世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

リル・シュル・ラ・ソルグ



都内にある小さなアンティークショップで、今年の春ダイニングテーブルを買いました。


一年かけて探した丸テーブルは、フランスのリヨンから買い付けたものだとか。


お店を訪れた日は桜が満開で、春の陽が降り注ぐ桜並木の下にお店はありました。




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満開の桜を眺めながら、偶然にもその丸テーブルの材質も桜の木だったことからなんとなく縁のようなものも感じてしまって、品定めする前から「このテーブルは絶対うちにやってくるだろう」と確信したのです。






このお店、今までアンティークに全く縁のなかった自分の概念を覆すほどのセンスの良さ。お店の人の欲のなさ、職人気質な実直さも気に入ってすっかりお店のファンになってしまいました。今でもたまにお店のHPを覗きにいくのですが、こないだフランスとイギリスに買い付けに行った時の日記がアップされていて、そこに懐かしい街の話がでてきて、久しぶりに思い出した旅の話。












L'isle-sur-la-Sorgue

リル・シュル・ラ・ソルグと読みます。
プロヴァンスにある小さな街の名前です。
何年経ってもこの街の名前が覚えられません。



フランスはプロヴァンス地方を一人で旅行している時、アルルのユースホステルで出会った同じ部屋の二段ベットの日本人女性がこの街がオススメだと教えてくれたので、じゃあついでにエクス・アン・プロヴァンスに行くついでに行っちゃおうとかなり軽いノリで行った街です。時間も暇も十分に持て余していたし急ぐ訳でも誰かに気を遣う旅でもなかったから。










この街を以前このブログでも紹介したはずなんですが、過去の記事をどうやっても見つけられない。
でも絶対どこかにあるはずなのであえて写真は割愛します。
そして話が二度繰り返しになるかもしれないけど、一応書きます。





この小さなプロヴァンスの片隅にある街に行ったのはもう10年以上前のことです。
地図もなくガイドブックにも載っていない小さな街の駅に降りて、バックパックを背負いながらひたすら歩きました。
地図なんかなくてもこの辺りの街の特徴って大体どこも似ているから迷わない。
駅を出て目抜き通りを歩いて街の中心らしき広場にたどり着けば、そこが終点。




人通りもさほどなく素朴で静かな古い小さな街だったという印象でした。一通り歩いてからきれいな水が流れる川沿いのオープンカフェで休憩をすることにしました。じ~っと川面に反射する夏の日差しを眺めたり、他に座ってる人をなんとなく観察したり、急ぐ旅路でもないし暇です。のんびり過ごした後でお会計を頼んだら、お店の人は私がフランス語を話せると思ったらしくフランス語で値段を言われ、本当ならわからないはずなんだけどなんとなく分かっちゃって、出したお支払いがバッチリ合っていたんですね。
その時です。自分の中にあるいろんな邪念がゆっくりと洗い流れ落ちていき、解放されて、それまで何年間も感じていなかった穏やかな気持ちにゆっくり浸かっていくようになったのは。




あの頃はいろいろ自信を失くしたりしていた時期で、這い上がるのに少し時間がかかっていました。まあなんというか、文字通り自分を見失うってやつです。





でも突然、なんだか信じられないくらい急に元気になったのです。
その瞬間が今でも忘れられないのです。
ただボーッとしていたら不意に復活を遂げたのです。


そのときの高揚感を忘れたくなくて、「この街の名前は絶対覚えられないだろうから(事実そうなりましたが)絵はがきでも買っておこう」と思って買ったポストカードにその時に感じた不思議な体験を日記として書き留めたのでした。





時々思うことなのですけど、私はどうしてもやっぱり絶えずずっと人と関わっているのはちょっとしんどくて、ふらりとどこかに行きたくなる願望がちょっと強い。一人になりたくてたまらなくなるのです。それをわがままと言われてしまえばそれまでなんだけど(あるいは協調性の欠如か。。)、多分そうやってたまに一人になることで人間関係のバランスを取っているのだと思います。誰かにそばにいて話を聞いてもらうことで癒される人がいるのと同じように、一人でいることに安らぎを得る人もいるのです。




そんなまったく無意識の状態で、ああ~暇だな~とたいしたことも考えていない時にこの突然の啓示で目が醒めるような経験はそれほど多くやってくることではないような気がします。だけど共通して言えるのは、気持ちが穏やかになった時にこそいろんな出来事に折り合いつけられる心の余裕ができるから、辛い時はどうやったら解決できるのかの答えを探すことに翻弄するよりも、自分が一番好きな楽しいことに集中したほうがいいような気がします。









なんか懐かしくなっちゃいました。

多分これからも忘れないな。





※アンティークショップのHPです。すてきな家具もたくさんあるし、お店の人がとにかくいい人たちだった。リル・シュル・ラ・ソルグのことが書いてあります。


















そうそう。

あと、この街で忘れられないのがこのカフェ。










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パリで買ったカレンダーの写真にこのカフェが載っていて、どっかでみたことがあるカフェだな~と頭をひねって考えたら、あの小さな街にあったカフェであったことを思い出したのです(啓示を受けた小川のそばのカフェとは別です)。中には入らなかったけど、印象的だったので覚えていたみたいです。


数年後またパリに行った時にポストカードを見つけて買いました。
額に入れてお部屋に飾っています。
いろんな思い出があるからすごく大事にしています。

今でも営業してるみたい。









忘れられない街。



のはずなんだけど、やっぱり街の名前を覚えられない。



フランス語は難しいね。