水丸さんが言ったセリフで、シンプルであることは簡単なようで実はものすごく集中力が必要でいろんなものをそぎ落としていくことは難しいことだ。なぜなら書き足していくことの方が楽だからである。とのようなことを言っていて、本当にその通りだと思った。
水丸さんはもともと広告代理店の出身なので、こういう広告ポスターにおいてはプロ中のプロだったのだと思われる。
しかしこうやって改めて見るとその表現力に圧倒されちゃって。
かっこいいとしか言えない。
展示の仕方もとても独創的でおもしろかった。
もともと営業マンやってたりしたこともあるから話もうまいし、出るところと引くところの匙加減が上手で、対談とか読んだり村上さんのエッセイにたびたび登場して水丸談を読んでも思ったけど、ユーモアのセンスも抜群で実に愉快な人だったらしい。
そして文筆家同様にとても博学で探究心の強い人だったらしい。
いろんな歴史や建築や文化を兼ねた連載を、亡くなる直前まで執筆していた。
別の展覧会でその時の水丸さんのデスクの写真をみてほんとに泣けてきた。
これ、アクリル板の上に色を塗って原画に重ねて立体感を出してる。
すごい。
そんな手法で描いてるとは知らなかった。
イラストレーターは印刷されたものがどう見えるかが全てだから原画なんて価値がない、と生前おっしゃっていたそうですが、「そんなこというわりには山ほど原画大切に保管されてたんですね(笑)」とつっこむお弟子さんの言葉に思わずこっちも笑ってしまった。
亡くなってしまって本当に寂しい。
もっといろんなエピソード、ご本人から聞いてみたかった。