世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

The Melody At Night, With You/Keith Jarrett

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The Melody At Night, With You.
(『あなたと聴く夜のメロディ』←勝手に私がつけた)

ある日電話口で夜遅くにこれを聴きながら会話していたら、
友人が「さっきから何聴いてるの?」と聞いてきたので
私「あなたと聴く夜のメロディ。」と答えた。

数日後、再び友人から電話がくる。
友人「今CDショップにいるんだけど『あなたと聴く夜のメロディ』って店員さんに言っても伝わらないんだけど!」
私「ハハハ!ごめんごめん。タイトル違うんだ。」
友人「なにー!」
私「いや、合ってるんだけど違うの。」
友人「なにそれ。意味分かんないんだけど!」
・・・おもしろかった。ま、そんな小話はおいといて。

レビューをするも、これはもう・・・・・。
言葉が出ませんねー。

ピアノってこんなに美しい音色をしているのか。
そして人の心をグッと捕らえて離さない、鷲づかみにしてしまう一枚。

けれどこのアルバムは、けして「強要」していません。
何を押さえつけることもなく、決めつける事もしていない。
それでいて、曲のそれぞれが語りかけてくるようなキースのピアノは本当に素晴らしい。

キースジャレットはジャズとクラシックの境界にいるピアニストだと思います。
2度、彼のライブを見ることが出来たのですが、その姿はピアノとキースが融合しているような、
キースの指にピアノ自身が呼応しているような、あの一体感は奇跡のような光景でした。
そしてあれが即興とは誠に信じがたい。
キースはトリオもいいです。トリオの方がどちらかと言うと柔らかい。
けれどこのアルバムは彼の復帰作として名高いですが、ソロでここまで穏やかなキースを見れるのは
このアルバムだけじゃないでしょうか。


自己陶酔に浸りたい夜や、自己嫌悪で辛い夜や、何となく起きちゃっていた朝の5時、とか。

潤っている時でも、カサカサの時でも。

ポジでもネガでもなんの時でも、このアルバムは色んな気持ちを色んなふうに変えてしまう。



ただ、聴いてほしいな。


今日これをセレクトしたのは、このCDを薦めてくれた友人にとっても悲しい事が起こったから。
逆境とは神様が与えてくれた試練と人は言うけれど、
そんな試練よりも一握りの希望を与えてほしいと、切に願います。

そして私はこれを、本当に大切な人達だけにプレゼントする事にしています。
このアルバムを教えてくれたけど、多分もう持ってないと思われるそのお友達にも、一枚買いました。
「遠い太鼓」を擦り切れるほど読んでいたので、新しいのを買っておきました。
明日、郵送で送ります。

少しでもあったかい風が吹くといい。