世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

夜の「メゾン・ド・ショコラ」

アムステルダムは夜が賑やか。

駅を背中にして左側に進むと、運河沿いにピンク色のネオンが輝く界隈がみえる。
そこがいわゆる「飾り窓」。

飾り窓とは簡単に言うと風俗街。
セクシーショップ、ポルノショップ、劇場、なんでもござれ。


とおりに面した窓という窓に下着姿の女性が一人ずつ各部屋に立っています(窓は全身がみえるくらい大きい)。
女性の私にはもちろん見向きもしませんが、男性が通りかかるとかなり悩ましげな挑発をします。
カーテンが閉まってる場合は「お取り込み中」という合図になる。

アメリカ人の男性グループがビデオカメラを回しながら飾り窓の女性を撮影しようとしたら、窓にいた女性達数人からすごい剣幕で怒られた。その気迫があまりにもすさまじく(更にFサイン連発)、冗談半分でからかっちゃいけないんだって思いました。

つまりそれはこういうことです。

アムスの飾り窓とは「ショーケースにならぶ女性たち」を意味し、それは多分「メゾン・ド・ショコラ」のチョコレートみたいに上品で繊細。彼女達はおそらく自分たちを高級娼婦だと信じているし、けして安物のファーに身を包み、毎晩寒そうにお客を待っている道ばたのホッカーとは断じて異なると思っている。そのプライドは半端じゃない。


イメージ 2



見世物小屋のように扱われることを非常に嫌がるので、記念撮影なんてもってのほか。


女性の私としてはちょっとだけ肩身の狭い思いをしながらその前を通り過ぎることになるのですが、おそらく彼女たちは同性から観られることだってそれほど嫌じゃないはず。むしろ恥ずかしいものを観るような目で見られることが一番屈辱なのかもね。(だからといって凝視するわけにもいきませんのでやっぱり肩身が狭い)


また、ポルノ劇場が多かった。呼び込みがすごい。日本語なんだもん(しかもオール俗語)。
なんかそういう時の日本語ってありえないくらい卑猥。
だって日本人観光客をカモろうって魂胆じゃないですか・・・。でもきっと、いるんですよ。ハイネケン飲み過ぎてへべれけになりチップはずむ輩が。

そして私がとても驚いたこと。

散歩していたらひっそりと佇む穴場的なシアターを発見しました。どんな演目をやってるのかと興味を持って立ち止まりウィンドウの写真に近寄ってみると、なんととんでもない写真の数々が!!!そう、そこはただのシアターじゃなくて、ゲイシアターだったんです。ショーです、ショー。
何が驚いたって・・・ここではハッキリと公表できませんが、見てはいけない別世界をみてしまいました。あれは多分アムスで一番腰を抜かしそうになった忘れられない瞬間。そんなハードな写真が公衆の面前に堂々と貼られてることが実にアムスらしい。


なんかここを歩いていると全体的に様々な風俗の類があまりにもオープンで堂々としているのでいやらしさを感じない。ここでいう風俗はアムステルダムの一つの文化であり、ささやかなエンターテイメントとショービジネスが存在している。だから「演じる」方は誇りをもって演っている。

ルールがあるんですよね、ここって。きわどいところだけど、分かってもらえると嬉しいところ。


そしてそんな飾り窓の風景も、遠目からみたらそれぞれの窓の集合体が一つの絵みたいだった。


イメージ 1

「The View」Leandro Erlich 1997  


実に文学的。私の大好きな作品の一つです。

(飾り窓にちなんで載せてみました)


チャオ。