世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

セッション

おもしろかったっ!!!!



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ややネタバレさせますので見たくない方はスルーで。


某有名音楽大学に通う若造のヒヨッコが校内のカリスマ教師にスカウトされます。ヒヨッコは調子に乗って自分は天才だと調子に乗った途端に鬼教師にスパルタや暴力を受けてプライドを徹底的に踏み潰され粉々にさせられます。プライドだけ高くて実力がともなわないヒヨッコがやることは、暴走と反抗しかない。抑圧された自由意志はそのうち負のエネルギーと化して爆発し、狂気の沙汰とは思えない言動(すごいの)によって結局バンドをクビになります。しかしヒヨッコは恨み節でパワハラを受けたと学校側に告げ口することによってカリスマ教師はクビになり、自分はドラムを諦めて別の道を歩こうとします。しかし偶然二人は再会して和解し、また再びバンドを組むのですが、このカリスマ教師に驚くべきとんでもない裏切りを受けるのです。しかしラストはそれに対するヒヨッコのすさまじいリベンジで幕を閉じるのですが、妬みと恨みと裏切りで成り立っていた復讐と恨みの感情を最後は乗り越えて、ギリギリなまでの狂気の同調とかたちをかえるのだった。



いや~ラストの演奏はすごいです。
ほんとにすごかった。
パーカッションってCDなどの録音だと分かりにくいのだけど実際にリアルで聞くとすごく鬼気迫るものがあって心を揺さぶられます。しかしこの映画のラストはライブを超えるすさまじさ。感動しちゃった。



現代は厳しさは悪だという風潮が(とくに日本は)ありますが、この映画はそれと真逆のスパルタ指導っぷり。誰もこの鬼教師に口答えなんてしないんです。だからこのヒヨッコちゃんがステージでくたばれと言ってドラムを蹴飛ばしたシーンなんて観てるこっちが冷や汗もの。



鬼教師、なかなか興味深いセリフがありましたよ。


「世の中にはもっとも身を滅ぼす二つの言葉がある。それは『good job』だ」


厳しいこといいますね~。
普通でも上出来でもダメってことでしょ?
真の天才は生易しい環境では生まれない。
どんなに厳しくても絶望から這い上がってくる奴こそが天才なのだと。
だから自分は誰になんと言われようとどこまでも本気で指導するだけなのだ、と。
正しいか正しくないかは置いといて、そういう人もいるんだって受け流してください。本人もけして一般論なんかで話してるわけではないと思うので。



この映画はお涙頂戴モノではありません。
とても暴力的で意地悪です。
そこには怨念というか執念というか意地というか恨み節がしっかり根付いています。
そういうネガティブなパワーが人を限界まで追い詰めて精神を病むまで追い込むのだろうけど、それと同時に能力の限界を超えるパワーに変わる。復讐や恨みというのはそれほど強い磁波をもっているということなんだと思いました。多分フツーの天才はきれいごとばかりの環境で生まれるわけじゃないっていうリアルな話なんでしょう。みんながみんなモーツァルトではないのです。


ってことなんじゃないかな。


ちなみにオリジナルのタイトルは「WHIPLASH」(=むち打ち=スパルタ指導?)なんですけど、ジャズのナンバーで同じものがあります。映画ではその「WHIPLASH」という演奏もやります。それにしてもなんどもいいますけどどうして原題どおりに公開してくれないんだろうか。「セッション」ってなんのセッション?ラストの?あれはセッションなんて生易しいもんじゃないでしょ!






とても男性的な映画です。
私はこういう泥臭い映画、大好きですが。