世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

パリ9区のショコラティエ「エトワールドール」

Blanche駅を背中にして今度はRue Fontaineという通りを下っていくと、そこにはお目当てのショコラティエがあります。これまでいろんな雑誌に掲載され続けていて、その記事を読むたびにぜひ今度パリに行ったら訪れたいと思っていた憧れのお店。


ここはパリにはよくあるチョコレート屋さんとは少し違い、
「完全フランス産のチョコしか置いてない」徹底したこだわりを持ったお店なんです。


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なんか店構えが思ったより古くてこじゃれたパリのセンスもあまり感じないのだけど、入り口のガラスの扉にはたくさんの掲載誌のコピーが貼ってありました。

ウィンドウも時代を感じさせるレトロな感じ。



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さて、ようやく来れた感動を噛み締めながら重いガラスの扉を開けると、誰もいない。
ボンジュールと何度か呼んでようやく奥から店主のおばあちゃんがでてきた!
いつもは日本人のスタッフが常駐しているらしいのですが、この日はたまたまバカンスで日本に帰ってらしたそうで、おばあちゃん親切に私に一生懸命片言の英語で話しかけてくる。

「うちは(長屋みたくなっていて奥に家が続いている様子だった)すぐ裏にあるから、お店を空けて家に戻って洗濯したりしてるとお客さんの声が聞こえないのよ」といっていた。
マダム、万引きにご用心。

ところが会話をしているうちに、このおばあちゃんが実はイタリア人だったことが判明。向こうからみても、ふらりと一人でやってきた日本人がまさかイタリア語を話すなんてなんとも不思議な話だと思ったのでしょう。そこからはずっとイタリア語で会話ができたので、マダムもホッとしたのか機関銃のようにしゃべり始めました。


このオーナーのおばちゃんはかれこれ30年程前って言ったかな、イタリアからご主人と一緒にパリにやってきたのですが、ご主人が逝去されて以来ずっと一人でこのお店を切り盛りしてきたと言ってました。もう御歳70近いのにその容貌があまりにもお若いのに驚いたと伝えたら、「私はいつもここでおいしいチョコレートを食べているのが若さの秘訣」と言ってました。マダム、商売上手!



ま~、しかしありとあらゆるいろんなチョコレートやキャラメルなどが山のように飾られていて、何を買ったら良いのか散々悩んで一時間近くいてしまいました。その間にも近所の地元のお客様がチョコレートを買いに訪れてはこのおばあちゃんとおしゃべりをしていきます。地元でも人気のようです。
ヨーロッパの「地元密着型商店制度」みたいなのって大好き。日本はアメリカナイズされてるから大型店舗とチェーン店ばっかりでつまらないんですよね。お気に入りの八百屋さん、パン屋さん、チョコレート屋さんがあるって、その人なりのこだわりでありスタイルになるわけだから、そうやって生活を楽しめることがヨーロッパの好きなところです。





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このマダムこそ、有名も有名なドゥニーズ・アカボさん。
いつも三つ編みでタータンチェックのスカートはいていて一瞬エキセントリックな印象がありますが、話すとそんなことは全くなくめっちゃくちゃおちゃめで可愛らしい人で私もすっかりファンになってしまいました。



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アカボさん、イタリア人なのに話している途中でイタリア語からだんだんフランス語に変わっていくのですが、本人はそのことに全く気づいていない様子でした(笑)。フランス生活が長くどっぷりとはまっていてイタリアの家族も疎遠になったら(←注:勝手な想像)母国語もそのうち忘れるものなのだろうか。
また、このRue Fontaineって結構物騒な感じの通りなんですよ。それは私のあくまでも勘に過ぎないのですけど、海外に住み慣れた人だと分かると思うのですがそういう嫌な予感って「感じ取る」もののように思います。それを言うと、「昔このあたりは売春宿がたくさんあってパッとしない通りだった」と言ってました。ムーラン・ルージュのそばですから確かにうなずけます。



さて、さっそくこちらで悩んだ挙げ句に買ってきたお菓子をご紹介。



これはアーモンドをカラメリゼされたお砂糖でコーティングしたもの。
伊勢丹で3,500円くらいで売ってますが、断然現地で買った方が安い上に新鮮だからか美味しかった!


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これ五つ星。食べると幸せな気持ちになるので、大切に大切に食べました。
カラメリゼ加減が絶妙で、焦げと甘みが香ばしくてアーモンドにとてもよく合います。
今度も絶対に買ってこようと心に固く誓ってます。お土産用の小さな缶のものもあったので友人にもおすそわけしたいと思っています。



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これはフルーツ味のソフトキャンディー


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さすがフランス、と思わせるところは何かというと、にせもののフルーツの味じゃなく、一粒一粒にしっかりとちゃんとしたフルーツの味がしみ込んでいること。あまり期待しないで食べたらものすごい美味しくてビックリした!しかも缶もかわいいし、これも次回のお土産候補かな。

イチゴ、ぶどう、オレンジ、レモン、が入ってます。
ただし、「これでもか!」というくらい歯にくっつきます。




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そしてこれは蜂蜜味のキャンディー。これも缶がかわいいー。


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見た目は不安な感じがしたのですが、これもかなりビンゴな味でした。
「潤露」っていう、おばあちゃんの家とかにあった飴、知ってます?(かなり古いけど)
あれに味が似てる。すごい美味です。


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しかもここの包装紙が何とも言えずステキ!(包みをほどく前に写真撮れば良かった・・・)



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フランス語読めないけどなんかの物語になっている。
この包装紙も昔から変わらず使っているものなんですって。



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ここでアカボさんに「うちにきたら絶対買わなきゃダメよ」と言われたキャラメルはフランスではここでしか手に入らないそうで、日本にも売ってるらしいのですが一粒100円くらいするセレブ菓子らしいのです。味見をさせてくれたのですが、キャラメルが舌の上で溶けて砂糖のザラツキがなかなか印象的な食感だったのですが、残念ながら私はくるみアレルギー反応が出てしまったので、お友達におみやげとして買いました。もちろんここで買えばそこまで高くないのでご安心ください。




全体的にけして安いお店ではありませんが、日本人向け?なのか、個包装もやってくれますしご覧のとおり包装紙もギフト向けだし、何より「どれもこれも美味しい」です。個性的な三つ編みのおばあちゃん、アカボさんをたずねて、もしパリに行く機会があればモンマルトルの帰りにでもお立ち寄りください。


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A l'Etoile D'or
30, Rue Pierre Fontaine
75009 
日曜休み
最寄り駅 BLANCHE


「もうすっかり古くなっちゃったけど、この家具が一番味があって大好きだわ~」と言いながら、店内にあるどっしりとした焦げ茶の木で出来たそのカウンターを優しく手で何度もなでていたアカボさんがとても印象的だった。


跡継ぎになりたい!



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<おまけ>
Blanche駅の前につながれていたワンチャン。
私がアカボさんのところに行く前も、戻ってきた時も、ずっとこの体制のままこのワンチャンは飼い主さんをおとなしく待ち続けていました。おりこうさん。