世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ガープの世界(上)(下)/ジョン・アーヴィング

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ガープの世界
これを読んで、なぜもっと早く読んでいなかったんだろうと愕然とした一冊です。

小説って、その主人公が好きになればなるほどのめり込むと思うのですが
これほど魅力的なガープという人間性を創り上げたジョン・アーヴィングの世界観に敬服。

物語はガープの母、ジェニーのストーリーから始まる。
ジェニーの生い立ちをここで知る事により、彼女の生き方や物事の捉え方、そして死に至るまでの過程を理解する事ができ、女性運動という70年代アメリカの姿を知る事となる。
思うにこの時代前後はケネディ大統領暗殺後、しばらくしてベトナム戦争終結し、ウーマンリブと当時言われた女性開放運動が活発化するなどアメリカが最も活気だっていた時期なのではないでしょうか。
ジョンレノンやボブディランが心に響く、時代を歌う。
そして80年代レーガン政権、アメリカバブル時代へとつながっていく。
ふと気付くと、私はアメリカの70年代に興味を惹かれるのかもしれません。

そういった時代背景を辿りながら、当時のアメリカの姿を小説の中からもうかがう事ができます。


初めにお断りしておきますが、私は健全なる村上春樹中毒ですので
ジョン・アーヴィングの「ガープの世界」はちょっと近いものがあり、ものすごく入りこめました。
というか、「引き込まれた」の表現が正しいですね。

作品の中でガープが書いた「ペンション・グリルパルツァー」というショートストーリーが出てきます。
これがまた読み応えがあって、さらにグイグイ引き込まれる。
(ここに出てくるアーヴィングお得意の「熊」がまた絶妙なキャラ!)

この小説が何よりいいのは

とても笑えるけどすごく泣ける

これですよ。

家族愛、ガープというまっすぐで正直、暖かくてどこか心地よい人間性、全編にわたるきわどいジョークとユーモア、何をとってもJ・アーヴィングの作家センスをひしひしと感じます。
そして知ったのが「アメリカにこういう表現ができる素晴らしい作家がいるんだ」という事。


続いて「ホテル・ニューパンプシャー」も読みました。
上巻の方がおもしろかったなぁ~。。。

私はこの本のおかげでしばらくは完璧に寝不足でした( ´ρ`)。o ○

失いたくない作家であり、名作です。太鼓判!!