世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

幻影の書/ポール・オースター

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まだ読んでないのに気付いたら文庫になっちゃって。


オースターはお気に入りの作家の一人で、過去の作品は初期も含めかなり読んでいますが、この作品も久しぶりに琴線に触れるような作品でした。映画に対する思いとか、家族を失う喪失感とか、とりかえしのつかない過去の泥をぬぐいきれずに行きていく不運な男の運命だとか、建前と本音とか。

しいていうならでも「ムーン・パレス」の方が好きですけどね。


オースターさんって、答えを明確に答えにするのではなくて、極上のオブラートに包んで表現する作家さんです。そのオブラートが自分をすっぽり包んでいき、(小説なのに)言葉では説明できない気持ちに涙が出たりするんです。かなり希有な作家だと思います。