世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

リオデジャネイロの治安について

女性がブラジルを一人で旅するなんて正気の沙汰とは思えないと、私は若い頃からずっと思ってきました。テレビをつければ強盗事件、ファベーラというスラムの闘争、不安定な政治。「コパカバーナ海岸の夜はけして海岸の奥に近寄ってはならない。なぜならば、そこには見えない境界線があってその向こうには悪い人たちが待ち構えているからだ」という記事を読んだこともあったし、「コロナになって失業者が増え、町中にホームレスやスリが増えたので治安が一気に悪化した」という話も聞きました。「アクセサリーをつけるとスリに狙われて耳を引きちぎられる」「iPhoneは絶対盗まれる」「Googleマップを見ながら歩くと知らずに貧民街に紛れ込むので危険だ」などなど、挙げたらキリがないくらい。特に、リオデジャネイロはアジア人がほとんど暮らしておらずアジア人を見慣れてもいないので、普通に歩いていても大変居心地の悪い思いをするし危険だから滅多に行かないと、サンパウロ在住の人からも忠告を受けました。

 

聞けば聞くほどリオデジャネイロに行くという行為は愚か者のように感じてきて気持ちが沈みましたが、結果まさかすっかり気に入って二度もリオデジャネイロに行くことになろうとは思いもしませんでした。

 

今回はそんなリオデジャネイロの治安について話してみたいと思います。

 

 

①ファベーラ(スラム)について

ファベーラを語るほど何かを知っているわけでもないのですが、リオデジャネイロにはファベーラが無数に存在しているそうです。その数は1,000箇所を超えているとも言われています。それは単なるスラム街ではなく、おそろしく巨大な密集集落です。その姿は昔の香港の九龍のような独特の雰囲気をかもしだしていて、見慣れてくるとどこかファベーラなのかすぐに見分けがつくようになってきます。また、大方のファベーラは丘にへばりつくようにして建っていることも多かったので、観光客が間違って紛れ込むなどということはほぼありえないと思います(よっぽど勘の悪い人を除く)。

 

これがファベーラです。

 

 

f:id:beabea-journey:20240715125312j:image



 

 

ブラジルは貧困によって犯罪が生まれると言われる一方で、ファベーラを排除せずに保っているからこそ治安が保たれているのかもしれないと思いました。なぜならそこに住んでいる人口はとてつもない数なので、一斉に排除したら済む場所を失った人たちがおそろしい勢いで町中にあふれることになりますから、それこそ治安が一気に悪化してしまうことになりかねない。ファベーラによる治安の均衡という自説はあながち間違いではないのではないかと感じました。

 

 

 

 

 

しかし、私がとても感心したのは、リオの人たちはおそらくファベーラの人たちをすっかり拒絶していないことです。ビーチや町中、道路、フェリー、道端で物品を売っている人たちはおそらくそのエリアに住む人ではないかと思うのですが(風貌からいってそのように見えましたが違ってたらすみません)、いわば普通に物を売り生計を立てているいわゆる一般的な貧困層の人たちと全く変わりがない。だから、彼らがビーチで飲み物を売りに来たら普通に買うし、いらない時は優しい笑顔でNOという。それを見てお互いをそれなりにリスペクトしているように私には見えました。ファベーラの人たちは立場をわきまえて一定のテリトリーの中でつつましく生活しているようでもあり、一般住民達と適度に距離を保っているようでもある。「抵抗」することではなく、犯罪や貧困と隣り合わせで生きている国ならではの、「許容」と「共存」を感じました。

 

その感覚さえ知ってしまえばあとは空気の流れに乗るだけ。私も同じようにごく自然にふるまうこと、そしてもちろん危険を冒すような冒険は絶対にしないこと。これだけ守っておけばリオデジャネイロは本当にすてきな場所です。リオデジャネイロはファベーラも込みでリオデジャネイロなのだなとしみじみ思いました。

 

 

f:id:beabea-journey:20240804110122j:image

 

 

②リスク回避のためにリオで絶対にやるべきこと

では、リオで一体何に気を付ければいいかということですが、これさえ守ればおそらく大丈夫かと思われます。

 

  1. 貴重品はすべて腹巻ポケットに入れて手持ちの荷物は盗まれていいものだけにしておく(クレジットカード、携帯電話、パスポートの3点セットは腹巻へ)
  2. 万が一身ぐるみはがされた時のために予備の100レアル札を靴下に忍ばせる
  3. クレジットカードはタッチ決済のものにする(スキミング防止)
  4. 夜9時以降はむやみに遠出しない(近所ならOKだと思います)
  5. 一般タクシーには乗らない(ぼられたり遠回りされる印象あり)
  6. 週末はできるだけ旧市街に近寄らない(怪しさが一気に高まる)
  7. 滞在先はコパカバーナ、イパネマ海岸周辺にすること(便利で安全)
  8. SIMカードは必須(現地で買うのは困難なので日本から買っていくこと)
  9. 空港からの移動も含めUBERを使い倒す
  10. 携帯は周囲に目を配って安全であることを確認してから出す
  11. 海外旅行保険(生命、携行品)は必須
  12. 一眼レフや携帯で撮った写真は必ず毎日バックアップを取る

