世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ロートレックの黒

ロートレック展に行ってきました。
去年からずっと楽しみに待ち続けていました。
ロートレックの絵はこれまで訪れた数々の美術館にもあまり置いてある数が少なく、
まとめて観るには絶好の機会でした。


生い立ちを読むと、結構放蕩人生なんですよね。
一応美術館だからつつましい表現で書いてるけど、究極にアブノーマルな人だったみたい。
貴族の出身だったからお金はあったんでしょう。ゴッホがテオに「絵の具送ってくれよ~。今日はアルルのはね橋の絵を一枚描いたよ。」なんて手紙を送っている頃、ロートレックムーランルージュではじけまくり!
モネがジヴェルニーの庭で穏やかな晩年を送っている頃、ロートレックは梅毒に。
更に数々の写真を残しているらしいのですが・・・その写真がね。よく捕まらなかったな。

基本的にはドガの影響を受けているらしい。ジャポニズムの影響も?

不定期に発行される風刺雑誌の挿絵では控えめに、
ムーランルージュ、シャ・ノワールなどの大衆劇場の宣伝は派手に、と彼なりに画風を変えていたそう。

描く対象は

踊り子
大衆酒場
娼婦

などに限られており、なぜそのような娯楽ばかりを描き続けたかというと
「汚れていると思われているものにこそ、真の美が隠されている」と思ったからだそう。



そんな彼の絵が好きな理由はずばり、「黒の使い方が見事」だからです。


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この人の絵の中で黒が出てこない作品は珍しいくらいでしょう。
すごく印象的に黒を使いこなしています。
ハイライトの白を一筆でチャッと。

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「ひとり」

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私が一番好きな絵。むかしポストカード買ったんです。
マイナーな絵の部類なのでポスターにはいつもならない。あったら即買いなんですけど。
虚脱感と疲労。の中にもどこかエロチシズムとかわいらしさが混じってる感じがするんです。


「初めての聖体拝領」

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この絵の前に長椅子があったら多分午後いっぱいジーッとみていられる。


「Miss Loie Fuller」

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当時売れっ子だった踊り子。ロートレック展では実際の踊りの映像を流していましたがまるで蝶のようだった。
それ以上にこの絵・・・こういう画風にも挑戦していたのですね。
それにしてもこの人は空間の持たせ方が絶妙です。びっくりしました。


「紳士と淑女、お金のプログラム」

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たったの4色しか使っていないのに!!
そしてやっぱり空間の取り方が大胆。バサーッってえぐりとるような空間ですね。
このポスターはおそらく宝飾関係の展示会のポスターかと思われます(L'argentと書いてある)が、
女性がいかにそういうものに感心が高いかが、淑女の占める割合によって強調されてる気がする。


「ジョッキー」

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躍動感は全ての作品に共通しているものだけれど、これにも参りました。


1880年後期のパリのモンマルトルの写真も多数展示されていました。
メトロの入り口のアールヌーボーな門構えも当時と何も変わっていない。
クリシー通りをたくさんの馬車が走っている写真など、ちょっと感動しました。


ココ最近何度か美術館を訪れましたが割と不服だったのでブログにも載せませんでしたが、
今回のは期待以上だった。
「カフェ・コンセールの連作」なんて完璧にやられた。






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ミッドタウンはあまり好きじゃないけれど・・・
想像以上に空いてましたので、お近くにお立ち寄りの際はぜひ。