世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

マネの人物描写

丸の内三菱一号館で開催されているマネ展に行ってきました。
 
 
マネといえば、スキャンダラスなテーマを主題とした画家として当時はバッシングを受けたことで有名ですが、
画家同士の間では師して親しまれ、脚光を浴びていたのも事実です。
 
 
個人的にマネのどこが好きかというと、その人物描写にあります。
 
 
オランピア」に描かれた威厳。
 
 
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当時、高級娼婦として人気だった女性がモデルとなっています。
ゴヤのマヤ、そしてウルヴィーノのヴィーナスのポーズに影響を受けた作品としても名高い作品ですが、傍らにいる奴隷の黒人女性と黒猫ちゃんがとても不吉な暗示を放っているのに対し、この女性の挑むような目つきに威厳を感じずにはいられません。「草上の朝食」に次ぐ有名な作品です。
(※この作品は今回は来ていません)
 
 
 
 
もうすっかりおなじみのモリゾ。
 
 
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マネの女性に対する敬意みたいなのを感じずにはいられません。
そして黒の中にもしっかりと存在する立体感、明暗のハイライト、さりげなく主張するスミレ。
 
 
 
 
 
モリゾは一時マネのお気に入りのモデルだったので、他にもいくつか作品がありますが、これなんかもマネらしい画風です。モリゾはマネと同様裕福な家庭に生まれた女流画家で、モネとも交流がありました。その後、マネの弟と結婚することになり、ルノワールにも似た家族愛をモチーフにたくさんの絵を描き続けていますが、どちらかというとモデルとしての方が有名ですね。
 
 
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マネ自身は、もともとスペインの絵画にとても影響を受けた人で、鮮やかな色彩感覚と、当時流行し始めた印象派のテクニックあるいはそのスタイルに、独自のモチーフを上手に絡めていきました。
この人の作品はいつもささやかだけど心に落ちていくようなイメージを残します。素晴らしいです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レモン。
 
 
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そこはかとない哲学と宇宙があるようです。
 
 
これ、今回の展覧会で一番気に入った作品でした。
 
 
 
 
彼は、晩年にレモンの作品をたくさん描いたと言われていますが(交流のあったエミール・ゾラに贈ったりした)
基礎の基礎であるレモンをあえて描き続けたところに、きっと彼なりの哲学があるのだろうと想像します。
その発想が実に様々な想像力をかき立てるようで、このポストカードを一枚買って、会社のデスクのパテーションのところに貼ってます。
 
 
マネってどうしても日本だとセカンドポジションに置かれがちですが、こうやってマネ特集みたいのを組むところに、三菱一号館のセンスを感じました。館長さんがもともとマネの熱烈なファンで、美術館オープンの最初はマネでいこうと思っていたそうです。その熱意はちゃんと伝わりました。構成も、マネの作品と同時にパリがどのように移り変わっていたかを分かりやすく説明してあり、絵だけじゃなくパリの大改革の様子も少し見ることができて興味深い企画展でした。ただ、一つだけ苦言を呈するならば、美術館の部屋が狭すぎてキャパが小さいこと。あれでは大展覧会は無理だと思います。
・・・もしかしてそれが狙い??
 
 
 
それにしても、マネの魅力は人物描写のおもしろさに尽きると思います。
 
とても満足できる内容でした。
 
 
 
美術館を出て花屋さんのそばを通り過ぎると、母の日だけあってたくさんのアレンジメントが置いてありました。
 
 
パリでもそろそろたくさんの印象派画家が好んで描いたバラが咲き乱れる季節でしょうか。
 
 
 
 
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■過去の記事「ニースの港」ベルト・モリゾ