世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

イタリアの小話

ちょっと思い出したイタリアの小話を。

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ある夫婦がバカンスに出かけようと身支度をしていました。
すると妻がとても不安がっているので、夫がどうしたんだいと聞くと、「家を空けてる間にもし泥棒が来たらと思うととても心配で」と答えました。
二人は考えて、泥棒に手紙を書きました。

「泥棒様、どうか我が家に入っても何も持って行かないでください。私たちは貧しくて生活もままならないので泥棒されてしまうととても困ったことになります。どうかご理解ください」


書いた手紙はテーブルの上に置いて、二人はバカンスへ出かけました。


そしてバカンスを終えて帰宅し家の中に入ると、家財も貴重品も何もかも元のままで何も盗まれた形跡はありません。ふとテーブルの上を見ると、夫婦が置いていった手紙とはすこし異なる封筒が置いてあります。二人が恐る恐るそれを開けると、一枚の手紙が入っていました。内容はこうです。


「お手紙をありがとうございました。ご事情は察しいたしましたので、すこしばかりですがささやかな贈り物をしました。どうぞ楽しんできてください」

といって、オペラのチケットが2枚同封されていました。
なんとそれは泥棒からの手紙と贈り物だったのです。


夫婦はとても感動し、世の中にはなんていい泥棒がいるんだろうと思いました。
そしてチケットを持ってオペラ鑑賞へ出かけたのです。

すっかり楽しんで帰宅し玄関を開けたら、真っ暗な家の中はすっかりからっぽになっていて、一つ残らず盗まれてしまっていたのでした。


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以上、イタリアの小話。
さっきテレビでやっててああ懐かしいなと思い出しました。

私もローマで空き巣にあった時に言われた言葉は今でも忘れられませんが(泥棒は冷蔵庫のバターまで切り刻んでいくのだから貴重品を隠し通すことはできないと言われましたが、それって完全にマフィアの手口ですよね)、この小話はいかにもイタリアな感じがします。優しさを素直に受けたら裏切られて傷ついての繰り返し。おかげで自己防衛力はかなり鍛えられましたが、優しさと嘘を見抜く力は今でもありません。そこだけは学習したくてもできないみたい。
ダメだね。




イメージ 1



こないだ成田から帰ってくるリムジンバスの中で、同じく旅行帰りの若い男の子がイタリアってみんなが言うほど危なくないよな、ちょっとガイドブックもあおりすぎなんじゃね?と言ってましたけど、けっしてあおりすぎてなんかいません。
もっと言うと、イタリアはガイドブックに書いてあるよりももっと怖いのです。
気をつけましょう。