ホテルのバルコニーから見下ろすハバナの街があまりにもスラム化していて衝撃を受けた朝。むちゃくちゃ憂鬱な気持ちになって外出する気も失せる。
帰国後にその写真を見せた友人は「ブエナビスタの映画そのものじゃん!」って言うけど、スラムを歩く恐ろしさを分かって言ってるんですか?まったくこれだから本当の怖さを知らない人は困る。
誤解される前に言っておきますが、キューバはみんなが口を揃えて安心で治安がいいと言います。事実そうなんしょうけど、一般的な常識を持ち合わせていれば荒廃した街で観光客もいないスラム街を一人で歩けと言われたら身構えるのが当たり前かと思います。一体どこでスラムを歩くのが好きですなんていう人がいるのか教えて欲しい。カツアゲされたらどうするのよ!
まあいいや。
どうせ現金なんてあんまり持ってないし。
あと、どっからどうみても私はアジア人女性であって風貌はがんばっても変えられない。ハンデキャップを感じるね。否が応でも目立っちゃうから。アジア人はほとんどいないから目立つ。男女関係なく。
カメラ、どうしよっかな。買いたての一眼レフ。リュックに入れるか、思い切って首からぶら下げるか。結構迷ったけど首からぶら下げることにした。写真を撮りたくなっていちいちリュックから出す作業の方がリスクを感じる。サッと撮れるように手元に置いておきたい。近頃西洋人の人もみんなファッションみたいにカメラ首から下げて歩いてるから、その一人だと思ってもらうことにする。万が一「よこせ」と言われたら素直に差し出して保険で保障してもらうことで腹をくくる。iPhoneは絶対に人目にさらしたくないので(どうせネットも使えないし)完全に封印して腹巻ポケットにしまう。
いろいろ不安いっぱいだけどちょっと行ってみるか。
ホテルの前。
人力車タクシーが多い。
キューバの女の人がいるとホッとする。
ちなみにハバナの地図がない。だから地球の歩き方を持って歩く。地図はものすごく得意な方だけどそれに甘んじず、似たような風景が続くのでホテルに戻ってくるときに迷子にならないようにちゃんと記憶を脳にインプットする。ただ歩かない。
まずこの薬局が目印。
薬局の棚にはほとんど薬なんかなかった。
それでも数人のお客さんがいた。
このあたりは観光客向けなのか民宿も多くて時々こうやってカラフルな建物もある。
通りの名前があるのでかろうじて助かる!いい目印になる。
人力車タクシー。私を見つけると声をかけてくる。
人通りがだんだん多くなってくるけど、廃墟みたいなところに普通に人が住んでいてマジで怖い。
水回りとか大丈夫なんだろうか。
この辺一帯はコロニアル式の建物が多く立ち並ぶエリア。とにかく古い。
ハバナはそれでも都会だから大きい建物が多くて密集している。
ご存知かもしれないけど、キューバは家賃がなくて国から与えられた住居に無償で住んでいる。ペンキ屋(が存在するかどうか知らないけど)には十分な物資もないし、仮にあったとしても彼らの生活の中で家のメンテナンスはおそらく優先度が高くない。一ヶ月の給与が平均2,000円の国でどうやって家の補修をするなんていう贅沢な資金が工面できるのか、っていう話。
昔あったシアターは廃墟になっていて、デパートらしき大きな建物も廃墟。
その廃墟の中をピカピカのアメ車が駆け抜ける。
ピカピカのアメ車は観光客向けのタクシー。料金が普通の車よりちょっと高いらしい。
(あんなにビビっていたわりにはバシャバシャ写真撮りました)
ハバナの旧市街にだいぶ近づいてきた。
キューバはちなみに混血人種が多い。その昔スペインの植民地であった頃に、アフリカから大勢の人を奴隷として船で運び住まわせたことからアフリカ系の人も多くいるようになったそう。本を読む限りでは、それによる血族同士の争いはほとんどないのだとか。だってもともとアフリカ系の人たちの国でもないし、キューバ人のオリジナルそのものが混血で、先祖もよそ者同士なのだから納得といえば納得。
「Avenue de Italia」を境に旧市街、いわゆる観光地が始まる。
おお!!ここが噂の「WiFi公園」!
