世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

チアパスの先住民/サンファン・チャムラ村

 

起床。

 

 

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いいホテル。

目覚めが気持ちいい。

 

 

 

 

 

 

今日は日帰りツアーに参加の日。

数あるローカルガイドの中からTripAdvisorでスコアの高いツアーを選んだ。申し込み方法は「当日カテドラルの前で9:30に集合。以上」だったので、当日すれ違ったりしたら大変なことになると思い、「日本人が一人参加するのでよろしくね(絶対見つけてね)」と念を押してもらった(ホテルのマダムが親切にもその役割を買ってくれた)。

 

 

 

カテドラルはホテルから歩いて3分程度。昨日パン屋さんで買ったパンとコーヒーで朝ごはんをし、チェックアウトを済ませて荷物は夕方まで預かってもらうことにして待ち合わせ場所へ行く。

 

 

 

私の過剰なまでの心配をよそに到着するや否やすぐにツアーのガイドさんが声をかけてきてくれて事なきを得る。この日は他にフランス人の一人旅の男性と、イギリス人のカップルと私の4人がメンバー。やがて6人乗りのバンがやってきて近郊の村へと出発した。

 

 

このツアーは、サンクリストバルデラスカサスの近郊にあるマヤ文明インディオの末裔が暮らす村をめぐるもの。これを体験したくてわざわざこの町にやって来たというのもあるし、メキシコ旅行のハイライトでもあったからすごく楽しみにしていた。自分にとってメキシコのイメージはこの先住民そのものであり、いつか訪れる時はきっと会いに行ってみたいと思っていただけに期待も高まる。オアハカサンクリストバルデラスカサスでも先住民のような人々を見かけたけれど、村そのものに行くのは特別な感じがした。 

 

 

サンファン・チャムラ村

 

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サンクリストバルデラスカサスを離れるともうそこはまるで日本のような親しみやすい風景が続く。緑が多くて肥沃な土地のようだし作物もよく育ちそう。どんどん丘を登り小さな峠を越え、15分程度でサンファン・チャムラ村へ着いた。

 

 

 

 

 

 

マヤ文明はメキシコで一番最初に発展した文明。先住民(インディオ)たちはまだなおこのチアパス州の奥地に生息し、今なお独自の生活スタイルと伝統を継承しているとのこと。ただし非常に厳格なルールがいくつかあるしガイドなしでは立ち入れない場所も多い。彼らの顔なじみと一緒にいないと途端に警戒されトラブルになることも多いらしいので、もしここを訪ねる機会があればローカルツアーに身を委ねるのが得策だろう。単独で行けないこともないだろうけれど、ガイドの説明なしではなにがなんだかちんぷんかんぷんだし、顔見知りのローカルガイドが同伴していることで彼らに安心感を少しでも多く与えることは我々ができる最低限のマナーと礼儀でもあると思う。

 

 

 

写真撮影はほぼNG

まずこのエリア一帯写真撮影がほぼNG。「いいよ」と言われたタイミングでしか撮れない。だから隠し撮り用に持参した望遠レンズも全く役に立たなかった。カメラを出す行為自体が冒涜のように思われる気がしてなす術がない。それほどまでに神聖なんだというプレッシャーをとても強く受ける。

 

 

 

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中央にいるのは同じツアーのイギリス人カップ



 

この教会はチャムラ村のメインスポット、サンファン教会。

大きな広場に面して建っていて、目の前では青空市場も開催されている。

 

 

 

教会の中は絶対撮影禁止のため、入る前にガイドさんに「カメラは全部バックの中にしまって下さい。お祈りしている人々を刺激するような行為は断じて許されていないので絶対にカメラはやめて下さい」と何度も繰り返され、遂には「なんかあっても俺知らねえからな。自己責任だぞ」みたいな脅しも言ってくるのでマジで怖い。

 

 

 

ということで建物内の写真がないので文字で説明を。

 

サンファン教会の内部

  • 教会に入った途端モワッとお線香の煙と香りに包まれる
  • 中央には象徴すべき祭壇も偶像も一切何も置かれていない
  • 十字架もキリスト像もマリア様もいない
  • 正面向かって左側の方にはガラスケースに入った数体の人形がきらびやかな衣装を着て収められていたのであれが偶像あるいは聖人なのかもしれない
  • 壁画もなく装飾もない
  • テーブルも椅子もない
  • 人々がグループになって床に直座りしそれぞれお祈りをしている
  • 床一面に松の葉が敷き詰めてあり、長いろうそくが何本も灯っている
  • ろうそくは床に直おきで立てられていて一帯に松の葉が隙間なく敷いてあるので個人的には火事が心配でたまらない
  • お線香の香りでとにかく煙い
  • 床が溶けた蝋のワックス効果と松の葉でスケートリンクみたいにツルツルしていて足が滑ってしょうがない
  • 滑る=ろうそくを倒す=火事になる=八つ裂きにされる=という妄想が頭から離れず気が気じゃない
  • しかも足の踏み場もないほど人口密度が高いので歩くのに集中しないとならずおちおち観察もできない

