昨日の夜に窓を開けっ放しにして寝ていたようで、朝起きたらカーテンもうっすら開けっ放しでした。
よく寝たのでちょっとスッキリしていました。
熱ももう下がったみたいです。
ベットから起き上がると、窓の向こうに海が見えます。
それをみて、ついに憧れの場所にやってきたんだという感動で胸がいっぱいになりました。
日本がとってもとっても遠く感じ、その非日常さに自分がいることに深い幸せをかみしめるのでした。
カルカンの夜明け。
朝の風はピリッと冷たい。
昨日カッパドキアの奇岩の向こうにみた満月が今日はここで見える。
ベットサイドの窓からはお庭がみえます。
レモンの木です。
このお部屋をネットで偶然見つけた時に、そのあまりにもの規格外なモノを見せられて、自分の脳みその中の概念を全部ひっくり返されたような気持ちになりました。そういう刺激って、一生にそう何度もあることではありません。
だから絶対ここにこようと決めました。
壁、扉、鍵もすべて手作り。
カーテンやベッドカバー、テーブルクロスも全部。
太陽
海
空
緑
風
木
石
光
綿
色
かたいもの
やわらかいもの
まぶしいもの
くらいもの
きもちのいいもの
きれいなもの
さわやかなもの
その全部を凝縮して表現すると、こういうカタチになるのだと思いました。
余計なものをどんどん削ぎ落としていったら、一番大事なものだけが残る。
それはこれなんだ、って言い聞かされてる気がしました。
ありとあらゆるものが五感を刺激し続けるので、滞在中はずっと少しだけ緊張していました。
もちろん、いい意味で。
窓が一部ステンドガラスになっているので、陽が差すとこうやって採光がカラフルに変化します。
入り口の脇にある木製のむき出しクローゼットは間仕切りとしても機能しています。
まるでそこら木を切ってきて作り合わせたような素朴感もありつつ、この完璧に直線じゃないところがなんとも言えない味を出しています。ここにお洋服や荷物をかけていくと生活感が出てきて、あっという間にこの部屋と馴染んでいきます。ほんとにここの建築家、天才としかいいようがないです。
(ハンガーまで手製なとこも茶目っ気があります)
また、この旅を通してトルコ絨毯の合わせ方をよく学ばせてもらいました。
トルコはもともとこうやって自然と一緒に共存して生活してきたのでしょうから(カッパドキアもしかり)、岩肌の冷える寒い冬を、山や海から吹き付ける冷たい風をしのぐために、羊を飼って毛を刈って肉を食べて暖を取っていたのです。トルコ人というのはもともと遊牧民族だからうなずけます。
日本のマンションの明るい蛍光灯の下でナチュラルを歌い文句にした白木素材の床なんかにトルコ絨毯を敷いたら、どこかちぐはぐな成金一家みたいな風景になっちゃうのは当然といえば当然です。
木や石といった素材にトルコ絨毯は本当によくマッチしていました。
鍵には部屋の名前が書いてあるキーホルダーがついています。
ガラステーブルの隙間にはアンティーク風のパッチワークがディスプレイしてあります。
グッときました。
このお部屋は2階にあって、扉を開けると木の階段があってさっきのレモンの木のあるお庭を通ってレセプションやプールのある中庭に行くことができます。さながら山小屋のようです。
扉の内側には避難場所の経路が書いてありました。
「火事になったら全員プールのところに集まること」と書いてありました。
この部屋には既製という言葉がほとんど存在しません。
大衆的でもなく商業的でもない。
そういうところに、自由で束縛されない心意気を感じるのです。
そうじゃなかったらこんな便の悪い名も知れぬ場所にこういうものは作らないと思います。
「好きなものを集めたらこうなった」
「やりたいことをやったらこうなった」
そういうさりげないけど深い愛情がたっぷりと伝わってきます。
何もかもがツボでしたねここは。
そこから見える景色はまるで飛び込みたくなるような海、見事なグラデーション。
お隣の部屋はプライバシーを守る為に段々設計になっていて、ベランダに出たらうっかり目が合っちゃうといったこともないように配慮されているようです。そして前面グリーンで囲まれていて目隠しにもなっています。
しかもこの木。
今見ても胸を打ちます。
手つかずの自然素材をそのまま使い続けたあとの年季。
プールの脇にはバーがあって、昨日鍵を渡してくれたイケメンの男性が朝食の準備をしていました。
聞くと、朝ご飯は8時から、とのこと。
どうぜ急いで駆け回らなければならない観光地もないのだから、朝はゆっくりでもいいですね。
ここには大人の観光客しか泊まっていませんでした。もの静かでリラックスしていて、みんな同じように「何もしないバカンス」を楽しみにきているような感じがしました(家族連れのお子様ですらお行儀が良い)。昼間はプールで泳いだり、日光浴したり。夜はプールサイドに吊るされたランタンやテーブルのランプの灯りの下で食事も楽しめるレストランにもなります。疲れたらあの部屋に戻って満天の星を見ながら早めに寝ればいいのです。
(2泊のうち1泊をうっかり寝てしまったあの悔しさがまた甦ってきました)
ここのホテルが想像以上に居心地がよかったので、朝食のあとに翌日のフライトを午後に変更してギリギリまで楽しむことにしました。イスタンブールに出来るだけ早く着くことよりも、カルカンでのバカンスを優先したということです。
このホテルの続きはまたあとで。