれてください。
ちなみにジムトンプソンは1967年にマレーシアを旅行中謎の失踪を遂げていまだに手掛かりはつかめていないそうです。
エントランス。チケット売り場のあたり。
レセプション。
ここでお客様をお迎えしたりパーティーを開いたりしたのだそう。
タイの伝統的な家屋のスタイルは「高床式」。
ですのでこの写真はその高床の下の一階部分になります。
ちなみにこちらの家はトンプソン氏自ら家屋を選んで運ばせ、数棟の家を合体させて作ったのだそうです。
つぎはぎ住宅なのです。
レセプションからまずはお庭を歩きます。
なんと、左の壁の向こうは運河。
昔はこの運河の向こうにいるご近所の中東人とシルク産業を営んでいたとのこと。
バンコクは意外にも運河が割と多くて、いまでも交通手段として活躍していました。運河沿いにある食堂やマーケットなど、水辺の商業が流行ったんですね。ベネツィアみたいです。
この家はその運河沿いにあって、船着場から玄関を通らずにまっすぐ家に入れるように導線を作ってあるところに個人的には非常に感銘を受けました。「家は玄関から入らなくてはならない理由はない」っていう、半ば強引だけど理にかなってるその考え方は日本人にはなかなか発想できない斬新なスタイルだし、暑い国ならではだなって思いました。
また、庭にあったこの祠が実に印象的でした。
正面を見ると、、ん?
このケチャダンスみたいなお人形は一体なんなんだろう。いずれにせよこうやって祭壇を祀るんですね。タイの祭壇はカラフルで賑やかなのでとても興味深いです。
レセプションに戻って来ました。
このロッカーに私物を全部入れろと言われます。なかなかアンティークなロッカーですてきでしたが写真がブレた。
せっかく一眼レフ持って来たのに内部は撮影禁止。。。もちろんスマホもダメ!バックも何もかも手ぶらで案内されます。
ところが私はこのお家にえらく感銘を受けてしまったので、写真が撮れないのはもったいないと思い、この本を買って来ました。
とにかくこの広い開放感あるリビングが印象的です。
このリビング中央からバルコニーへ、そして直線上に運河へと繋がり、渡し船がついたらそのまま真っ直ぐ家に入れるように導線が保たれているのです。
長方形に広がるリビングルーム(隠し撮りのためちょっとうまく撮れてません)。
このリビングがまるで映画のセットみたいな開放感のある素敵な空間。
アジアのテイストをうまく取り入れてたちまちおしゃれな空間に仕立て上げるセンスはなぜか西洋人にはかなわない。
本から。
美しいです。
ジムトンプソンのセンスに脱帽。
えーっと何年前の出来事だっけ?
1959年完成だそうです。わりと最近ですね。
(パリだと1800年とかになっちゃう場合もあるからそれと比較すると)
キッチン。
決して広くはないのだけど、バランスよく揃えられたテーブルウェアとインテリアのコーディネイトが抜群。インテリアって結局バランスなんだと思う。広かろうが狭かろうが。
青磁器コレクションが素晴らしい。昔はこういうの全く興味がなかったんだけど、今はなぜだか好きになりました。
書斎。
ここで執筆活動をしていたのですね。集中できそうです。(眠くもなりそうです)
寝室。
おまるが置いてありました。
おトイレ、なかったのか。。。(どうせ運河に捨てたのだろうけど)
ちなみに写真には載ってないけど、扉の下には約40cmほどの高さの仕切りがあって、そこをまたいでお部屋に入るようになっています。それも虫や動物が簡単に入ってこれないようにとのタイの人のアイデアだったんだそうです。
※トルコの海辺のホテルの部屋を白いタランチュラみたいな昆虫が歩いていたのを思い出し、そもそも蚊帳じゃ根本的な解決策にはならなのだと分かりました。
タイの建築のもう一つの特徴としては、一見すると不安定に見えるこのキュビズム様式といえます。建物が直線ではなくどこかいびつな台形に見えるのは、ぬかるみの多い土台に家を建てる時の基本構造なのだそう。高床式なのは、やはり洪水や虫や野生動物から身を守るためのもの。
(この家は前述の通り、ジムトンプソンが当時どこからか運んできた家をつぎはぎにして増築させたもの。写真だと二棟に渡り廊下をつけて繋げている)
昔はあの運河に沿った壁がぶち抜かれていて、船着場から客間までまっすぐ上がってこれるような導線があったところ。ここはかつてその入り口だったから屋根があるのです。
お庭はもはやジャングル。南国の木々が生い茂り鳥の声も聞こえます。
召使いさんの別宅。
今は展示室になっていました。(ここは撮影可)
古のタイの人々の日常。サルエルパンツみたいなのは当時から履いている。
火を使った料理などもあるらしい。
アット・ワルンみたいな寺院。僧侶がいますね。
やっぱりタイは昔から商売の盛んな国だったんだ。
それがきっと今の屋台文化に受け継がれているのですね。
いいところだ。また来たい。
バンコクのガヤガヤした喧騒から切り離された異空間。
終わり!
この後は早めのランチをここで済ます予定。
ジムトンプソン的なレストランが併設されているのです。
と、思いきやそちらはなんかすごーく高級そうな雰囲気漂う。
私のような一人旅の庶民には気持ち場違いな感じがして、ランク落としてカフェの方に行ってみる。
おしゃれだわ〜。
ちょっと雑踏に疲れたらここおすすめ。
ここ狙いで行ってもいいかもと思うほどくつろげました。
室内はクーラーが強すぎて冷凍食品みたいに固まるので外のテラスで。
よくわからない飲み物を頼んでみたら、、、これは全然おいしくなかった。
悩んで食べたのがマッサマンカレー。
茶色いカレーです。
すぐ後ろの「超オープンキッチン」(上から3枚目のシェフ写真参照)でその場でジュージュー焼いてる音がしてました。
これが美味しいのなんのって。
マッサマンカレーについては屋台に挑戦するつもりだったけどここでおしゃれマッサマンを済ませてしまったのでもうわざわざ行くのはやめた。
向かい側の棟の二階は高級レストランの方。
それにしても建物が美しいね。
しばらくぼーっとして過ごす。風が吹いて気持ちがいいのです。
去年は激動な日々を過ごした。
でも振り返ってみればいつも激動だった。
だけど去年はその中でももっと激動で、悲しみや辛さに鈍感になっていくほど激動だった。
さっきのジムトンプソンの余韻に浸りながらどんどん無心になる。
絶対に誰も私を知る由もないし、私も誰かを知る由もない。
そういう場所がとても居心地がよいのです。
他人に囲まれている方が安心する。
不思議だけど。
今度またバンコクに来ることがあったらまたここに来たいな。
えーとこの後おみやげ店でジムトンプソンのタイシルクを、、と思いましたが結局ハンカチ買いました。ネイビーとオレンジの具合が一目惚れでした。
- ジムトンプソンの家 入場料 200バーツ(730円)
- 本 1,100バーツ(4,000円)
- おしゃれマッサマンカレーと飲み物 242バーツ(880円)
- ハンカチ 530バーツ(1900円)
なんとここだけで合計2,72バーツ(7,510円)も散財してしまっていた!!
調子に乗りすぎた。。。
3,000バーツは大金よ、バンコクでは。
まあいいけど。
でも本はいいの。
だって日本では非売品だもん。
ジム・トンプソンの家
9:00-18:00
入場料200バーツ
日本語ガイドの館内ツアーつき
朝早めに行くと空いていてよかったです。