はじめに。
「怒りのモロッコ」→なんで怒ってるの?
話せば長い、いろ~んな事があったんです。でもけして偏見だけは持って欲しくないのと、旅の最後の電車の中でとっても考えさせられる出来事がありました。だからモロッコ紀行中どんなに私が疲れても怒っても、偏見だけは持たないで下さい。
スペインのフェンフィローナというとっても素敵な海水浴場で夏を楽しんでいた私達がモロッコへ行こうと思ったのは突然の思いつきでした。
ガイドブックはなく、友人が持っていたモロッコの切り抜き以外に何も情報がない、けどモロッコはもう目の前。
「あの皮を染めるやつ見たいね~」
この一言で決意。
荷物をまとめ、腰を上げたのは8月の終わり。
まもなく訪れようとしている悲劇を知らずに・・・。
船で移動した私達は厳しいパスポートチェックを受け、タンジールというモロッコの港町へ。
海外って大体そうだけど「港町」ってとっても治安が悪うございます。
なので一気にモロッコ最古の町「フェズ」へ陸路で向かおうとタンジール駅へ。
するとすると・・駅は終着駅になっていて、砂漠のような平地にポツンと小さなプレハブの建物があるだけ。これが駅。観光客まるでゼロ。
「何時にフェズ行きの電車がきますか」と聞いても「わからない」と応え。
(この曖昧さには既にイタリア生活で慣れっこ)
モロッコは言わずと知れたアフリカ大陸です。
暑い!!
スペインの猛暑に耐え抜いた私達もさすがに話す事もできないくらいだるい。
しかも駅っつーもんは普通売店があるもんなんですが、もちろん「ない」。
給水が出来ない。。。スペインから持参した水もあっという間になくなる。
いつくるか分からない電車を待つのは、正直辛い。
フェズに何時に着くのかも分からないし、当然宿も決まってない。夜ついたら・・・怖い。
すると1人の男性が近寄ってきて、日陰があるからそこで休めばいいという。
「君らは日本人か」
この質問に、実は私達は事前から口裏を合わせようと計画していました。
うかつに日本人というと危険がつきまとうので「フィリピン人」とこたえよう、と。
私は駅から30mくらい離れた日陰へ涼みに、旅友は荷物を整理しに駅(プレハブ)の方へ。
するとしばらくしてから「beabea~!!」と悲壮感ただよう旅友の声が。
危険を察知した私はすぐさまプレハブ小屋へダッシュ!
すると旅友は1人の怖い顔をしたモロッコ人に睨まれていて、半泣き状態。
聞くと彼女はなんと「フィリピン人の首相の名前を言え」と言われ、全く答えられずに(知るわけないよな)あっさりと日本人だとバレたという。
極めつけ、「フィリピン人はもっと英語が上手なはずだ」
あー!お手上げ~奴らの方が数倍賢かったのね~!
モロッコ人が怒りの形相で立ちはだかっていたのは私達が「嘘」をついたこと。
日陰でしょんぼりしていたら、プレハブの偉い人っぽい人がこういいました。
「日本人だという事を隠そうとしただと?危険だから?モロッコにはそんな危険な輩なんていない。君達はモロッコをバカにしているのか。言うほどモロッコは悪い国なんかじゃない」
見るとプレハブ小屋の上にはモロッコの国旗が風に吹かれ弱々しくはためいている。
ごめんなさい、という気持ち半分、その言葉は何だか彼自身に言い聞かせているような感じがしました。