去年読んだ「日の名残り」があまりにも美しい小説だったので、去年の暮れにカレンダーを買いに行きがてらこの短編集を買ったのですが、こちらもなかなかステキな作品です。
カズオ・イシグロさんの小説はとにかく場の盛り上がり方がすごくてグーっと読み込ませてテンションを上げ、パッといきなり離して放り投げられるような終わり方。残存と余韻がずーっと続きます。つぎの短編に行く前にまだその余韻を味わいたくなるような、静謐で上品な作品。
イギリス人ならではの頭でっかちな登場人物や、時にユーモアのセンスもなかなかと思えば大人の男女の悲哀、人生の半ばでの荒廃しかけた友人との人間関係など笑いありほろ苦さあり、あっという間に読み切ってしまうのを抑えながら読み進めるという、非常に手応えのある作品ばかり。昔も今も過ぎ去った出来事あるいはその瞬間を切り取った写真のような美しくも哀しい情景が延々と続いてまるで映画を観ているような気持ち。
ぜひ他の作品も読んでみたいと思います。
ちなみに今朝は早起きして築地の税務局へ確定申告に。今年は少しややこしいのでサポート必要。かれこれ三時間待ち、現在に至っては150人待ちです…。時間潰しにはもってこいの本でした。
さて、そろそろ順番かな。