世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ローマの空き巣

空き巣。
なんて汚い臭いのする言葉なんでしょう。
とっても嫌な思い出のある言葉でもあります、私にとっては。


当時私はローマのとあるお店で一生懸命(?)働いていました。
(※こちらの恐るべし裏話を知りたい方はこちらhttp://blogs.yahoo.co.jp/beabea642001/230387.html 【注意】これを見たら後で後悔しないでくださいね)

ボスは正真正銘ユダヤ人。毎週金曜日は「お食事会」をかかさない。
商売に厳しく、熱い。
頑張って働いたお給料(現金)を大切に家のクローゼットに隠していました。
私のその頃住んでいた家は大きなアパートの3DK。同居人は大家の画家、ウクライナ人。
そこに日本からきたばっかしの男の子1人と、合計3人で住んでいました。


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ある日私は友人の誕生パーチーに招かれ、明け方まで楽しんで帰宅しました。
鍵をさすと。。。。いつもは誰が家にいても必ず完璧にロックされてるはずのドアが開いている
イタリアは多いところで3つも扉の鍵があります。うちのルールは在宅でも鍵を完璧にかけておくこと。
それなのに「第一の鍵」の時点で扉に鍵がかかっていないことに気付く。

「珍しいなぁ」そう思って家の中に入る。
廊下を歩く。
日本から来たばっかし青年の部屋が全開。部屋の中には開きっぱなしのスーツケースが。
「だらしないのぅ。」と思い廊下を歩くと今度は大家の部屋が全開。
中は書類の山が雪崩を起こしている。
「今は留守かしら。鍵を開けっ放しなんて本当に珍しい。りんごでも買いにいったんかいな」
そしてキッチンを過ぎて私の部屋へ。
あれあれ、なんと私の部屋もオープン
そしてキングサイズのベットの上には赤い包みが見える。

「ヤダー、誰かがサプライズでプレゼントしてくれたのかしらッ(*´∇`*)」

私、開いた扉の前まできてハッとする。

その赤い包みはうちの他界した犬、ジョンの形見袋・・・・。
その光景はまさにテレビでみた(あの大げさな)空き巣の跡。。。。
引き出しはかき乱され、クローゼットは全開、箱という箱、巻物、すべて全てがめちゃめちゃに荒らされたそれは残骸。そして汗水たらして(?)働いたお給料袋が空っぽの状態で空しく床に投げ捨てられ、お勉強道具もしかり、無残にも投げ捨てられていた。
「しばし呆然」とは、まさにこの事です。しばらく動けずに立ちすくむ。

この空き巣で失ったもの。
・一眼レフ
・CDデッキ
・お気に入りの勉強道具専用バック
・お給料一か月分
その他もろもろ。一眼とバックが意外にも私にとっては痛手でした。CDデッキもかな。

この空き巣の恐怖と言ったら。私は震えが止まらなかった。
本来ならば警察に届け出るところなんですが、どうしても言えなかった。その理由は私の滞在許可証の登録住所にある。実は私、嘘の申告をしていたんです。それはうちの大家が本当の家主ではなく雇われ大家だったため私の許可証の保証人になれず、バイト先のボスが肩代わりしてくれていて、書類上は私、ボスが共同経営していたお店のあるスペイン広場に住んでいるとして登録していたんですねー。これが警察にばれると相当ヤバイ!私は強制送還、ボスは罰金を払う上、経営者として相当腹黒い事をやっていたのでかなり危険なんです。
案の定、空き巣に入られたから今日は仕事に行けないと電話したら「お前ーーまさか警察に届けるなんて頭の狂った発想してないだろうな!!なんてことしてくれたんだぁ~ワーワーワーワー(以下省略)」

しかし。
この空き巣には疑問が多く残りました。
・鍵穴を壊された形跡がない
・私とカワイイ青年は見事にやられたが、大家の部屋は人形一個しか盗まれていなかった
・当時大家はアパートを購入計画していた。しかしお金が足りないと嘆いていた
・空き巣の後、大家はどういう理由か知らないけどそのアパートをゲットできた
・大家はひそかに自分の現金だけは隠し金庫(私はその存在を後日知りましたが)に入れていた
・大家は犯人が、一度しか訪れた事のない私達の日本人の友人だと言ってきかなかった
私がよく使っていたクローゼットだけは開けられていなかった(そこは無事)
大家が使用していたクローゼットも開けられてはいなかった(そこも無事)

空き巣に入られる数日前、ボスの弟が家まで送ってくれた時の事。
ウクライナ人には気をつけたほうがいい」とアドバイスしてくれたのが現実となるなんて。
その後この大家と私は相当もめました。家賃のデポジットを返して欲しいと言ったら
「返すお金なんてあるかい~!!ヾ(。`Д´。)ノ彡」と大家さん、逆ギレ激昂。

なくした物は二度と帰ってこない。
渡したお金も二度と戻ってこない。
イタリアの鉄則ですね。潔く諦めるしかない。でも頭にきたら言いたい事だけは言ってもいいんだと思います。こうやって語学をのばしていきました、私の場合。

余談ですが、大家は画家でスペイン広場にたまーに絵を売りにでかけていました。あの広場のてっぺんにはこういう画家がものすごくたくさんいますが、殆どがヤクの密売人です。私もこれは後で知りましたが、画家(ピットゥーラとイタリア語でいいます)は本当に要注意です。女の子も平気で騙しちゃいますからお気をつけて。ましてや同居なんて・・・あ、うちの大家はオバちゃんでしたのであしからず。

うちのボスの口癖の一つはこれ。
「空き巣と言うものはな、冷蔵庫に入っているバターの中を切り刻んでまで金目のものを探していくものなんだ」つまり、隠しても隠し切れない騙せないって事なんですね。あー恐ろしい。

そんなうちのボスに興味をもたれたら、やはり上のリンクへゴー  ε=ε=ヘ(゜∇゜)ノ