「世界とつながれる唯一の場所」
どこでWiFiカード買えるかな~と思って様子をうかがっているといかにも怪しいぼったくりカード屋が立ってて「WiFi?」って聞いてくる。念のためいくらか聞いたらガイドブックに書いてあった値段より倍高かったのでやめる。
はあ~むかしイタリアに住んでた頃を思い出すなあ。
あの怪しい人しかいなかった時代を。
ここはスラム感もだいぶなくなりきれいな建物が多くなってくる界隈なのだけど、道路はご覧の通り。
このあたりでガイドを名乗るキューバ人?に出会う。
めちゃくちゃ気さくで人当たりがいい。
「ハローお嬢さん、どこから来たの?へー、日本!もう観光終わった?え、これから?近くの中華街行った?あそこはマストだよ。そこからスタートしたほうがいい、よかったら連れて行ってあげるよすぐそこだから」
仮についていっても大抵の場合ロクなことはないので丁寧にお断り。
ハンバーガー屋さん。あとで気づくけど、気軽な外食屋のハードルが高い。
これでもだいぶましなほうよ。うちのホテルの周りと比べれば。
このあたりで「お恵みおばあさん」に路上でつかまる。
「ハローお嬢さんどこから来たの?日本!遠いところからよく来たね。ところで私は食べるものがないのでいくらか小銭が欲しいんだけどさ~恵んでくれない?」
まだ小銭を持っていないので笑顔でお別れ。
いや~微妙だな~。
このあたりは観光客向けとして整備されている(途中の)通りで、人通りが多く比較的いろいろなものが集まっている。ファーストフード店、スーパー、家電製品店、薬局、ATM。
しかしそのほとんどが私たちが想像するものとはかけ離れている。ファーストフードは地元の人しか買えないようなお店、スーパーにはほとんど物がない、家電製品店はからっぽ、薬局も棚にはほぼ何もない、ATMの画面はもう何十年も昔にみたような古い画面(緑色の文字のやつです)でとてもじゃないけど使う気力もおきない。
それでも一応立派な繁華街。
その通りを抜けるとやっと旧市街に入る。
その目印がこの「ホテル イングラテッラ」。
おそらくイングラテッラ=イギリスです。
あとで詳しく触れようと思うけれど、このホテルには本当にお世話になった。
(私が亡命したい気持ちになった時に行く駆け込み寺みたいな存在だった)
そのホテルの前にはずらりタクシーが。
アメ車タクシーも勢ぞろい。
ずいぶん立派な建物もずらり。
これは普通のタクシー。普通のタクシーもある。
ハバナの人も近頃自由業が認められてきているので個人タクシーに乗ることは彼らの貴重な収入源になる。個タクって、、大丈夫かなと思うけど、見た感じ9割個タクなのでもう開き直って乗るしかないような気がする。
この広場の道路、めちゃくちゃひろい。
多分なんかのパレードする時はここなんだろうな。
なんかすごい建物があるので行ってみる。
こういう格好のおねえさんが妙に目立ちます。
明らかに外人ですね。
気をつけて!
(日中は平気だけど夜になるどラリってフラフラになった屈強なキューバ人が葉巻ふかして徘徊しています)
あんな感じ。
ここで、格好からして「いかにも日本人」な女性に遭遇。
一人旅してるらしいけど、格好が本当にいかにも日本人。そして、ハバナは観光するところがあまりないので、このあと至る所でこの方と遭遇することになった。
いかにハバナの名所が手短で少ないか、ということなんだと思う。
こんな立派な建物やホテルのすぐ裏はこんな感じ。さっきくる時にみた風景。
もしかしたら他の国みたいに建物の中はまだまともなのかもしれないけど。。。
住む環境で人を差別するつもりは全くないけど、さすがにこれじゃあかわいそうだと私なんかは思ってしまう。みんなはこれがいいと言うんだけどね。この街を良いか悪いかと感じる印象が分かれるポイントはこの感覚の違いなんだと思う。
なんとかならないもんなのかいな、キューバよ。
そんな荒んだ気持ちでトボトボあるくハバナ。
なんかさっきのアメリカンな建物から人がドッと出てきた。
その窓なりに劇場?らしき建物が。
エントランス。
レストラン。
地球の歩き方によるとここは郵便局となっていたけど、どこにも見当たらない。
立ってる見張りの人に聞いたらもう郵便局ではなくなったとのこと。
さて。
ここまでがホテルから旧市街までの道のり。
このあとは旧市街の中に入っていきます。
日本人がハバナに旅行して現地の人と触れ合って写真を撮らせてもらったらチップを強要されたという話をもう~ほんとに至る所で読んだけど、チップくらいあげてください。施し文化のない日本人は馴染みがないかもしれないけど、それ常識なんで。