「サン・クリストバル・デ・ラス・カサス教会」というのがあって、それはおそらくこの町を訪れたら誰しもが挑戦したくなるような、ちょっとした丘の上にある。
朝早く着いたしどこもまだ開いてないからまずはここに行ってみることにした。
それにしてもつくづくメキシコがツボだ。
ただの変哲のないこの道でさえ、ずっと根付いてきた歴史を感じる。
ちなみに一方通行が多くて道路の車幅も狭い。もともと車など存在しない時代に作られた町なんじゃないかな。ロバとか引いたり、頭にカゴ乗せて物売りが歩くにはちょうどいい。そんな風に区画整理されたような気がする。
では早速登ってみようか。
ここがスタート地点。
いくよー。
階段の脇は普通の民家だったり、なにかの事務所だったり。
朝が早いせいかまだヒッソリしている。
おしゃれなスペイン語教室。
振り向くとこんな感じ。
犬、三兄弟。日陰で寝てる。かわいい。
落書きにもほどがある!
この階段をジョギングで登っていく男女が駆け抜けていく。
実際登ってみると見た目ほど全然大したことないんだけど、膝を痛めないように気をつけてね。
振り向くとこんな感じ。
かわった実をつけている木。
こうやってみるとサンクリストバルデラスカサスは山に囲まれた町だということがわかる。
この程度の階段でヒーヒー言う人はいないと思いたいけど、そういうわけにもいかない人のためにあるようなキオスク。
お店の人、カメラを向けられるのはやっぱり嫌みたいなので、ちょっと離れたところから全景を撮る。
いいねえ〜〜〜〜〜〜。
みたこともないような色使いの教会。あそこにも行ってみなくては。
登ってると分からないけど、上から見るとそこそこの高低差がある。
教会はもう目の前。
朝でお天気も良いっていうのもあるけど、こんなところに一人でいても全く治安の悪さを感じない。太陽のパワーを全身に浴びてエナジーチャージ。本当にとっても気持ちがいい。
着いたー!
閉まってる。残念。
メキシコはバリバリのカトリックのはずなのだけど、どこかギリシャ正教会のペイントと似ている。不思議。
教会の真横にある小さな建物。
がんばって中を覗くとなにかを祀る祭壇が見えた。
ちょっと怖い。
裏手にまわってみる。
あら。駐車場。ってことは車でも来れるのね。なーんだ。
ジョギングや中学生と思しきカップルにはすれ違ったけど、考えてみれば観光客は私だけだった。
教会の裏側。
とても静かな時間。
メキシコに来た幸せを噛みしめる。
BANOS = お手洗い。
ここでしばらく休憩して、地図を眺めたりガイドブックを読んだりする。
ジョギングで丘を登ってきた人もここで休憩して、すぐにいなくなった。
ここでお祭りの屋台とか出すんだろうな。多分。
今こうやって振り返っても昨日のことのように思い出し、癒される。
教会全景。意外と小さい。
また正面に戻って町の様子を眺める。
さっき歩いてきた道。
ずーーーっと向こうの山に張り付いてる街並み。スーパー望遠レンズにて。
おうおう、山が削れちゃってる。土砂崩れか、または採掘か。
すごいね。
そういえばメキシコで訪れた町はどこに行っても山に囲まれている地形が多かった。そして山と山の間の窪地に町が栄えている感じ。下界にスペースがなくなるとこうやって山に向かって家を建てるのかな。おそらくそうだと思うけど。
町の中心は多少なりの再開発や新しい建物が建ったりするのだろうけど、山の方は昔からの瓦屋根の平屋の家に今でもああやって暮らしているんだ。
こちらは下界。
トルコはカッパドキア周辺の小さな町や、クロアチアのツァヴタットの裏道を歩いているような、手つかずの素朴で粗野な昔のままの風景が今もこうやって人々の生活に寄り添っているような場所を歩くと、どうしようもなく胸が焦がれる。
いいところだね。サンクリストバルデラスカサス。
子供の頃図書館で見た外国の写真みたいな、どこか郷愁を覚える景色。
つい「ここに住んだらどんな生活をするのだろう」なんて妄想もしてしまった。
さて、もう下りよう。
名残惜しくて何枚も似たような写真を撮ってしまう。
本当に名残惜しい。まだこの町に来たばかりだというのにもう名残惜しい。
この感覚こそ良い旅をしている証拠。その手応えを実感する。
メキシコってもっと怖くて恐ろしい国だと思っていたのに。
その概念がじわじわと変わっていく。
これまで本当に長い間メキシコを旅行したいと思っていて、その夢が思いがけず突然叶い、なんだかバタバタしたままここに辿り着いた。夜行バスの予約の件で無駄なやり取りを費やすくらいだったらもっとこの町のリサーチをするべきだったと思う。小さな町だから歩けばある程度は網羅できるとはいえ、たった二日で済ませようと思った私はちょっとあまかった。
あまいよ、自分。
一週間くらいのんびり過ごしてもいいのかも。バックパッカーが羨ましい。