くるみ事件の翌日です。
普通に朝目が覚めました。なんとか復活したみたいです。
お兄ちゃんが車でアパートまで迎えに来る時間になったのに妹はまだのんびりシャワーを浴びたり、私に朝ごはんをふるまってくれたりする。11時に来るって言ってたけどもう時間なんじゃない?っていうと、うちの兄がくるだけで別に電車がくるわけじゃないんだから平気よ、っていう妹がおかしくてしかたがない(そしてその後時間正確キッチリ派のお兄ちゃんが不機嫌になり妹が逆ギレするといういつものパターンになる)。
今日はベオグラードの西、郊外にある小さな教会を訪ねに行くことになりました。
日本にいるときにインスタグラムの写真を見せてもらってとても感動し、その時からここに行くと約束をしていた場所です。
お兄ちゃんが運転席、私が助手席、妹が後ろの席です。景色が見えやすいところがいいと妹が気遣って私を助手席にしてくれるのですが、残念なことに女子トークができない。イタリア語で話せば多少の聞かれたくない話もお兄ちゃんにバレないけど、我々の中でそういうのはマナー違反。なるべくみんながわかる言語で話すのがルール。
朝ごはん用にパンを大量に買ってきてくれたのですが、くるみショックのあとで既製のものを口に入れるのがまだ少し怖かったので初めはちょっと嫌煙してましたが、少し食べないと力が出ないと思って口にしたら、これがまたものすごくおいしいパンでした。素朴な小麦粉の味がするんです。添加物とか入ってない味っていうんですか。日本ではちょっと味わえない天然の美味しさです。それからは食べまくって元気つけました。
車で一時間半くらいかけて、ラヴァニカ修道院へ。
えーと、このギリシャ正教会と言われる宗派は修道院がとにかくたくさんあって、厳しい戒律で俗世と一切遮断したストイックな生活を送っているところ、という印象があります。そしてこの宗派の修道院は大方がそうであるように森の中とか山の中とか、人里離れた山奥に建てられるのが一般的です。なぜそうかと聞くと、お兄ちゃんいわくスピリチュアルな感じだからなんじゃないの?日本の神社とかお寺もそうじゃない?と言われふーんと思いましたが正しい所以はわかりません。多分そうなのかもしれません。
ですのでこのラヴァニカ修道院というのも高速道路を降りてから野山を走り平野を抜けてはるか遠くの彼方まで走り続けたその先に建っています。
ここには14世紀にPrince Lazerという人によって建てられたセルビア教会があります。当時コソボで起こった戦争で彼はトルコ人に殺害され、その遺体がここに運ばれたあとはそのミイラが棺の中に保管されています。この教会は歴史的に何度も破壊を受けましたが修復されたりを幾度か繰り返し、現在は美しいフレスコ画と正面祭壇の見事なイコンで見る人の心を奪います。
ほんとにいいとこでしたよ。
入り口。
看板。
奥に進もうとしたらお兄ちゃんが興奮した様子で妹と私を呼び止める。
パピーがいるって。
走って見に行ったらかわいいラブラドールちゃんが二匹。
これ、写真はもう寝そべっちゃってますが、走り寄った時はマックス興奮して近寄ってきました。でも一度離れると何事もなかったかのように昼寝に戻るツンデレ犬。
さて、あれが教会です。
見事な教会です。
全景。
ここでも洗礼式が行われていました。
ちょうど終わったところ。
中に入ったら撮影禁止と言われましたので写真ありませんが、本を買ってきたのでその写真から。
セルビア正教の教会って祭壇がこのように壁で覆い尽くされ、十字架型の空間(ドームの真下)は立ち入れないようになっています。あそこは牧師さんしか入れないんだそうです。
教会に祈祷にきた人は手前の台の上にある十字架に手を置くのが儀式のようです。
また、正面向かってちょうど後ろ側の二階部分、プロテスタントの教会だと大抵パイプオルガンが置いてあるところ、セルビア教会の場合は楽団が歌を歌うスペースに充てられていて、楽器はないんだそうです。ミサは全部アカペラってことですね。
あと、セルビア教会のもう一つの特徴として教会の手前に小さなお部屋があります。
写真、みてみてください。
また、ドームの特徴は三つ葉のようなかたちをした外観、と書いてありました。
写真を見てもピンとこなかったのですが(三つ葉以上にもっといっぱいあるように見えるから)、これをみたらああなるほどと思いました。
中に入ったら私だけ下半身に巻物を巻いてくれと言われて入り口に戻り、置いてある大判のスカーフを腰に巻いて入りました。ショートパンツでもなかったし、クロップド丈のジーンズだったのになんでだろ。友達に聞いても意味不明だと言ってました。そのあとで友達がキャンドルを買ったら火がつかないとかで返品返金してもらってました。最初から知っててわざと売りつけたんだと言ってましたけど、まあよくある話ですね。
オレンジ色の建物が修道院。
まわりは壁に囲まれていたのでその名残。
こちらには手製らしきヒモがついたベルが。(遠くから見たら井戸かと思った)
小さなおみやげやさんが傍にあって、そこで本を買いました。
蒸し暑い小さな離れにいる店員さんにとても優しい顔でありがとうと言ってもらいました。
友達(妹)と記念写真をパチパチ撮って退散。
それにしても修道院っていまだに権力ありそう。
見学時間は20分もあれば十分です。
教会以外は見学できませんから。
森の中にあってとても気持ちがいいところです。
自力ではちょっと無理ですね。
来れません。
フィレンツェのマークみたいなのが門にありました。
出発。
このあたりで「あれ、iPhoneどこやったっけ」と思って必死にバックをかきまわす。
ない。
ない。
ない。
どうしよう。
お兄ちゃん、気づかないフリしてたのをやっと振り切って「何を探してるの」と聞いてきた。やばい、怒られる。。。すごいスピードで飛ばしてるしさっきの修道院からだいぶ離れた。ガックリ200万%の気持ちになってたら椅子の背もたれのところに落ちてました。もうどれだけホッとしたか。絶対怒られると思っておびえました。
いや~マジで安野光雅さんの世界だわ~、感動。
眼鏡橋の上は水路じゃなくて線路ではないか、という私たちの説。
小さな街を抜ける。
お昼は滝のふもとにあるレストランがいいとお兄ちゃん。
あそこはすごい遠いのよ、と妹。
またケンカ。
妹は優しいからそのあと私のところにきてごめんと言ってくる。
「あんなの全然滝じゃないの、庭の池みたいなものなのよ。それなのに大げさに滝とか言っちゃってしかもここから結構遠いのよ」と耳打ちをしてくる。
お兄ちゃんはそんな妹に静かに腹を立てているのがわかる。
滝(庭の池)のそばのレストランでランチをするか、もう一箇所の修道院を見にいくか、どっちがいい?と二人が決め手をこちらに委ねてきたので、遠慮なく修道院と答えました。そもそも車の中でパン食べてお腹減ってないし、どうせならもう一箇所行ってみたい。従って次は別の修道院へ行く事になりました。
あ、でもこの兄妹、普段はとっても仲がよいのです。
仲が良いからすぐケンカするのですが、とにかく暑かったので疲れてたのかもしれないですね。そんな中いろいろ連れて行ってくれてありがたかったです。
(この修道院ネタだけでこんなに引っ張るとは思わなかった。。次いきます)