これ、最寄り駅のメトロ。
駅を出る。
地図を見ながら歩く。
随分モダンな教会だなと感心しながら歩く。
本当にこの道であっているのかと不安になりながらも歩く。
なんか郊外風だけど大丈夫かなと思いつつも歩く。
着いた!
ここだ!
ブザーのプレートの一番上に「コルビジェ財団」と書いてある。
ブザーを押す。
ブブーと鳴るけど反応ない。
もう一度ブザーを押す。
反応ない。
もう一度よく読む。
あら。
開館時間と曜日がネットで検索して調べた情報と違う。
うむ。
よくあることだ。
いさぎよく撤退。
翌日。
最寄り駅につく。
駅を出る。
あの教会の前を通る。
今度は道も迷わないし、地図なしで行ける。
ここの前を通った時に、あるフランス人のおばあさんとアフリカ系の女性が歩いているのをみた。
おばあさんはそのアフリカ系の女性にぴったりとよりそって、ひっきりなしに喋っていて、付き添いの女性は優しく微笑みながらおばあちゃんの体を支えながら歩いていた。
こういう光景を見るととても心があったかくなるというか、時代は変わったんだなと思う。
ついでに言うと、フランスは対陸続きのヨーロッパの中でもアフリカ系に対する価値観が他とは全然違うので、イタリアがホームベースだった私としてはいまだに目の覚めるようなカルチャーショックを感じずにはいられない。
「見学に来ました」
「どうぞ」
ガチっと音が鳴って入り口のドアが開く。
中に入るとビル管理の人がいて「エレベーターはどこですか」と聞くと「階段でも行ける」という。
信じて階段で行こうとしたけど、確か7階だったはずなので思い直してエレベーターを探して上に上がる。時々地元の人の言う事は信用出来ないことも多々ある。
ほら。
こんなとこまで階段で上れるわけがないじゃない。
しかもアパートは建物のてっぺんだった。
入り口にはとても上品できれいな英語を話す若い男性がいて、入場料を払う。
さて、ここからがコルビジェのアパートです。
実際に晩年はここに住んでいました。
まずはアトリエから。
彼はここで午前中は絵を描き、午後になってから仕事に出かけたと言われています。
イーゼルはそのままの姿で置いてあります。
自然光を何よりも大切にした彼らしく、天井には採光用の窓が取り付けられています。
対してアトリエの向こうにある部屋は天井が低めです。
実際のアトリエの様子。
奥の部屋へ行きます。
リビングとダイニングをつなぐスペースにはチェアが置かれ、ラグが敷かれている。
リビングはさほど広くないです。
ダイニングから見える景色は開放感たっぷり。
ダイニングの外はこのような細いテラスになっている。
隣りの家の壁。
この絵を思い出しました(ニコラ・ド・スタール「オンフルールの空」)。
キッチンはダイニングの反対側奥にあります。
いろいろコルビジェ巡りをしている私ですが、ここは一番居心地いいです。
景色も良いし日当りもいいし、コンパクトで導線も楽で移動しやすいし。
バスルーム。
日当りと大きな窓があるだけでこれほどの安らぎと開放感がある。
デザインや家具だけで居住空間は作られているわけではないってことが証明されている。
これ、有名なコルビジェのベット(笑)。
起きた時にベットから窓の景色を眺めるためにわざと高くしてあったのだったとか。
で、これがそのベットから見た風景。
遠くはブルゴーニュの森なんだそう。
外に出る。
右奥にみえるのはデファンスと呼ばれるパリの新都心ビル群。
隣りの家との仕切り。
写真じゃよく見えないけど、隣りの家のベランダには固定シャワーがありましたよ!
夏にここでひなたぼっこして、そのままシャワーあびるんでしょうか。
こういうの見ると、家ってつくづく自由でいいんだなあって思いませんか?
近所の建物、ズームでストーカー撮影。
時は10月、季節外れの夏日。
部屋に戻って、こちらゲストルーム。
そこから見える景色。右手はスタジアム。
サンルームと屋上テラスへはらせん階段で。
屋上から外に出る。
この建物の壁面を美しいと思ってしまい、しばし見とれる。
レンガの色や柄をこんなふうに組み替えて作る姿は、北欧デンマークの手法をちょっと彷彿。
近隣の建物の屋上はどうしてこんな迷路みたいになってるんだろか。
しかし、屋上庭園という発想は現代においてコルビジェに限ったことではなくなったようですね。
もとのアトリエに戻ってきました。
楽しかった。
この日の自分の旅日記から。
行ってよかったー!
ロシュやサヴォアとは異なる、実に人間味があふれたコンパクトはアパートはなによりも興味深かった。
(この後の感想は恥ずかしいので中略)
そうそう、ロビーでそこに住んでいるおじいさんに遭遇し、「コルビジェのアパートはどこですか」と言ったら「あっち!」と階段を指差された。まさか8Fまで足で行けと?くそじじい・・・。
やーね、育ちがいいのに口が悪くて。
おまけの記事、続きます。