世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

チアパスの先住民/シナカンタン村

 

そういえばすっかり忘れていたけど、チャムラ村ではもう一箇所、「指導者の家」というところを訪問した。とにかく写真が残っていないので記憶も同時に薄れてしまう。写真と記憶はどれだけ密接に関連しているかを改めて感じさせる。

 

 

 

 

指導者の家

指導者という訳が正しいのか分からないけど、Spiritual Leaderと呼ばれる人は村で一番の権力者であり、一年に一度選出される。私たちが訪れた指導者の家はこんな感じ。

 

  • 家の一角には大きな立派な小屋がありその中に入ると広い土間がある
  • そこに人々が座れるように長椅子も用意してある
  • 正面には緑の葉っぱで一面をあしらわれた大きな祭壇のようなものがある
  • 英語が難しい単語ばっかりでさすがにちょっとよく分からなかったけど、リーダーになるのもすごくお金がかかるとかなんとかって言ってた
  • 村で唯一アルコールを飲めるのはこの指導者の家のみだそうで、地元の蒸留酒メスカルがここではふるまわれる

 

やはりどの村にもどの時代にも酋長みたいな人は必ずいてきちんと村を守っているんだなあという感覚がする。肝心の指導者様がご不在によりお会いできず残念だった。

 

 

 

さて、チャムラ村を後にして次はサンロレンツォ・シナカタンタン村というところへ移動。

 

 

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その道中でお墓があり、そこでいったん降りて説明を受けた。

 

 

 

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車の中からお墓のある場所を見る

 

 

チャムラのお墓

ガイドさんによると、ここは典型的な彼らのお墓のスタイルで、枯れた松の葉と色付けされた十字架が立てられている。十字架の色は年代によって色別にセグメントされているそう。

 

白=赤ちゃん

青または緑=子供

黒=大人

 

チャムラの教会でお祈りの時に使用されていた松の葉は、ここでは十字架をまつるアイテムとして使われていた。(枯れた茶色の葉っぱがそれです)

 

 

中央にある教会は、その昔スペインの侵攻により倒壊しそのままになっているらしい。壊れた教会とランダムに十字架が並び、古びた松の葉が弱々しく風で揺れる墓場。荒廃感漂い神秘的というよりはちょっとシュールな感じがした。

 

 

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ご存知の通りメキシコは死者のお祭りがあるので有名。11月にいわゆる日本でいう「お盆」みたいな時期があって、そこではとびきりカラフルで華やかなコスチュームを着て町を歩いたりガイコツグッズがあふれたりする。このお墓も果たして他のメキシコ地方と同様に彩られたりするのだろうか。見た感じそんな風には見えないけれど。。。 

 

 

 

さて、チャムラ村は市場やお店などもあって賑やかだったのに対し、シナカンタン村は閑散とした村落といった感じ。商店も見当たらず人の往来も少ない。

 

 

 

 サンロレンツォ・シナカンタン村

村のメインでもあり重要なスポットの教会。

 

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写真絶対NG

内部は入場許可証を発行してもらわないと入れないらしいのだけど、ツアーはそれも全て込みになっている。内部写真は一切NGで、カメラを持っている姿そのものが挑発となる為どうかカメラも携帯もカバンにしまってから教会に入って欲しいと言われた。

 

 

シナカンタン教会の内部

私たちが教会に入った時はちょうどミサをやっていて、10分程度見学させてもらった。チャムラの教会とは異なり、中央に祭壇があって聖人のようなお人形が納めてある。そこの中央には指導者とその周りに5〜6人の男性が白い衣装を着て祈祷をしていた。おつきの男性数名はこの指導者に仕えるメンバーで、常に複数人が彼を支えるのだそう。 

 

このインディオの村々はそれぞれ大きなコミュニティが存在していて、部族の系統は同じでも微妙に民族が異なるらしい。それぞれの指導者は常にその長となって取り仕切っているのだとか。とても大事な役割を担う責任者で偉大なる存在。

 

 

 

 

村の法律家

もう一つこの村には弁護士のような法律家がいて、村人に善悪の説教をしている場所がある。法律というか道徳を説くような感じなのか。ちょっとよく分からないけど人々はそのお説教を聞くことにより物事の良し悪しを学ぶ場として活用しているのだとか。その日も多くの村人が熱心に話を聞いていた。写真NGで私たちもちょっと覗いた程度。

 

 

配給

配給というのが正しいのかどうか分からないけど、決められた日にお金が支給されるのか、それとも貯金をおろせる日がその日と決まっているのかちょっとよく分からないけど(すみません、うまく聞き取れなかった)大勢の村人がホールみたいなところにいて配給を待っていた。彼らにとって現金を手にすることは我々現代人のように簡単にはいかないらしい。

 

 

地元の民家

最後はシナカンタンの村にある民家を訪問するというものだった。ガイドさん曰く、ここまで踏み込んだ内容は他のツアーにはないとのこと。ありがたい。

 

 

おばあさん

家に入る前にも必ず注意事項を言い渡されるのだけど、「家の中におばあさんがいるから、必ずきちんとご挨拶を忘れないように」とのこと。

 

 

機織り

実際に入るとやはり土間と小屋があって、土間の奥にご高齢のかわいいおばあちゃまが座っていた。娘なのかお嫁さんなのかお孫さんなのかは不明だけど、女性が昔ながらの方法で機を織っているのだけど、機織り機じゃなくて手製!

