世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

波の絵、波の話/稲越功一・村上春樹

どうも。

先日NHKアンネ・フランクのドキュメンタリーを観て暗い気持ちになった beabeaです。

アンネの日記」を買って読んだのは小学校6年生の時。

難しくて途中でギブアップした分厚いハードカバーは今でも倉庫の本棚に眠っています。

理解できるわけがないね、あの歳で。。

 

 

 

今回話したいのはこちらの本。

 

 

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これってもうだいぶ前に発刊された割と大きめのハードカバーで、なんと存在をつい最近知ってしまい古本で買いました。1984年に文藝春秋から発刊されたものです。当時は村上といえば講談社一本で、その後しばらくしてから新潮社に移りたまに春秋で発刊され、現在はほとんどがこの二社に絞られています。きっと担当者の方とウマが合うのでしょうね。

 

稲越さんのむちゃくちゃかっこいい写真と、村上さんの気を抜いた軽いタッチの文章がのんびりした浜辺の時間を彷彿させます。特出すべきことはなくとも脱力感溢れるなかなか素敵な写真集兼短編集でした。

 

当時の村上春樹といえばそれはもういまだかつて読んだことがない都会的な文体とセンスにあふれていて、今読んでも全く色褪せないみずみずしさがあります。しかも未読の本ということで、久しぶりにページを開く前のあの緊張感を噛み締めました。

 

 

こういう36年も前(マジか!)の文章を読んでいると、時間が止まったような錯覚になるというか結局のところ人は歳をとるのは見てくれだけで中身なんてほとんど変わらないような気がする。若さを保つことがいいという意味ではなく、心というのは自分が思っているほど前進していないのかもしれない。経験を積んで悟る境地はそれなりに出てくるだろうし大人になったら物分かりのいいフリをするのも必要だけど、その前進しないままの気持ちって実は自分の核なる部分なんじゃないのかな。そんな身勝手な気持ちがたまに顔だしてもいいんじゃないかって思う。それこそが個性なんじゃないかと。

 

 

そんなことはどこにも書いてないけどなんとなくそんな気持ちになるような本でした。

ずいぶんと昔の村上さんに出会えて楽しかったです。