プロヴァンスを旅しようと思ったのにはいくつかの理由があるけれど、この町をどうして選んだのかは実は謎なんです。なんとなく言葉の響きが良かったからなのかもしれない。予備知識、ゼロ。
マーケットがあちらこちらで開かれていて、プロヴァンススタイルの柄をモチーフにした布や雑貨がひしめいていました。
小さいガイドブックにおもしろそうな場所を発見したので、荷物は重くて辛かったけど頑張る事にした。
車もなく人も誰もいない。シーンとしている。
太陽は照りつけ、荷物は肩に食い込み、汗で背中にピッタリ張り付くけど、坂道をゆっくり歩く。
歩きながら目にするは、太陽の力でカラカラになった家の庭木。
太陽は照りつけ、荷物は肩に食い込み、汗で背中にピッタリ張り付くけど、坂道をゆっくり歩く。
歩きながら目にするは、太陽の力でカラカラになった家の庭木。
ここだ・・・。
けれど更に登らないと、そこにはたどり着けない。クネクネした上り坂を右に左にと振り回されながら登りきると、
お目当ての場所にたどり着いた。
けれど更に登らないと、そこにはたどり着けない。クネクネした上り坂を右に左にと振り回されながら登りきると、
お目当ての場所にたどり着いた。
風がちょっと吹いて気持ちが良かった。
こういう静かなところで絵を描き続けたんだ・・・誰もいない、何もない場所で、同じ絵を何度も何度も。
パリやエクスの喧騒を離れ、こういうところで絵を描く気持ちってどんなだろう。
こういう静かなところで絵を描き続けたんだ・・・誰もいない、何もない場所で、同じ絵を何度も何度も。
パリやエクスの喧騒を離れ、こういうところで絵を描く気持ちってどんなだろう。
セザンヌ「ヴィクトワール山」
インパクトなんてけしてない。近所の裏山の絵に過ぎないといえばそうかもしれない。でも彼はインパクトのある絵を狙って描いていたわけではなく、少なくとも故郷のエクス・アン・プロヴァンスでは思うがままに色のコントラストやいろんな角度、季節が通り過ぎていく景色を描いていたかったんじゃないかな、と思った。自由に、とらわれることもなく、ひらめいた感覚だけを。
『私は、左から右にちょっと動くだけで、何か月も同じ場所で絵が描けると思う』
少し下ったところにある彼のアトリエを訪れる。内部は撮影禁止。
高い天井のだだっぴろい大きな、グレーのアトリエにはセザンヌの静物画に使われた小道具が今もそのままで残っている。10人くらいの訪問客と一緒に専門ガイドの説明をぼんやり聞きながら、なんとなく窓の外をみていた。
高い天井のだだっぴろい大きな、グレーのアトリエにはセザンヌの静物画に使われた小道具が今もそのままで残っている。10人くらいの訪問客と一緒に専門ガイドの説明をぼんやり聞きながら、なんとなく窓の外をみていた。
ちっちゃい木の葉がサワサワと風に揺られていて、
その隙間を太陽の光がチラチラと照らしていた。
その隙間を太陽の光がチラチラと照らしていた。
時間が一時停止。何も考えないし、考えていない。また、何かを考えようともしていない。