 

(写真OKと言われて撮らせていただきました)

 

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この村の人々は昔ながらの手法で機を織る

 

 シナカンタンの民族衣装はチャムラと異なりとてもカラフル。そんなカラフルなテキスタイルをこうやって手で織っている。柱に紐をああやって通して糸がぴんとなるように張らせて織るのだから力がいる。がんばって!

 

 

 

民家のキッチン

 

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キッチンも土間のようになっていて冬がとにかく寒そう

 

 

このあとはキッチンを案内してもらい、彼らの生活がこの何十年でどれだけ変化を遂げたのかを滔々と説明を受け、インディオに対する現代人の差別や迫害の話を聞いた。

 

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生活用具が壁に整理整頓されている。ナイフがいやに生々しい。。。

 

 

とうもろこし

乾燥されたカラフルに色分けされたとうもろこしの説明を受けたのだけどちょっとうまく聞き取れなかったか忘れた。なんか意味があるとかなんとか言ってたような気がする。

 

下の写真、テーブルの脇に色分けされた乾燥とうもろこしが見える。

 

 

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なんだか強いお酒を振舞われ、全員で回し飲み

 

 

この後ガイドさんのトークに熱が入り、チアパスを守れ!インディオの生活を守れ!と熱くなってパンフレットを渡されて戸惑う我々ツアー客。少し落ち着くのを待ってから、土間にいるおばあちゃまと女性の皆さんに丁寧にご挨拶をして家を後にした。

 

これでツアーはおしまい。

一路サンクリストバルデラスカサスへ戻る。

 

 

 

 

と思ったら、この家の女性二人がやって来て、町(サンクリストバルデラスカサス)まで車で一緒に乗せていってもらえないかとのこと。我々も全然オッケーというと早速車に乗ってきて、一人はわたしの隣に座った。

 

 

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村落の光景

 

 

一体彼女が何語を話すのかも分からないし、外国人に対する警戒心は半端ないような印象があるので特に何も話さないんだけど、ガイドさんとはとても仲良く会話をしている。そうだ。今しかないかも、と思って、ポケットに忍ばせていた飴とフルーツゼリーをそっと渡すと、何も言わずに受け取り、後ろに座っていたもう一人の女性に手渡ししていた。

 

美味しいといってくれるといいなぁ、フルーツゼリー。あれはキューバで飢え死にしないように持ってきた非常食だったけど、こうやって無事にメキシコまで来たし、わたしにはもう必要ないから。

 

 

先住民の人たちも昔ながらの規律を守って生活しつつ、このメキシコの小さな村々にも遠路はるばる観光客が押し寄せるようになり、サンクリストバル・デ・ラス・カサスはメキシコ周遊するバックパッカーには外せないスポットとなった。インターネットの普及が及ぼす経済効果により村は潤い、現代文化が浸透し、おそらく先住民もある程度その恩恵をあやからずにはいられない部分もあるんだと思う。

 

一方で私たちは異なる異文化の種族を好奇心を持って(きちんと敬意を払うことを忘れずに)村をこうやって訪れるのだけど、ひとたび町に帰って後で彼らが「ムラーノ」と呼ばれることを知ると途端にちょっと警戒心を持ってしまうのは我ながら大きな矛盾だなと思った。私たちはさほど意識していなくても、そこにはどうしても貧富の差と無意識の差別が生まれてしまう。おそらく彼らはそれをもっと身近に感じているに違いない。

 

先住民の民家でガイドさんが口角に泡を飛ばしながら彼らの受ける迫害と差別を思い出し、そうは言っても需要と供給、時代の変化を考えればどこまで許容し合わなねばならないかはいずれ決着しないとならない問題。けれど部外者の私が口出しすることでもないので彼らにお任せしておきたいと思う。

 

 

 

 

サンクリストバルデラスカサスのソカロでバンは止まり、ツアーは解散。

ガイドさんと運転手さんにツアー代を現金で払ってチップも渡しお別れ。

とても充実していていいツアーだった。

 

 

 

自分に英語の読解力がもうちょっとあればなお可だった。ガイドの言ってることが全部わかりきれずにそれだけが残念。でもいつかどこかでわたしがこの村のことをテレビなり雑誌なり何かの媒体で見ることができれば、きっとこの時を思い出し懐かしく思い、そして聞き取れなかったとうもろこしのくだりを理解できる日がくればいいなあと思う。

 

 

なんだったんだ、とうもろこし。

 

 

 

 

 

今回利用したツアーはこちら。

Alex and Raul Tours

Alex and Raul Tours | Culturally Responsible Tours

 

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