世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

⑦マラケシュの歯欠けジーサン

フェズからマラケシュの電車の旅は終わり、次の楽しみであった念願の町に着きました。

ところが喜びよりも苦痛の方がひどく、私の胃腸はすっかり縮み上がり水分を一滴も飲むことができず、当然食欲もありません。そしてひどく暑い。体調はまさに最悪です。
駅で1人のおじいさんが「ホテル」と声をかけてきました。普段は一応人相や雰囲気を入念にチェックして安心できそうな人のみ選ぶのですが、さすがに私そんな余裕も全くありません。


車に乗り込み「一番安いホテルに連れてって」と投げやりな私。
歯のかけたおじいさんはフレンドリーに話しかけて来るけれど、モロッコの印象はみんま最初はこれ。
そして散々楽しく会話をしたあとに多額の金額を請求してくる。
そのパターンにもかなり疲れてきたのもあり、私、ものすごく無愛想。
それよりも体調が辛かったので電車の長旅とフェズの疲れを早くホテルで休めたかった。

案の定。
歯欠けおじいさんは「一番安いホテル」と言ったのに、一番高そうなホテルへ連れて行った!!
「ビックプール!グレイトビュー!」
「プライスもグレイトじゃないの!別のとこって言ったでしょ!!」
私の怒りは頂点。だって本当に早くベットに入りたかったのに、言った事をきかず時間も無駄にした。
旅友がまぁまぁ、と私をなだめる。
(ちなみに彼女は英語が難しかったので旅の会話は殆ど私が務めていました。)
でもこの歯欠けおじいさん、立派なホテルのフロントへ向かい空席があるかを尋ねていたけど、どう見てもおじいさんの風貌はみずぼらしく農民そのもの。高級ホテルのフロントからも軽くあしらわれてスゴスゴ戻ってきた。
「あいにく今日は満室だって。他のところをあたろう」
「だからさっきから言ってるでしょーー!」

ポンコツ車は歯欠けじーさんとアジア人女の子2人を乗せて旧市街へ・・・・。
コンクリートの道から泥土の道へ入っていき、高級ホテル街を抜けて町はオレンジ色の土壁の景色へと変わっていく。「ようやく理解してくれたのね、歯欠け君。」

着いた場所は住宅が密集する泥道の人々がごったがいする旧市街、雑踏の中のホテル。
いかにも地元、いかにもバックパッカーが集まりそうな界隈。
ホテルの料金を確かめるまでもなく荷物を降ろす。
でも私、自分のバックパックを担げないほど弱っていたんです。。。
歯欠けジーさんに「これ、部屋まで運んで~」と言ったら、欠けた歯をみせながら無言で運ぶ。
2階、3階、フーフーいいながら荷物を運び先頭を切るおじいさん。
旅友が「かわいそうやで。」
私「どうせチップたんまり要求されるんだからいいよ」と発言。

「「汗を大量にかいておじいさんは荷物を降ろしてニッコリ笑う。
「ありがとう」といったら、息をヒーヒー切らしている。
さすがにかわいそう・・・体調悪い私もかなりかわいそうだと思うんだけど、
お年寄りに対してやっぱり良心が痛む。
ここは本当の気持ち。チップを多めに渡してあげた。
おじいさんはそれ以上を要求するわけでもなく、おとなしく立ち去っていきました。

すごく気分的に複雑で良心が痛んで仕方なかった。

でもお腹の調子が最悪で心なしか熱も出てきたので、
私はすぐ弓のようにまがるベットに横たわり寝込んでしまいました。

というわけで画像はありません。
マラケシュまで行って写真殆ど撮れませんでした、というか撮ることも出来ないほど弱りました。
ご飯も殆ど喉を通らず、文字通り寝込んだのです。


マラケシュの始まりです。

マラケシュってどんなとこ?」
見てください。素晴らしいです。
私は写真が撮れなくて本当に後悔しても悔やみきれません。
ジャマエル・フナ広場は誰しもが一度はテレビでみたことがある場所です。