世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

森美術館「ル・コルビジェ展」

あまり建築に詳しい方ではないのですが、見るのはすごく好きです。
テレビ朝日で毎週日曜日にやってる「渡辺篤男の建もの探訪」なんて、結構見てるほうでした。が、朝めちゃくちゃ早い放送時間になってからは、滅多に見れなくなってしまいました(泣)。姉歯問題でも潰れずに生き残ってくれているだけで嬉しいのですが。

さて、コルビジェ展。
ものすごーく楽しみにしていました。これからお勉強するにはもってこいのエキシビジョンでした。

1. きっかけはロンシャン教会
私が好きなものに「ロンシャン教会」っていう、きのこみたいな天井をした作品があります。

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詳しい説明をするためには絵で描かないと分からないと思うので省きますが、参献として非常によく雰囲気をつかんでいる方がおられましたので、ご紹介しておきます。(途中、書いている方が言葉を失っておられますが、その気持ちが痛いほどによく分かります)
http://www.linea.co.jp/tabi_france.ronchamp.htm

2. 光をデザインする
この教会の特筆すべき点は、外観もさることながら窓のバランスです。日中の光が見事に調和されるように緻密に計算されています。しかも小さな窓には彼が作ったステンドガラスがはめこまれ、色とりどりの光がさしこむようになっています。そのステンドガラスはルネサンス時代のものとは異なり、海や自然をテーマにしています。

ここです。

「光」がポイントです。

光がまっしろな壁にジワーと差し込んでくると、そこにあるモノが変化をします。
黒がグレーへ、赤がオレンジへ。
植物は生き生きとし、物質的なものがまるで柔軟性を抱き始めるように、です。

その、「光と影のコントラスト。反射 = 開放感を作り上げる」

そういった空間を「デザイン」しているのがこれらの建築家です。すごいな。
窓だってただ大きくすればいいってもんじゃないんですよね、多分。

3. ユニテ・ダビタシオン
私が今回すごいなと思ったのが、マルセイユにある「ユニテ・ダビタシオン(集合住宅)」。
今でいう、どこにでもあるメゾネットタイプのマンションです。
マルセイユの市長さん(だったかな)の依頼で、狭い空間で多くの人々を住ませることのできる建物を作って欲しいという要請を受けて仕上げた作品。
昔ロフトタイプのアパートってそういえばあったな、でも何かが違う。なんだろうと帰り道思っていたのだけれど、それはきっと「窓の切り方」なんだって気付きました。

フレーム一つ、天井の高さ。微妙に長い短いで、空間の広がりって全然違うんですね!
それらをコルビジェメートル法ではなく自分であみだしたモジュロール法(183cmを標準)を使って黄金率に従い設計していきます。そのいい例が、このユニテ・ダビタシオン。しかも建物自体がかなり薄型です。驚き。


> コルビジェにとって屋上庭園は切っても切れない重要素。(MOMAにて)

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> 「サヴォイ邸」も直線と曲線が見事に融合されています。曲線はポイント的に、です。(これもMOMA

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カップマルタンという場所に建てられた、むちゃくちゃ小さい丸太小屋。
南フランスの海岸沿いの高台に立つその小屋で、毎年夫婦で夏にバカンスに来ていたようです。
窓からは海岸線がズーッと見えて、陽射しがガンガン入ってくる様子が実物大で展示されていました。

数々の形跡をしっかりと残し、いつもタキシードをまとい、丸メガネをしてパイプをくわえながら、
毎日午前中はアトリエで絵を描いて、それから建築事務所へ向かったというコルビジェ
それでも晩年はあのような小さな丸太小屋をこよなく愛したという。

私は本当に素人ですので、書いていることに責任をもてませんが(断じてもてません)、素人なりの目線でいつも思うことは、建築とは数学に等しいのではないかと感じます。インテリアデザインや家具で人は居心地の良さを決定してしまいがちだけど、そこには計算しつくされた建築が存在しなければ、カッシーナのソファだって無駄になってしまうのかもしれない??


「ル・コルビジェ展」森美術館六本木ヒルズ
9月24日まで


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(余談)カップマルタン小屋から望む景色をみて、ある若いお父さんが息子にこう言ってました。
「あぁここメキシコだ。だってほら、窓からサボテンが見えるしさ。」
・・・違うー!サボテン=メキシコ・・・(笑)。ついでにカウボーイでも見えたのかしらん。(それはアメリカ)

あ、期間限定のアクアリウムも必見かもしれません。水槽がまるで絵画のように演出されていました。世の中っていろんなふうに考える人がいるんだなーってつくづく思いました。きれいでしたよ。熱帯魚とか珊瑚とか好きな方にももちろんお薦めです。

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チャオ!