 

 冷や汗かきながら教会の中を一周してガイドさんが待つ出入口へ大人しく戻る。。。

 

 

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 雄鶏の儀式

 興味深いのが、彼らは未だに生きた雄鶏を生贄に使うこと。それは呪術ではなくてあくまでも健康成就(または祈願)の時に神様への祈りを捧げる儀式なのだそう。それは一家の家長(男性)がすることになっていて、雄鶏の首をへし折って絞めて殺し、そのあとその雄鶏を家族で食べるのだと言っていた。

 

 

実際に立派な雄鶏(本当にすごく大きいです)を連れて来ている家族がいて、私が教会の床で滑って転ばないように恐る恐る忍び足で歩いている最中に目の前で首をへし折る瞬間を見てしまった。。。びっくりしたけど上手に一度でちゃんと絞めていたので手慣れている感じがした(雄鶏も泣きわめくわけでもなく静かに息を引き取っていました。合掌)。

 

 

魔除けのコーラ

また、このあたりの人々はコーラをお祈りの時に使うようでコーラ瓶をそこら中で見た。なぜにコーラかというと、コーラが体の中の悪玉や悪霊を払うという効果があると信じられているそうで、諸説ありそうだけどげっぷをすることがその証拠だと思われているらしい(だからと言ってそこら中でコーラを飲むわけではなく、あくまでもお祈りのアイテムの一つとして持参しているように見えた)。ファンタやペプシでも、と言いたいところだけど多分最初に伝道されて来たのがコーラだったからそうなったんじゃないかな。黒いし。

 

 

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教会前の料金所



 

 

 

入り口の前にいる二人はチャムラの先住民。

確か白い服の方が位が上って言ってたような気がする(違ってたらすみません)。

このふわふわの黒、あるいは白い毛足の長い衣装がこのチャムラ村伝統の民族衣装で、チアパスの村人たちは種族=村ごとにこの民族衣装が異なるのだそう。

 

 

あとで町に戻って見つけたけどこれもチャムラの先住民の伝統衣装。

女性はこういうふわふわの黒いスカートを履いている。

 

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サンクリストバルデラスカサスの町を普通に歩くチャムラのインディオ



 

 

 

 

チャムラの自衛団はなかなか権威のあるコミニュティのようで、村の掟を破ったり罪を負った人々を檻に入れて見せしめにしたりすることで規律を守らせたらしい(その檻も実際見に行きましたが当然撮影禁止)。その自衛団はいまも存在していて、実際の見た目も大男揃いなのでなかなか怖い。ツアーのフランス人男性が彼らの写真を撮りたいとガイドに言うと「許可を取りに本人たちに聞いてくるけどもちろんお金は払わないといけないよ」言われ一同シーン。。。なんとなく写真って場違いのような発言に感じてくる。彼も結局写真は諦めた。

 

 

 

少ない自由時間を使って教会の前の青空市場を歩き、そんなわけでポストカードを見つけて買った。

 

 

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実際にこの自衛団の事務所があってこのコスチュームを着た大男たちがたむろしていた



 

 

絶対自分では撮れない自衛団と教会全景のを三枚選んでお金を払おうとすると、売り子のお兄さん(もちろん地元の先住民)がまさかの英語で「これも持って行きなよ」と言って一枚おまけしてくれたのが右上の女性のポストカード。ありがとう。そうだよね。母強し。自衛団ばっかりじゃね。

 

さっきのフランス人が私の後をついてきて、ポストカードは良いアイデアだと言い彼も買っていたけど、お店の人はおまけしなかったので私はラッキーだったみたい。

 

 

イギリス人のカップルのうち女性の方がガイドさんに「キャンディを持って来たので子供達にあげてもいい?」と聞くと、「いいけどあの子らも近頃は観光客が来ればなんでももらえると思い込んできているからあまり甘やかさないでくれ」と言われたのに、バンから降りるやいなや飴をばらまき始め子供達が彼女に群がり、その姿はまるで昔写真で見たおばあさんの頃のオードリーヘップバーンのアフリカ慈善活動。そんなイギリス人女性を見て偽善者だなとつい笑ってしまう。

 

そんな私も実は密かにポケットにキャンディとフルーツゼリーまで隠し持っておりタイミングを見計らっていたのであった。

喜ばせたいと思う気持ちだけは一緒みたい。

やり方は違うけど。

 

 

 

どんどん話が長くなってきたので二部構成にし、次回に続く。