世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ヘルマン・ヘッセと南川三治郎氏の世界に触れる

 

 

 

 

 

 

先日ゴッホの話を書いた時にいくつかの事実を確認するため、久しぶりにこの本を開いた。

 

写真が美しいなあと思っていたところ、別のシリーズがあることを知って慌ててAmazonで古本を買う。近頃は昔の本もどんどんなくなっていってしまう気がして、欲しいものがあればすぐ手に入れるようにしている。

 

 

今回のシリーズは、ヘルマン・ヘッセがテーマ。

 

 

 

学生の頃、「クヌルプ」という作品を題材に論文を書いたのだけど、やっつけ論文だったのと小説の理解がうまくできなくてかなり苦労した記憶があり、ヘルマン・ヘッセには個人的に苦い思い出しかない。

 

そんな個人的な事情はさておき、ヘッセのことはよく知らないし、「ゴッホを旅する」はとても気に入っていて長年大事にしているので、同じ著者の方なら読みやすいかなと思って買ってみたら、それはそれは素晴らしい美術ガイドだった。

 

 

ヘルマン・ヘッセは言わずもがなドイツのノーベル文学賞受賞作家。

ドイツはシュトゥットガルト近郊にあるカルフという町に生まれ、若いうちから作家としての頭角を表し、生涯を作家として暮らす傍ら、イタリアのコモ湖に近いモンタニョーラという美しい湖水地方の丘の上で、水彩画を描いたり庭仕事をして晩年を過ごした。ゴッホと異なりドラマチックな人生ではないにしても、2度の離婚、3度の結婚、子供達との別離などプライベートではいろいろあったらしい。

 

著者の方は熱烈なファンとお見受けし、この本のための取材旅行をとても満喫している様子が見受けられ、読んでいてこちらもとても楽しかった。また、ヘッセの水彩画があまりにも見事で驚く。当時の人たちは絵を描くということを日常にしていて、しかも上手なのだから羨ましい。私も子供の頃は毎日のように絵を描くことに熱中していたものだけど、残念ながら絵心が全くなく、今はやめてしまった。でもこうやって誰かが描く作品を眺めたりして心が洗われるような気持ちになる。

 

 

 

 

 

著者の南川三治郎氏は、文章だけでなく写真も手がけていると知って驚く。

 

 

 

文章も書いて取材も自分でやり、さらには写真も撮って本にするなどなかなかできることではないと思う。美しく愛情のある写真と楽しい旅のエピソードや作家の人生を辿る内容はとてもわかりやすく構成されており、特に「ヘルマン・ヘッセを旅する」は、旅情を掻き立てられるような美しい本だった。

 



 

 

この裏表紙にすら、ハッとしてしまう。

 

 

 

 

自分にもこういう文章力と才能があればと思うが、何においても中途半端な人間なのでそうはいかない。本を書いたり絵を描いたり、何かのかたちを作る人というのは粘り強い忍耐がある人なんだろうと思った。