 

 

当たり前が一番大事。

 

※どこに連れていかれて身ぐるみはがされても、100レアルあればタクシーで帰ってこれると聞きましたので、100レアル札を毎日靴下に忍ばせて移動しましたが、これがお守り代わりになって大変心強かったです

 

 

 

 

③両替事情

ブラジルは完全なるカード文化となっていますので現金の用意はほぼ不要。どんなに少額でも市場でもカード決済OKなのでめちゃくちゃ便利です。むしろ現金は嫌がられる傾向にあります。決済はサインや暗証番号は不要、タッチ決済であっという間に支払いが終わりますのでスキミング被害も遭わずに済みます。もしまだタッチ決済式のクレジットカードでなければすぐに切り替えて持って行くのをおすすめします(日本はそう考えるとだいぶ遅れてるね)。

 

ただし、たまに現金のみという場合もあるので、一週間弱滞在するなら200レアル程度はどんなに少なくても持っていればいいと思います。現金は市内のATMでクレジットカードにてキャッシングをします。ATMは大手銀行の建物の中にあり、道路にむき出しのATMマシーンというのはブラジルではめったにありませんからご安心ください。

両替所の存在について、少なくとも私はほとんど見かけませんでした。

 

 

 

③危険といわれているけど実際やってみて大丈夫だったこと

 

  1. 地下鉄に乗る
  2. ローカルのバスに乗る
  3. 夜のビーチを歩く(ただし人通りの少ないエリアや海岸線まではいかない)
  4. アクセサリーは好きなものを身に着けて大丈夫(耳は引きちぎられない)
  5. 洋服も好きなものを着ればいい(他人はそこまで自分に興味を持っていない)

 

 

リオデジャネイロの地下鉄カリオカ駅構内


公共機関はスリの温床というイメージがありますが、実際に乗ってみたら全くもって安全!私が暮らしていたイタリアの地下鉄は常にスリとの攻防戦でしたが、リオはそんなことは全くない。車内も広くて明るくて危険な雰囲気がまるでない。めちゃくちゃ安全で便利でした。ただ、SUICAみたいなカード(Rioカード)を買う必要もあるし、バスは言葉も通じないし乗り場も降り場もほぼ勘だったので慣れた頃じゃないとハードル高いかも。使いこなせていくとめちゃくちゃリオの移動が格段に楽になっていきます。

 

 

 

④ブラジルで使えるSIMカード

今はどの国に行っても空港でSIMカードを買うことができますが、ブラジルは違います(2024年現在)。どうやら自国のIDがないと買えないなどいろいろ面倒らしいので、SIMカード探している時間がもったいないし、すぐに携帯が使えないと何かと致命的なので、日本であらかじめ購入し着いたらすぐに使えるようにしました。おすすめはこちら。

 

https://amzn.asia/d/0hW5xRbf

 

ここのSIMカードは優秀で、ブラジルのみならずペルー、ニューヨークでも問題なく使うことができました。使い始める2日前までにアクティベートする必要がありますが、全然難しくないし設定できたらあとは勝手に現地で電波を拾ってくれるので本当に助かりました。 2年連続ブラジルに行き、いずれもここのSIMを使って問題なくアクセスできました。

ただし、アクティベートする時に必要な認証IDの数字が極小かつ色が薄くて全然読めないので失敗したら一貫の終わりだと思ってかなり緊張したところだけがネックだった!

 

 

 

 

 

さて、リオだけでなくブラジルで一番重要なことは、万が一スリ集団につかまったら、けして抵抗してはいけないと聞いています。相手は銃を持っているので、抵抗したらすぐにバンとやられるそうですから、その時はすべてをあきらめてあるものをすべて渡し、帰りは靴下に入れたお守り(100レアル)に頼りましょう。海外旅行保険はとにかく手厚くしていくとなお安心。

 

 

 

 

 

 

結論:リオデジャネイロは危険をしっかり予知して歩けば問題なし

 

 

 

 

ただし、安全と言っているわけではなりません。ブラジル一帯では常に犯罪が起きていて「犯罪大国」とも呼ばれていますから、細心の注意と常識を兼ね備えて準備していくべきです。また、あきらかに私たちは現地の人間ではなく外国人観光客ですから、きちんと一定の距離を保ちリスクを第一に自分の身を守ることは徹底すべきです。

 

 

www.anzen.mofa.go.jp

 

 

 

 

f:id:beabea-journey:20240804110045j:image

 



 

 

以上、リオデジャネイロの治安についてでした。

長い記事を読んでいただきオブリガード!