世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ローマの物乞い

ローマを旅した人ならおそらく誰しもがみたことがある光景はこちら。



イメージ 1




物乞いです。



ローマの物乞いの主な特徴としては、主にバチカン市国周辺に集中しており、道ばたに突っ伏していることもよくあります。大抵は黒装束を身にまとい、顔はけして人様にはお見せしません。時にプルプル震えながら手を差し伸べていることもあるし、てんかんのように全身をバタバタしているときもあります。つまり、普通の物乞いとは違ってちょっと苦しそうにジタバタしているんです。


この人たちを最初みた時の衝撃たるや・・・。


おぉ、なんたる怖ろしい光景なのだろうか。
ホームレスは世界中にいても、このような瀕死の状態で物乞いをしているなんて、神様は一体どうしてこんな過酷な試練をこの人たちに与えてしまったのだろうか。誰か病院へ連れてってあげないと・・・苦しんでいる人を見過ごしてなんかいられないわ!!、と思いました(思っただけだけど)。
はたまた日本のような先進国でお金持ちな国ではけっして目にすることのないこの光景に、私はしばし身動きが出来ないほどのショックを覚えたわけです。







私はある朝バチカンに用事があり(システィーナ礼拝堂に行くためです)観光客が訪れる前に入り口に並ぼうと思ったので、朝早いバスに乗っておりました。スリで悪名高き64番のバスも日曜日の朝はとても空いていて、朝日がどんどんあがりサンタンジェロ城を明るく照らし出す。

私が64番のバスルートの中で一番好きなエマヌエーレ橋は、右を見るとサンタンジェロ、左をみるとバチカンのクーポラと、非常に美しい景色を両方から楽しめるので、この橋をバスで渡る時は毎回心が躍るような、少しだけ興奮してしまう数秒間だったのです。



イメージ 2

夜のライトアップもまた格別。冬の空気が澄んでいる時期はもっと格別。  





その日も橋を渡って朝日に光り輝くローマの街並みを幸せな気分でバスから眺めていると、
朝靄には全く不自然な、一つの黒い影が見えました。



なにかと思ってよーく目を凝らしてみると
なんとあの黒装束に身を包んだ物乞いが、実にしっかりとした足取りでそそくさと橋を渡っているではありませんか!もちろんその先にあるのはバチカン市国


そうです。彼ら物乞いの「朝のご出勤の様子」をこの目でしっかりと見てしまったのです!!


あれほどのたうちまわってうめき声まであげてみたり、大の字に突っ伏してみたり、思わず目をそむけたくなってしまうようなあの物乞いが、背筋を伸ばして杖を振り上げながら軽快に歩く姿は黒装束をまとっていなければ普通の元気一杯な一般人に相違ない。



あれは演技だったのか・・・・。





かくして世の中というのは思っているほどきれいごとばかりではないということを、
この日も痛切に知ることになったのでした。
同時に知らなくてもいいような余計なこともたくさんあったりするものですけどね。


ローマっ子はこの事実を知っているので彼女たちに小銭をあげる人は殆どいません。あげるのは観光客のみ。




騙すか、騙されるか。




ローマのこのような小話はまだまだ泉のように湧いて出てくるほどたくさんありますが、それはまた追々に。



チャオ。