世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ゴッホの足跡 ~南フランス アルル

アルル(Arles)
プロヴァンスアヴィニョンから電車で約20分のところにある田舎町。
アヴィニョンの駅から同席したフランス人の男の子にどこにいくのかと聞かれて
「アルル」と言ったら
「なんでそんなところにいくの?」と言われた。

電車からみる景色はラベンダー畑、ではなく岩肌がむき出しになったごつごつした丘の連続。
「きれいだね」と言ったら
「こういう景色は毎日見てるからねー・・・。フランスは就職難が深刻だし、観光だけでも食べていけない。僕も大学を出てこれからどうすべきか、考えちゃんだよね。」と言っていた。
彼はその後、フランスを出てアメリカへ渡り、仕事を得て大学に通いながら今は充実した日々を送っている。

そんな車内の出会いを経てたどり着いたアルル。
目的は、ゴッホの名作を多々残した場所、ゴーギャンがはるばる訪れて共同生活をした場所、ゴッホが耳を切って精神病院に収容された場所、アルルに「どうしても行ってみたかった」!
アルルってどんなとこなんだろう。

駅を降りる。
バスはない。というか、終わってる。
歩く。
インフォがないので地図も入手できず適当に歩く。多分こっちが市街地かなーって感じで、適当に。
ローヌ川沿いに歩く。

「ローヌ河の星月夜」(これはやられた絵だった)
ゴッホはろうそくを頭に王冠のように巻きつけて描いたらしい。
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広場に着く。町のへそです。
ここでユースホステルに電話をかます。(地図がないので場所がわからない)
ユースに着いてこの日の夕食は確かクラッカーと水とヨーグルトとかそんな感じ。
私の旅は意外と地味なのです。

翌日。

町のへそ広場教会近くで地図をみていたら、おばあさんが強力なスライディングと共に転倒していた。
かわいそうだったので腕を貸してあげると、おばあさん怒涛のフランス語の嵐。
ただニッコリと笑う私。

そこからちょっと歩くとゴッホが収容された精神病院跡があります。
行った時は既に文化センターとなっており、中庭ではマーケットが開かれていました。
精神病院の名残は全くありません。
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ゴッホも闘病(?)中、この中庭を描いています。

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当時の新聞から。
「先週の日曜日、夜11時半頃、フィンセント・ファン・ゴッホなるオランダ生まれの画家がラシェルと言う娼婦に自分の耳を渡し、大切にしまっておいてくれと言ってそのまま姿を消した。哀れな精神病者のやりそうな事としか考えられない。この事件の知らせを受けて、警察官が翌朝その男の家に行ったところ、彼はベットに横たわって、死んだようであった。この不幸な男は直ちに病院に収容された」

そのあとゴーギャンが彼のもとを去ったのは有名な話。

光の中にも影がある。
影があるからこそ光が生きる。
光ばっかりじゃ、ね。


その病院跡地を通り抜けると、でた、ミニコロッセオ!(チラッ)
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町はちょっと裏路地へ出ると閑散としていて、昔ながらの路地が続きます。

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お昼前だったのでビストロもまだ閉まっていて観光客なんてほんとまばら。
それにしても10月でも南フランスは暑い!!
ので、ずっとTシャツでした。いいねー。

おみやげやさんで買ったラベンダーの匂い袋。
これをクローゼットに入れるととってもすてきな香りがするので、いくつかまとめ買い。
本場のラベンダーは匂いが強烈なのでもちが良く、日本製とはちょっと違うんです。

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/8e/b1/beabea642001/folder/851313/img_851313_14681644_5?2007-02-25.100



さて、何の為にアルルに来たんだっけ?


そう、一番の理由は、「夜のカフェテラス」を見るためです。
どんな絵かは誰しもが絶対に知っているはず!

これが現場です↓
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原画はオランダのクレーラーミュラー美術館にあります。
(この美術館に行こうと思ったらアムスまで飛んでください。で、そこから電車でチンタラ小さい町へ向かい更にバスに乗って向かわねばなりません。あの美術館は素晴らしい場所です。)

本来は昼間でなく夜行くべきだったんだろうな。
けれど到着した時はもう暗くなっていて(地図もなかったし)、知らない町での夜道の一人歩きをするのはタブーとしているので残念ながら諦めました。
また写真に収めた構図は限りなくゴッホの目線に近づけたかったので自分の意に反した撮り方をしています。でもできなかった。なぜならこのカフェのすぐ手前には建物が建っており、引いても引いてもこれが限界。彼はどうやってあの構図で描く事ができたんだろう。目線はもうちょっと上のような気がする。


この絵の何がいいかって?
言葉では言い尽くせません。
繰り返しますが、好きなものは無意識です無意識。
ゴッホの好きな絵ベスト3の中に入ります。
初め観た時、ものすごーーく惹きつけられて以来、大切な絵であることに間違いありません。

私がこの絵で一番すきな部分は、右上の夜空。
この青と、カフェの照らす黄色の灯かりのコントラスト。

ずっと観ても飽きない絵とはこういうことをいう。

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時は過ぎ、物の見方も変わり、変人と呼ばれた一人の画家は今や天才と呼ばれる。
そして当たり前の風景、当たり前の空気。
そんな当たり前の中にこそ存在する何かを見出す心。


カフェの目の前にある広場の銅像は、
ゴッホの生き様などそ知らぬ顔で今日も明日も立っている。


「今日もいい天気だな。」

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