世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

アゴタ・クリストフ三部作

これは・・・面白かったゾ。


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アゴタ・クリストフの三部作「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」以上3冊を一気読み。


悪童日記は、ふたごの子供が主人公で3人称形式で綴られていく。短いセンテンスでまとめたショートストーリー仕立てでリズミカルで臨場感たっぷりに語られている物語はこの先何か不吉なことが起こるんじゃないかという不安感がどこまでいっても漂っていて、なおかつとても残酷。


「ふたりの証拠」では、そのふたごがリュカとクラウスという名前を持っていることが分かる。
そのうちリュカが主な語り手となっているが、彼の孤独に苦しむ理由は一作目で読んでいるから読み手も十分に理解しているつもりだった。だけど、その言わば語り手と読み手の「相互理解」が途中からどんどんかけ離れていくので、裏切られた感にますます好奇心と謎が深まっていく。このあたりから、この著者の仕掛けに完全にはまっていくような気がするというか、この物語にすっかり魅了されていく。


「第三の嘘」はクラウスが語り手。しかし、これまで読んできたふたごの人生の歴史とは少し内容が異なる。そのうちどっちが正しいのか読み手も混乱してくる。だから、読み終わるまでは「一体どれが本当の真実なんだろう」と必死なって一気に進んでいくのだけど、読み終わった後に分かった。




真実はどれも真実であると。
リュカ、クラウスという人物を通して、戦争の悲惨さや運命の皮肉を訴えているのだと。連作と見せかけて連作じゃなく、実はどのパターンやどんな人生だろうとあり得る想定を物語にしてうまくからめているのだと分かった。実に感動しました。しかも物語にものすごい説得力がありました。
正直読み終えた後はそのショックの余韻に数日浸ってしまったほど。



久しぶりに手応えのある本を読めて嬉しい。
もっと早くに出会っても良かった。

最高。


これはbeabea本棚の「お気に入りコーナー」に追加しちゃうかもしれない。